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内田光子 ピアノ・リサイタル 2018倉敷公演 [コンサート感想]

第104回くらしきコンサート
内田光子 ピアノ・リサイタル ~シューベルト ソナタ プログラム~
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第4番 イ短調 D537
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第15番 ハ長調 D840
  ~ 休 憩 ~
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D960
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2018年11月4日 倉敷市民会館
  自分の瞳が涙で溢れていくのがわかった。心に染み渡るシューベルトの音楽。孤独と死の狭間で奥へ奥へと沈み込んでいく。内田さんのピアノは心を開いてくれているのが分かるから、自分の心もどんどん開かれ、導かれていく。
  帰り道はすごい疲労感。しらないうちにものすごく集中して聴いていたんだなあ。また、こんな体験ができるだろうか。
(以下、後日追記分)
 
 僕はよきシューベルト聴きではない(そもそもよきピアノ聴きですらないのだが・・・)、シューベルトのソナタは19・20・21番が傑作ということで、何度か録音で聴いたことはあったが、だいたい最後までは集中して聞けなかった。ピアノ・ソナタ集全体を見ても、ベートーヴェンのように最後の3大ソナタを頂点に、月光・熱情・ワルトシュタイン・悲愴と、どこから切り込んでも夢中にさせてくれるのに対し、シューベルトは朴訥としていて、内省的で、どれから聴いて行ったらよいのか掴みかねていた。
 
 しかし今回、内田さんのシューベルトはシューベルトの孤独と死生観と美に引きずり込まれるように、一瞬たりとも退屈することはなかった。しぜんと音楽に没頭でき、家に帰ってきてこの3曲を聞くと「これほど美しい音楽だったのか・・・」と茫然自失するほど、魅力的な作品だと感じた。まったく感性が180度変わってしまったのだ。
 
 語弊を恐れずに言えば、内田さんの演奏は、どうしたら聴取が喜んでくれるだろうか?ということは一顧だにしない。自らに正直でとことんまで深く音楽に傾倒し、そして音楽を通じて内田さんという人間すべてをさらけ出している。
 2曲目のソナタ15番が始まるとき、舞台上のライトの照度を上げた瞬間、内田さんは舞台袖に向かって「やめてください」と不快をあらわにした。すぐに会場側が対応すると、静まり返った客席に腕を広げて、とびきりお茶目な笑顔で笑いかけた。ほとんどのピアニストは、その場は我慢してから舞台裏に戻ってから会場の担当者に抗議することだろうが、こんなところまで自分の感性に正直であるところに内田さんの生き方を感じた。
 内田光子を聞きに来る客は、聴取が喜ぶような表面的な音楽は期待していない。特別な体験を期待してきている。会場の雰囲気もそんな空気があった。
 
 たぶん、細部にまで綿密に作りこまれていると思うのだけれど、音楽への傾倒の深さや描く世界のスケール、そして天空を駆けるような自由さに、聴く者は身を委ねるしかない。
 後半のソナタ20番が始まった瞬間の胸が締め付けられるような美しく切ない音楽、いまだにあの瞬間の音楽が頭の中で鳴り響いています
 
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 ほかにも、内田さんの演奏に比べると些細な今回の収穫として、この倉敷市民会館においてピアノ・ソロの演奏を聴く、自分にとってのベストポジションが見つかったことだ。ピアノ・ソロのコンサートを聴くにはこのホールは大きすぎるし、私の好きな2階正面1列目に座っても演奏者が遠すぎて蚊帳の外に置かれたようになってしまうのが悩みだったが、今回の席は拍手の聞こえ方からして迫力が違った。ツイメルマンの時もこの席で聞いて居ればよかったのになあ、と思った。
 座席選択は人によって感じ方が全く異なるので、詳しい場所は書きませんが、面識のある方から聞かれれば答えますので、また声をかけてください。
 
 アンコールはシェーンベルクの6つの小品から第2曲。
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コメント 3

サンフランシスコ人

内田光子の公演に2度だけ行ったことがあります.... 
by サンフランシスコ人 (2018-11-05 05:48) 

ヒロノミン

>サンフランシスコ人さん
 私は今回が初めてです。聴くことが出来てほんとうに良かったです。
by ヒロノミン (2018-11-15 23:31) 

サンフランシスコ人

初めては近く50年前、ニ度目は25年位前....
by サンフランシスコ人 (2018-11-16 08:03) 

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