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岡山フィルが日本オーケストラ連盟に加盟! [岡山フィル]

 今日の山陽新聞朝刊の記事。岡山フィルが、ついに日本オーケストラ連盟への加盟が承認されました!準会員としての加盟ということです。

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 それに先駆けて、6月10日(土)の山陽新聞にも異例に大幅な紙面を割いて、シェレンベルガー氏を中心としたオーケストラ改革について記事が組まれていました。

 記事の中身は会員限定公開になっているので写真アップは控えますが、要約すると・・・


 シェレンベルガー氏が首席指揮者に就任して以降、地元ファンの間で「音が変わった!」と話題になり、オーケストラの演奏力の向上とともに魅力的なプログラムをそろえ、観客動員も(実数を把握している09年度以降)過去最高を記録するなど好調。今が改革の好機ということで

・ 新コンサートマスターの招聘
・ 10パートの首席奏者の募集

 などの大規模な改革に着手。これまでは大編成の楽曲になると、大量のエキストラと在東京オーケストラなどから首席奏者をごっそり連れてくることから、「エキストラ楽団」などと揶揄されてきたが、名実ともにプロの楽団を目指す方向に大きな舵を切った。岡山市も「中心市街地活性化の起爆剤」としての役割を期待しており、補助金額の増額などで支援を強化しているとのことです。


 日本オーケストラ連盟に加盟するためには、他のオーケストラに所属していない自前の首席奏者をそろえる事が必須条件になっていますが、早くも加盟が認められたということは異例のスピード承認という印象があります。国内のオーケストラは大都市圏に偏在している傾向があり、東京では世界トップレベルに肩を並べつつあるとの評価のオーケストラがいくつもある一方で、地方、特に西日本の層の薄さが指摘されていました。岡山フィルの加盟は連盟としても歓迎されることだったのかもしれません。
  しかし、同記事では「この大胆な改革はリスクが伴う」とも指摘、これまでは在東京オケなどで実績のある首席奏者を連れて来ていたことで、演奏のクオリティが保てていた面もあった。しかし、岡山フィルは他の常設オーケストラのような条件は提示できないし、全国的には実績や知名度は無いに等しいことから、これまでの助っ人首席のようなレベルの奏者の確保が難しいかもしれない。
 そうなると、演奏のクオリティが低下し、聴衆が離れて行ってしまう恐れもある。


 聴衆も「これまでの演奏よりもクオリティが落ちるかも知れない」ことを受け入れる覚悟を持って、「それでも、おらが街のオーケストラのために応援しよう」という覚悟が必要になって来ると思います。


 しかし、僕はこの首席奏者の人材確保に関しては楽観的な見方をしていて、上手い一流の奏者をその時だけ集めたら必ずいい演奏になる、とは限らないと思っています。エキストラ奏者さんの中には素晴らしい情熱で演奏してくださる方も居ました。都響のクラリネットの小林さん、OEKのティンパニストの渡辺さん、最近では元都響のホルン奏者の笠松さんや京響のフルート奏者の中川さんら、最高のパフォーマンスと、終演後は素晴らしいステージマナーを見せて・聴かせてくれました。た。

 一方で、エキストラ奏者の中には、カーテンコールが最高潮に盛り上がっているときに「早く東京に帰りたい」と思っているのかどうかは分かりませんが(笑)、観客と余韻に浸りたい岡フィルプロパーの奏者との温度差を見せられることもあったことは事実です。無理もない、彼らは自分の所属するオーケストラで最善を尽くすことが本来の仕事なのだから。。。


 しかし、これからは「自分は岡山フィルの首席奏者なんだ!」という帰属意識と、「岡山フィルの首席奏者として、最高の演奏を聴衆に聞かせたい」という責任感を持った奏者が演奏するようになる。楽団に一体感が生まれ、本当の「岡山フィルの音」を作っていけるようになる。

 オーディションはシェレンベルガー氏も審査員として立ち会うとのことなので、全く懸念はないと思いますが。求めるレベル以上の奏者が居ないパートがあれば、もうしばらくはエキストラ首席で代行してもいいと思う。我々ファンは、じっくりと待ちます。


 いやしかし、考えてみたらベルリン・フィルは奏者だけでなく指揮者やソリストまでも楽団員が選考するわけですから、その修羅場を経験したシェレンベルガー、その人がオーディションをして、コンサートの出演者やプログラムを組んでいる岡フィル、そりゃーいいコンサートが増えるわけですよ。

 これまで岡山フィルのステージにエキストラとして立っていただいた奏者の方々に感謝するとともに、彼らも含めて25年間の演奏の蓄積の基盤のうえに「岡フィルの」音が生まれる現場に立ち会いたいとおもいます。


 以下は余談です。


余談1)ある人たちと、この岡フィルのニュースについて話をしていたら、「専務理事のTさんはやり手だからなあ」という話を聞き、調べてみると、なんと楽団の専務理事(常勤で一番偉い人)は、いつもシンフォニーホールの入り口の外で、来場者に向かって笑顔で頭を下げて迎えて下さっている方でした。

 まさかあの方が専務理事とは・・・。率先垂範とはよく言われることですが、大阪や京都のホールでも、入り口の外で挨拶をされているのは見たことがありません。聞けば岡山市の経済局長まで勤められた市役所の重鎮だという・・・。世の人々は「天下り」かも知れませんが、ここ数年の改革のスピード感と成果、あるいは率先垂範を示す、その姿勢とおもてなしの心。
 拙ブログにコメントを下さるブロガーさんから、オーケストラの発展には優れた音楽監督と、情熱を持った事務局員が必要、とのコメントを頂いたことがあるが、岡フィルもそういう人を得てこその、ここ数年の改革なのかもしれない。


余談2)細かいことかもしれませんが、あえて山陽新聞へ苦言を。岡フィルはオーケストラ連盟に「準加盟」したのではなく、準会員として加盟した、ということです。「準加盟」って、なんかちゃんと加盟が認められていない感が漂ってるじゃないですか。紙面の関係で端折ったのかもしれませんが、ここは正確に表記して頂きたいと思います。

 でも、土曜日の特集記事は非常に読みごたえのある記事でした。

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後楽園 花菖蒲が八分咲きです [名庭シリーズ]

 後楽園のHPの「花菖蒲が見ごろです」との書き込みにつられ、昨日(6月10日)行ってきました。


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とりあえず、お決まりのアングルで。この日は曇り空でした

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個人的には、このアングルも好きです。操山の稜線に園外縁の植栽の稜線、手前に唯心山の稜線が重なり、奥行きを出しています。


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「流店」のそばに花菖蒲園があります

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8分咲きといったところですが、鮮やかな色彩!

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次にアジサイの様子を
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アジサイの見ごろはこれからですね


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「井田(せいでん)」近くの蓮池、数輪だけ花が咲いていました
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「花葉の池」の蓮の様子は・・・?

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まだまだ、ピークは先のようです

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後楽園、時期遅れのサツキ編 [名庭シリーズ]

 40代に突入して基礎代謝量が一気に減少したのか、食べる量は増やしていないつもりなのに、メタボ体型に拍車がかかっています。
 20代~30代前半は習慣的にテニスをしてたんですけど、今は全然してません(たぶん、このウエイトでやると膝を壊します・・・)。黙々とやるジョギングとかウォーキングとかは、自分の性格からすると、まあ続かない。
 ということで、5月から天下の名演:後楽園の年間パスポートを購入、単なるウォーキングではなく「後楽園ウォーキング」を開始しました。
 年間パスポート代は2050円で、6回行けば元が取れる計算。我が家から後楽園は2km圏内にあり、平日の休みにいけば、そんなに人も居ない。ウオーキングのモチベーションにしたいと思っています。
 今回は5月の下旬に行ったときのサツキを中心とした写真。

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 お決まりのアングル。「唯心山」の中腹のサツキのピンク色が鮮やか

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しかし・・・近づいてみると、完全に盛りは過ぎていましたねぇ。後楽園のHPで「サツキツツジが満開です」という報を見た3日後に行ったんですが、ちょうど岡山は2日連続で30℃超え、時期を逃してしまいました。
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この時期のいわゆる「青もみじ」も涼しげでいいですなぁ

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藩主が接待に使った「延養亭」前のサツキも、盛りは過ぎていました。

今後も時々アップします。次回は花菖蒲か?蓮の花か?

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アンドレア・グリミネッリ フルートリサイタル [コンサート感想]

Jホール・レインボーコンサート Vol.42
アンドレア・グリミネッリ フルートリサイタル
 
ジュナン/ヴェルディの「仮面舞踏会」による幻想曲
ブリッチャルディ/ヴェルディの「アイーダ」による幻想曲
メンデルスゾーン/無言歌集より、「春の歌」「ヴァネツィアの舟唄第2番」「紡ぎ歌」
クラカンプーブリッチャルディ/ヴァルディの「椿姫」による幻想曲
 ~ 休 憩 ~
ブリッチャルディ/ヴェルディの「イル・トロヴァトーレ」による幻想曲
グルック/「オルフェオとエウリディーチェ」より 精霊の踊り
ポップ/ヴェルディの「リゴレット」による幻想曲
ボルヌ/ビゼーの「カルメン」による華麗な幻想曲

フルート:アンドレア・グリミネッリ
ピアノ:津田 裕也


2017年5月31日 岡山大学 Junko Fukutake Hall


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(写真は別の日に撮影したもの)

 年度初めに忙しいのはいつものことですが、土・日曜日出勤で平日に休みを取る体制のウチの職場は、この時期は休みを取るのが難しい。世の中、平日は年度末決算から監査、株主総会など、バリバリ動いていますからうちの職場だけ止めるわけにはいかないんですよねぇ。ということで、必然的に仕事が落ち着き始めるこのぐらいの時期に代休を取ることになります(本当は違反らしい・・・でも、ブラック職場が跋扈するご時世、時期が遅くなっても代休を取れ取れと言ってくれる職場はありがたいよねぇ)。この日も代休消化の休みで、このコンサートを聴いてきました。
 このJホールのコンサートシリーズ、すっかり定着していますね。この日もホールのメイン部分はほとんど埋まるほどの盛況っぷり。いつもはワンコイン500円で岡フィルの団員さんら、地元音楽家のコンサートが聴ける。しかし、今回は「プレミアムコンサート」と銘打って、イタリアの至宝:アンドレア・グリミネッリと俊英:津田裕也のデュオ、これでなんと2000円。いずみホールや紀尾井ホールだったら5000円ぐらいは取るコンサートです。
 グリミネッリは岡フィルの定期演奏会に登場したのだが、当日は出勤日と重なり聴きに行けなかった。だからなんとしても聴きに行きたいと思って代休を使った次第。
 やはり聴きに来て良かった。このレベルの奏者になると、一音発しただけで、「おおーっ」と驚かざるを得ない。アンサンブル・ウィーン=ベルリンのメンバーもそうだった。まずもって、なんという圧倒的な「声量」!(「声量」という言葉がいちばんしっくりくる)。
 テクニックも凄い!重音奏法、大きな息継ぎをほとんどしないのは循環呼吸が出来るから?巻き舌奏法での茶目っ気のあるヴィヴラーとなど、フルート演奏の特殊技法を堪能させていただいた。
 プログラムは、ヴェルディやビゼーを中心としたイタリア・フランスのオペラのヒットメドレー。そしてグリミネッリさんのフルートは本当に「歌」がある。僕はオペラをそれほど聴かないので、どの場面のどの曲を演奏しているかというのは細かいところは分からないが、有名どころを押さえているので、クラシックになじみの薄いお客さんも大満足のプログラムだろう。
 一方で、グルックの「精霊の踊り」が象徴的だったのだけれど、ピュアな音で祈りを捧げるように印象的に奏でられる場面は、霊的と言えるほど会場の空気が引き込まれていった。横笛という楽器は、日本では魂を慰撫し、時には悪霊を追い払い神々を呼び寄せる「霊的な楽器」として、古来から愛されてきた。この日のグリミネッリさんの演奏からも、そうした「霊的な魅力」が詰まっていた。
 そう、この日のプログラムは、ルチアーノ・パヴァロッティの没後10年を記念して、彼の業績をオマージュした作品群だった(ご本人からの説明があった)。グリミネッリさんはパヴァロッティに才能を見いだされたことがきっかけで、世界的な活躍が始まったとのこと。イタリア・オペラの魅力と同時に、グリミネッリさんがパヴァロッティのことをどれほど尊敬しているか、こちらにまで伝わってきた。
 
 このJホールという空間は何とも言えない魅力な空間です。一番の特長はステージと客席の距離が近く、演奏者と打ち解けた空気が流れること。この日も会場の聴衆とグリミネッリさんとの心が、徐々に通い合ってくるのがわかるコンサートでした。

 そして、今回の伴奏役の津田さんのピアノも素晴らしいもので、このホールのピアノはヤマハのセミコンサートサイズのものですが、「このサイズのピアノからこんな芳醇な音を引き出すか!?」というほど、時には煌めきを感じさせ、時には天衣無縫の無垢な音色を聴かせた。私はあまりピアノのソロコンサートには行かないのだけれど、津田さんのソロ・コンサートには行ってみようと思う。
 
 アンコールはチャールダッシュ、クマンバチの飛行、という超絶高速パッセージの曲の後、浜辺の歌。最後の浜辺の歌は、まさに日本人のDNAに組み込まれている「横笛の霊力に対する敬意」があふれる演奏になった。

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タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団 2017 福山公演 [コンサート感想]

タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団 福山公演


シベリウス/交響詩『フィンランディア』
グリーグ/ピアノ協奏曲イ短調
  ~ 休 憩 ~
シベリウス/交響曲第2番ニ長調

指揮:サントゥ=マティアス・ロウヴァリ
ピアノ独奏:田部京子

2017年5月20日 ふくやまリーデンローズ大ホール

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 『ばらの街福山』を標榜する福山市は、ばら祭りの真っ最中でした。リーデンローズ前の陸橋もばらの花壇も見事な咲きっぷり。


 フィンランディアは名刺代わりのオーソドックスな演奏。グリーグのコンチェルトは、田部さんの滴り落ちるような瑞々しい音に惚れ惚れさせられる。しかし、オーケストラも容赦のない迫力で迫って来る、田部さんも負けていない。実力伯仲のまさに迫真の『協奏』が聞かれた。


 メインのシベリウスはロウヴァリの奇才ぶりが全開!今まで聴いたシベリウスの2番とはまるで違う、極めてラディカルな解釈と楽想の展開。ダイナミクスとテンポの振幅を大きく取り、第2楽章の緊張感たるや、今までの僕のこの曲に対する牧歌的なイメージを覆すには充分。全く先の読めない展開に手に汗握りっぱなし、「これは、最後はどうやって着地するのだろう」と気をもんでいたが、第4楽章最後のカレワラの音階によるモチーフが登場すると、堂々たるフィナーレを飾って見せた。いやいや、ロウヴァリ君32歳、只者では無かったです。


(以下、追記)


 ロビーでは「ムーミン原画展」が開催され、シティ・プロモーションの一環になっているんでしょう。背の高い北欧系の、シュテファン・エドバーグを思い出させる顔立ちの関係者がロビーで日本の関係者と談笑。 

 しかしですね、お客さんの入りは4割ぐらい?もしかしたら3割5ぐらいだったかも知れない。3階席は閉鎖。このコンサートの主催者はHTV(広島テレビ)で、放送区域外の岡山ではまったく広報されていませんでしたね。立地的に福山のコンサートは岡山から来る人が多い(快速で1時間かからない)わけですから、もうちょっと手が打てたように思いますけどねぇ。

(ときどき思うのだが、福山市って岡山県に編入されていた方が発展したんじゃないだろうか?元々吉備の国の一部だし、笠岡・井原は福山の経済圏。静岡県における浜松市ぐらいのポジションが得られたのではないか?という気がする)
 1曲目とメインの「フィンランディア」、交響曲第2番の編成は16型の3管編成1stVn16→2ndVn14→Vc10→Va8、上手置くにコントラバスが7本。16型という充実した弦5部から繰り出されるハーモニーは極上。シベリウスのひんやりとしたテクスチュア(それでいて暖かみも感じる)のサウンドをパワフルに鳴らします。

 そして木管・金管の音もパワフルかつマイルド、僕は2階席で聴いていたのですが、ホールのロウヴァリの指揮が時に激しくなっても、まったく耳障りな音がしない。いや~本当にこのオーケストラの音はいいです!
 コンチェルトは田部京子さんによるグリーグ。こういう来日オーケストラにありがちな事務所売り出し中の若手ではなく、実力派のソリストを付けてくるところが非常に好感が持てます。田部さんのピアノの音は、やはり際立っています。場面によってはオーケストラもかなり鳴っているんですが、そのトゥッティの本流の中でも宝石のように光り輝くピアノの音が聞えてくる。第3楽章なんてロウヴァリがかなり緩急を付けて煽っているんですけど、田部さんのピアノは堂々と渡り合う。第2楽章の美しさも特筆もの。清潔な静謐さの中に、北欧の景色が思い浮かんでくるような情景描写が見事でした。
 
 メインのシベリウスは、32歳の俊英指揮者のほとばしる情熱が乗り移った、激しいものだった。特にテンポを早めていく過程の場面での激しさが印象に残った。オーケストラの方も懸命について行くが、オケの技量の問題なのだろう、指揮者の指揮に追いつけず、演奏が乱れる場面があった。しかし、そんな場面でも弦楽器のしなやかな音、管楽器の柔らかい音の魅力は失われない。第1楽章では、最後の音をスパッと切るアプローチが印象的。
 この曲の第2楽章はそもそも生演奏で聴いてこそ、魅力がわかる曲だと思うが、今回のコンサートも激しい演奏になった。カレワラの旋法を思わせる民族調のメロディーが歌い上げられる部分では、指揮者と奏者の思い入れが最高潮に達しているのが分かった。「人間が奏でる」オーケストラの魅力はこういう演奏なのだろう。
 第3楽章は高速テンポとゆっくりと歌い上げられる場面とのコントラストが鮮やか。このアプローチはバルビローリの演奏を思い起こさせます。
 第4楽章の長調の部分は、「この楽章のキモはここじゃないんだよ」とでも言わんばかり、あっさりと流す。あのカラヤンが朗々と歌い上げた有名なメロディーは、まだまだこの楽章の序章に過ぎないのだろうか。
 楽章終盤に入ると、テンポの変化が無くなり、インテンポな堂々たる演奏に切り替わる。冒頭にも書いたとおり、テンポとダイナミクスの変化が激しいロウヴァリのタクトに、「最後はどういう風に締めくくるのだろう」と思っていたが、まったく正攻法で突き進む。それまでの変化が激しかっただけに、最後の最後に来て大伽藍が立ち現れるようなゆっくりとした足取りは、非常に効果的。
 空席の目立つ会場にも関わらず盛大な拍手となった。アンコールは「悲しきワルツ」と「カレリア組曲の第3曲:行進曲風に」。
 アンコールの後、楽団員が去りはじめても拍手がやまなかった。海外オーケストラの来日公演でこれほど『本気の・ガチンコの演奏』に接することは稀なこと。その熱意に対する謝辞としての拍手だったろう。
このオーケストラ、初来日と言うことですが、僕が聴いたことのあるラハティ管弦楽団、フィンランド放送交響楽団より若干力量は落ちるものの、音の柔らかさ・しなやかさでは他の追随を許さない個性を持っています。今回のツアーで知名度は一気に上がるものと思います。

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なにわ《オーケルトラル》ウィンズ2017 岡山公演 [コンサート感想]

なにわ《オーケストラル》ウィンズ演奏会2017 岡山シンフォニーホール公演

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 会場は満員。そしてロビーにあふれんばかりの高校生の人波。なかでも女子高校生がそこかしこでたむろし期待に黄色い声があがるなか、それを掻き分けながら自分の席へ向かうという、クラシックのコンサートでは、まず経験しない事態に圧倒される。そして学校の先生もたくさん。学校の先生って姿勢の良さと独特の存在感がありますな。そして声がでかい(笑)。いろんな場所で交わされる挨拶。あと、なぜか体格のゴツい人が多い(お前が言うなって)。
 
 今まで、恐らく500回近くは通っている岡山シンフォニーホール。僕はこのホールのヌシを自認していたが、今日だけは完全アウェイ!借りてきた猫状態。
 以前のエントリーの通り、座席はかなり奥まった場所で、クラシックのコンサートなら音が飛んでこない席。しかし、吹奏楽の迫力はオーケストラとは全く別物!特にパーカッションの音量が考えられないぐらい大きい。この席で丁度良かったかもしれない。
 演奏は、流石だった。関西だけでなく、日本全国から手弁当で集まったオーケストラのブラス奏者たちの饗宴。ステージ上を埋め尽くす各オーケストラの名手たち。100人からなる奏者が、みな自由自在に吹いているようで、すべてが余裕を持って演奏され、トゥッティーの正確さは胸がすく思い。ソロの場面では、「よっしゃ!」とばかり朗々たる演奏を繰り広げる。吹奏楽のコンサートには何回か来たことはあったが、これほど。次から次へと感嘆する瞬間が続いたのは初めて。ましてや、岡山の高校生吹奏楽団員にとっては夢のような演奏ではなかっただろうか。
 楽曲も元気をもらうような曲が多かった。どの曲も心をつかむようなメロディーに溢れており、そのメロディーを支える内声のハーモニーに心を奪われた。そしてリードの十二夜のような、人間の心の機微を表現するような繊細な曲があることも、驚いた。吹奏楽について自分は本当に何も知らないなあと思った。
 このコンサートの目的のひとつは、その年の課題曲を演奏して高校生たちの選択の一助にしてもらうこと(なので、このコンサートのCDが6月に発売される段取りになっている、この日もマイクが沢山設置されていた)。他にも吹奏楽コンクールを闘い抜くうえでの、さまざまな『実験』を披露。
 岡山では「見掛け倒し」「前後逆」「フルーツバスケット」「密集」という、どれも受け狙いのような編成・隊形で演奏され、会場も大いに湧いた。そして、どの隊形でも見事な演奏を聴かせ、「さすがプロ!」とうならせた。
 しかし、誰よりも楽しんでいたのはNOWの奏者達で、例えば元大フィルの榎田さん(ダンディズムに磨きがかかってますね!)は指揮台そばのステージ床を椅子にして腰かけて、最前列の観客に楽譜を持たせて演奏していたのは笑った。通常なら1つか2つしか実験しないところを、岡山初上陸(そしてこれが最後)ということで、4つも演奏。丸谷先生が「普通やったら時間外労働で大問題になるところやけど、もうみんな楽しんではるから」「普段、物凄いストレスの中で演奏してはるから、このコンサートに来たらそれを発散するために、子供のようにはしゃいだはる」「一番はしゃいでいる人がいちばんストレスたまってる人や」という厳しいツッコミが入ったが、まさに時間が経つのも忘れているように、そしてNOWの最後の瞬間が訪れるのを、少しでも遅くしたいような、そんなステージ上の空気だっただろうか。
 僕はこのコンサートを3時間ぐらいと呼んでいたのだが、3時開演で6時20分になっても終わらず、後の予定が迫って来ていたので、泣く泣く最後のスパークの色彩交響曲を聞き逃した。後日CDを買おうと思う。



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 コンマスの金井さんの説明では、岡山に来られるということで、岡山=桃色を今年のテーマ色にしてくださったとのこと! 

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あの伝説のブラスバンドが岡山に・・・ [コンサート準備]

 あの、伝説の、「2日限りのブラスバンド」が岡山にやってくる!という情報を得たのは、発売日のわずか1週間前。


 なんとか発売日の昨日(土曜日)にチケットをゲット。本日、発券してきました。


 なにわ《オーケストラル》ウインズ2017岡山公演

 この伝説ブラスバンド、今回が最終回のようです。ウインズ神戸の常連だった僕も、この「なにわ《オーケストラル》ウインズ」は一度も聴いたことが無かった。ホント、滑り込みセーフといったところ。


 問題なのは座席。発売はローソンチケットのみ(なんか、大阪クラシックみたい)。チケットを取る際に座席の指定はできず、発券されて初めて座席番号がわかる。

 チケットを見て愕然!おそらく僕の知る限り、岡山シンフォニーホールの中で数少ない音が飛んでこない席・・・がっくし!


 で、ある場所で愚痴っていたら、どうやら開催に協力している有力な吹奏楽関係者に前もって言っていれば、もう少しいい席が取れていたとのこと。
 でも、自分の周囲が吹奏楽関係者だらけっていうのも落ち着かんし。


 でも、ホームページで改めて出場するメンバー表を見ていたら、座席の事が些末な事のように思えるほど、豪華なメンバー!!クラリネットとかのあまりに豪華なメンバーを見ると、もう笑いが止まらない感じ。なんなん、こんなん反則やろ~

 それに加えて、Flの榎田さん、Hrの村上哲さん、Tpの橋爪さんは、大フィル黄金時代のサウンドを支えた往年の名プレイヤーたちも顔を揃える。涙なしでは見れないかもしれない。


 4月23日 午後11時現在、チケットはB・C席が少し残っているようです。売り切れるのは時間の問題。

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岡山フィルが日本オーケストラ連盟加入を目標に、主要10パートの首席奏者募集 [岡山フィル]

 先日の定期演奏会の感想もまだよう書いていないんですが、今朝の山陽新聞にビッグニュースが掲載されていましたので取り上げたいと思います。

 岡フィルが首席奏者を募集 10パート、メンバー固定へ(山陽新聞)
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ニュースの要旨は
・演奏会ごとに異なったゲストが首席奏者を務めていたが、10パート(第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット)について、首席奏者を固定化する。
・コンサートマスターはオーディションではなく、楽団で人選し今秋の就任を目指す。
・募集はオーディションで行い、4月~6月までの期間に募集。シェレンベルガー氏らで構成する11人からなる委員会が選考。10月に最終審査を行い、数回の定期演奏会での試用期間(12月第九、1月特演、3月定演か?)を経て、来年夏に正式入団(契約期間:3年程度)。
・今回の方針は日本オーケストラ連盟への加盟を視野に入れた強化策の一環である。


  先日の第52回定期演奏会も、ほぼ満員の盛況、シェレンベルガー氏が首席指揮者に就任してから楽団の実力・集客ともに飛躍的に伸長していましたが、一つの実態として各パートの首席奏者(特に木管・金管)については、東京や大阪のオーケストラの首席奏者を助っ人として呼んでいました。確かに演奏は安定しますが、楽団全体の合奏能力が伸長するにつれて、毎回出ている各パートの奏者陣の上に、客演の首席ばかりが座るという体制の矛盾点がいっそう浮き彫りになっていたと思います。東京のオーケストラからの客演奏者となれば、ギャラや旅費・宿泊費もかなりの額に上るでしょうから、年4回の定期演奏会をすべて客演で賄うなら、自前で契約するメリットの方が大きい、そんな経営判断もあったかもしれません。

 それにしても思い切ったものです、一気に10人もの首席奏者の招聘となると、国内のオーケストラ史上を見ても80年代後半の大阪センチュリー交響楽団やオーケストラアンサンブル金沢などの行政主導の新興オーケストラの誕生、あるいは2005年の兵庫県立芸術文化センター管弦楽団、これらのオーケストラの設立に次ぐ大事業になります。

 オーケストラ奏者の就職を巡る環境は、世界的に厳しいという現状があります。国内では大阪のオーケストラの経営危機が話題になりましたし、アメリカではオーケストラの倒産・再生、ドイツなどのヨーロッパではオーケストラの合併なども行われています。しかし、逆に言えば優秀な奏者を集めて来る千載一遇のチャンス。3年契約でどの程度の待遇なのかはわかりませんが、シェレンベルガーの知名度と人脈を生かして、世界中からいい奏者が集まってきていただきたいですね。

 海外の腕に覚えのあるプロの奏者が続々と入団するとなると、市民からの注目度も一層上がるでしょう。他の楽団員の刺激にもなる筈です。
 目標とする日本オーケストラ連盟への加入のメリットについては、以前のエントリーで書きましたので、今回は割愛します。

 早くも今年の10月には、新コンサートマスターの就任披露となりそうですね。いまからわくわくして待ちたいと思います。


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岡山フィル第52回定期演奏会 シェレンベルガー指揮 [コンサート感想]

岡山フィルハーモニック管弦楽団第52回定期演奏会
~Ever! Beethoven~

ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調「田園」
 ~ 休 憩 ~
ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調「運命」

指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー
ゲストコンサートマスター:戸澤哲夫

2017年3月25日 岡山シンフォニーホール

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 海外のオーケストラも含め、このホールで10回以上はベートーヴェンの交響曲第5番を聴いていると思いますが、その中でも最も聴き応えのある演奏でした。会場は90%近くは埋まる満員の中でのコンサート、客席も大変な熱気の中で、これほどプロの奏者が夢中になってベートーヴェンを演奏すると、こういう演奏になるのか、というほど情熱のほとばしる様な演奏でした。
 かといって熱気で押し切った演奏では決してなく、しっかりとした低音の基礎の上に充実した中音域(いや~、この日のヴィオラ、チェロの響きは、国内の他の常設オーケストラに肩を並べるような厚みがあった)、その上にしっかりと乗って旋律をけん引する高音、がっちりとしたマッチョなピラミッド型のハーモニーが徹頭徹尾効かれた。シェレンベルガーが理想とする音に、徐々に近づいているのではないでしょうか。
 田園では第1楽章終結部でがっかりするような場面があったものの、そのミスが音楽全体に波及しないのは流石。第3~第5楽章に向けてのハイテンポな疾風怒濤の展開にもよく楽団員がついて行ったと思います。

(以下、5月3日に更新)

 私の感想の前に、演奏会の5日後には岡山フィルから動画がアップされています。徹頭徹尾、熱のこもった、ベートーヴェンらしいピラミッド型の堅牢なサウンドを楽しんでください。
 モニターマイクのみで録られているため、ティンパニの音が強く、バランスが悪いと感じられるかもしれませんが、会場で聴いた音楽は非常によくまとまっていました。

 編成は(見たらわかる!?)1stVn12→2ndVn10→Va8→Vc6、上手奥にCb6本の、再低音補強型の2管編成でした。
 会場の空気は、前回1月の定期演奏会後の興奮した空気がまだ残っているかのよう。やはりオーケストラの定期演奏会は2か月に1回ぐらいは開催して欲しい。そして、今回はベートーヴェンの5,6番で、今年は10月に7,2番。12月に9番のコンサートを控えている。実質的にはシェレンベルガーと岡山フィルのベートーヴェン交響曲ツィクルス中間地点であり、聴衆もそのことをよく理解しているような昂ぶった空気だった。
 シェレンベルガーのこれまでのコンサートでの配置は、チェロをアウト(舞台側)、ヴィオラをイン(舞台の奥)という配置を取っている。かつてシェレンベルガーが所属したカラヤン時代のベルリン・フィルも、この配置が多かった記憶があるが、動画を検索してみるとヴィオラをアウトに配置する動画も結構見られる。現在ラトルのベルリン・フィルは、古典派はほぼ対向配置。ロマン派以降はヴィオラがアウトに配置する。
 いつかは、この配置を採る理由をシェレンベルガーさんに聞いてみたいと思う。
 1曲目の交響曲第6番「田園」は、全体的に快速テンポで進んだ。これ以上早くてもこれ以上遅くてもだめ。まさに田舎に着いた時の愉快な気分を表すテンポだった。
 シェレンベルガーのベートーヴェンを聴くのは4回目になるが、彼が棒を振るだけで、まさにベートーヴェンの音楽がホールに広がる。ベートーヴェンの音楽って何?と聞かれると答えに窮するのだが、私が子供のころからCDで親しんだカラヤン&ベルリン・フィルとの3つの全集(しかも3回目はシェレンベルガーのオーボエも聴こえる)、あるいはブロムシュテット&ドレスデン・シュターツカペレや、クーベリック&バイエルン放送交響楽団。これらの演奏と確実に「地続き」の音楽である、という確信が得られる演奏なのだ。
 そして改めて思ったのは、やはりシェレンベルガーのベートーヴェン演奏の重要な要素は、以前にも書いた通り、ベートーヴェンの『鼓動』であり、そしてベートーヴェンが感じていた『風と空気』だ。弦の刻み一つ一つからベートーヴェンの頬を撫でていたであろう、風が感じられた。

 前回の定期演奏会では、弦楽器奏者の何人かから(特に弱音部での)音の質感を害する音が聴こえて来て、奮起を期待する感想を書いたが、今回はよく弾き込まれていたのだろうと思う。全員が同じ質感の音を聴かせてくれ、大いに面目を回復した。
 ただし、第1楽章終結部でヴァイオリンの一部の奏者がずれた。恐らく一人の奏者のミスだったものが何人かに波及したのだろう。第1楽章の「収め」の重要な場面だけに看過できないミスだった。
 
 第3楽章から第4楽章、そして第5楽章へのアタッカで突き進む3つの楽章は圧巻だった。第4楽章はティンパニの切れ味が抜群。いやもう、あれは雷の音にしか聞こえなかった。渡邉さんのティンパニストとしての凄さを改めて感じた。
 第1楽章も(ヴァイオリンに一瞬の緩みがあったものの)弦5部も、本当に見事な演奏だった。シェレンベルガー&岡フィルの真骨頂は仕事の丁寧さと、どんな名曲プログラムでも全力で演奏すること。「田園」なんて、主要オーケストラだったら目をつぶってでも演奏できるでしょうが、岡フィルにとっては年間120にのぼる演奏会のうちのたった4回の定期演奏会の晴れ舞台。このモチベーションの高さは得難いと思う。
 第5楽章での、滴り落ちるような瑞々しさと言ったら・・・、岡山フィルが「上手くなった」というよりは「いい『音』を手に入れた」、そう実感した瑞々しい演奏だった。

 休憩時間に思ったこと。このホールは3月~5月ぐらいが、特に音がいい。空調完備の現代のホールとは言え、観客が頻繁に出入りするし、観客自身の服装などでも音は影響される。このシーズンは異常乾燥注意報などが頻繁に出されるほど、岡山は乾燥する季節。火事が多発するなど大変な時期ではあるのだが、ことオーケストラ音楽という点においては、楽器の持つ本来の響き遺憾なく発揮できる時期なんでしょうね。

 休憩後は交響曲第5番。結論から言うと、シェレンベルガーの楽曲の構築力を存分に堪能した演奏だった。冒頭の音型は「単なる提示部」であり、それを繰り返すことによって徐々に高揚感を高めていく。展開部に入ってさらにギアを挙げ、オーボエの悲しげなメロディで独特の緊張感を演出、最後の3分間に第1楽章のピークを持って来る。だから、最初の4つの音を聴いた時は、若干肩透かしを食らった感じがあったが、最後には唸るしかない構築感で聴かせてくれた。竜頭蛇尾な演奏になりがちなこの曲を、見事に料理。
 それに加えて、岡フィルのサウンドがなんといっても素晴らしかった!いや、本当に凄いサウンドを奏でるオーケストラになったなあ・・・というのが心からの感想。シェレンベルガーの導きによるところが大きいのだろうけれど、各奏者も幼少のころから研鑽を積み上げ、音楽大学ではエリートコースを歩み、海外での修行も経験した人がほとんど。そんな彼らの一人一人の才能・潜在能力が結集して、今のサウンドを作り上げている。岡山の大いなる財産、といっていいでしょう。

 個別に印象に残ったところを記録しておくと、まずはホルン!前半の「田園」もそうだったのだが、ホルンの笠松さんが、とにかく凄い、表現のパレットの多彩さと、強奏する場面での音の圧力と輝かしさには本当に惚れ惚れする。特別客演首席として、定期演奏会だけでも登場して欲しいと思う。
 ティンパニも田園に引き続き素晴らしかった。第3楽章~第4楽章にかけて、シェレンベルガーは要所要所で弦のアクセントを強調しつつソリッドに、管のアクセントも強調し、そしてティンパニをかなり強めに叩かせて、轟音ともいえる壮麗な響きをホール一杯に響かせる。それもこれも渡邉さんのティンパニあっての解釈だった。そんな壮大な響きのなかでも、チェロバスの低音のアクセントを強めに走りに走らせ、カラヤンのような油絵の具を塗りこめるようなサウンドではなく、瞬発力と見通しの良さを持った絶妙のサウンドを作り上げていた。
 第5番は指定された繰り返しはすべて実施。

 動画を見ると、ティンパニの音を拾い過ぎて、音が割れ気味になっています(笑)それでもこの日の演奏の物凄いサウンドの片鱗は感じられます。とくにここの音階上昇から16ビートの激しいモチーフで高揚していく場面が好き。
 この2曲だけでも大変な満足感があったのだが、アンコールにモーツァルトの「フィガロの結婚」序曲まで演奏するサービスっぷり。シェレンベルガーって音楽に対して極めて実直で誠実なんだけれども、サービス精神も旺盛なんですよね。この日は弦楽器トップ4人の弦楽四重奏のプレコンサートもありましたし、その上シェレンベルガーのプレ・トークもありました。やれること・打てる手はすべて打って行く感じです。足を運んだ聴衆は120%、満足して帰路についたのではないでしょうか。
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 終演後は頭がカッと熱くなるほど余韻が物凄くて、帰りに嫁さんと表町の喫茶店でゆっくりしたんですが、同じように終演後に商店街へ足を運ぶ人が多かったですね。今回は土曜日公演だったんですが、日曜日公演よりもゆっくりとした時間を過ごされる人が多かった印象があります。今の岡山市は、岡山フィルを中心市街地の活性化の起爆剤の一つに位置づけているようですが、これが2か月に1回のペースで行われれば、かなりの波及効果があるように思います。
 今年は7、10,12月へとシェレンベルガー&岡山フィルのドイツ音楽の系譜は引き継がれていきます。もちろんすべて足を運ぶつもりです。

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倉敷のヴィルトゥオーゾ 室内楽コンサート Vol.2 [コンサート感想]

第31回倉敷音楽祭 倉敷のヴィルトゥオーゾ 室内楽コンサート Vol.2

ピアノ:松本和将
ヴァイオリン:守屋剛志
  〃   :黒川侑
ヴィオラ:中村洋乃理
チェロ:ドミトリー・フェイギン
コントラバス:河本直樹

ラフマニノフ/悲しみの三重奏(黒川、フェイギン、松本)
  〃   /チェロ・ソナタト短調(フェイギン、松本)
  ~ 休 憩 ~
シューベルト/ピアノ五重奏曲イ長調「ます」

2017年3月18日 倉敷市芸文館

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 後半の「ます」も良かったけど、この日の主役はフェイギンさんのチェロでしたね。的確に音を捕らえる演奏は、はじめは「真面目」過ぎるかな、と思っていましたが、途中から正攻法でぐいぐい高揚していく音楽に息を飲みました。

(4月29日 感想後進)

 結局、コンサートから1か月半経ってしまいました。僕は演奏中には絶対にメモを取りませんが、演奏会後に余韻を楽しむ時間を必ず取って、編成や客席の埋まり具合や雰囲気、その時の興奮や感じたことをメモするようにしています。そのメモ書きを元に、感想を起こしていきます。

 昨年の第1回のメンバーからチェロがドミトリー・フェイギンさんに交代、メインのプログラムがシューベルトの「ます」ということで、コントラバスに岡山ではおなじみの河本さんが加わりました。

 まず1曲目は、ラフマニノフのチェロソナタ。フェイギンさんと松本和将さんのデュオ。1901に作曲されたこの曲は、いかにもラフマニノフらしいメランコリックな旋律が次から次へと押し寄せてくる。ロマン派音楽の黄昏を感じさせる曲で、チェロの奏でる旋律だけで無く、ピアノの伴奏も相まって、転調に次ぐ転調で切ないメロディーをたたみかけてくるようなところは、ピアノ協奏曲第2番を思わせる。

 フェイギンさんの演奏は、折り目の正しい演奏で、体の軸をほとんど動かさず、的確に音符を捉えていく感じ。でも、表情は豊か。フマニノフの音符の羅列がくっきりとはっきりと客席に届き、この曲の傑作さを的確に伝えていたように感じる。ラフマニノフに限らず、ロシアの作曲家の音楽には、何とも表現しがたい翳りがある。フェイギンさんの折り目正しい演奏の中に、その翳りを内包しながら前進する音楽に心を解きほぐされた時間だった。

 2曲目の「悲しみの三重奏第1番」は黒川さんも加わってのトリオで演奏。松本さんの解説で「あまり演奏される機会はありませんが、本当に素晴らしい名曲」との言葉通りの曲。チェロ・ソナタもそうだけど、もしこの曲が1860年あたりに発表されていたら、もっと有名になっていたのでは無いだろうか?
 松本さんの情感のこめられたピアノと、高音を中心に伸びやかにうたう黒川さんが主導しているように思うけれど、曲が進んでいくにつれて、この曲もやはりチェロのフェイギンさんの音に惹かれて行く。旋律で主導するところも内声も、通奏低音的な部分も、なんでもこなしつつ、彼の曲想の描き方が全体の演奏の肝になっているように感じられました。
 後半のピアノ五重奏曲「ます」。色々なユニットで聴いてきたこの曲。やはり、これだけのメンバーが室内楽の定番曲を演奏すると、まったく余裕が違うのはもちろんの事。室内楽を中心にやっている守屋さんと松本さんが際立って華があったなあ、というのが正直な感想。鱒が飛び跳ねるような場面や揺れる水面を映すような場面のこの2人のアドリブは流石でした。一方で、シューベルトの音楽のハーモニーも素晴らしかった。ヴィオラ・チェロ・コントラバスの充実した中低音が、この演奏のしっかりとした手応えを与えていたように思う。

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