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音楽の友2017年2月号から大阪のオーケストラ界の現状を憂う [クラシック雑感]

 音楽の友の2月号は(9月号とともに)毎年購入しています。前年度のコンサートや、国内全体の演奏会の状況を振り返る「コンサート・ベスト10」「地方各地の音楽状況」は毎年興味深く読んでいます。

音楽の友 2017年2月号

音楽の友 2017年2月号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 音楽之友社
  • 発売日: 2017/01/18
  • メディア: 雑誌

 恒例の「39人の音楽評論家・記者が選ぶコンサート・ベストテン」では、ここ数年、海外オーケストラの来日公演のウェイトが減少してきています。上位を占めるのは確かにバイエルン放送響やドレスデン・シュターツカペレなどの海外一流オーケストラだが、逆に、ウィーン・フィルを選んだ評論家がわずかに3名となるなど、厳しい評価が下されるオーケストラも多い。
 その一方で、国内オーケストラは、在東京のオーケストラを中心に、東京フィル17人、日フィル16人、N響16人、読響12人、都響12人など、海外オーケストラと並ぶ評価をする評論家も多い。
 東京在住の評論家が多いため、他都市のオーケストラが取り上げられにくいが、それでも、OEK1人、京響1人、群響1人、札響1人、仙台フィル1人、広響1人と昨今評価の高いオーケストラが取り上げられている。
 そんな中でショッキングだったのは、大阪のオーケストラを誰も選ばなかったことだろう。39名の評論家には関西に拠点を持つ人も含まれているだけに、関西6オケの中から選ばれたのが京響のみ、という結果には驚きを隠せません。
 「地方各地の音楽状況」を見ても、「札響の充実ぶりに触れなくてはならない」「仙台フィルの定期は相変わらず驚くようなプログラミングで聴衆を喜ばせてくれた」「(名古屋フィル)シェフと奏者の絆は深まり充実した演奏が展開された」「(京都市交響楽団)好調を維持している」「(広響)下野音楽総監督に集まる期待」「(九響)小泉体制4年目で管楽器陣パワーアップ」など、わくわくするような話が踊る一方で、大阪の4オケについては…
「(東京に比べると)関西は以前と比べてもずいぶんきんびしい状況になった印象が強い」

「経済的基盤の弱さを反映するかのように、内容にも集客にも陰りがみられる」

「このままでは縮小再生産の道を歩むだけ」

 との極めて厳しい指摘が展開されている。
 もともと音楽の友という雑誌は、故宇野功芳氏に代表される、レコード芸術の評論家陣に比べると、よく言えば前向きでソフト路線、悪く言えば提灯記事(失礼!)のきらいがあった。オーケストラ団体が演奏会の広告を掲載するなど、スポンサーとなっている性格上、そこまで厳しい記事はほとんど見たことが無かった。
 それなのに、この書かれようはほとんど「酷評」といってもいい内容だ。
 もっとショックだったのは、「データで見る日本の音楽状況2016」の「演奏会回数の動向」の記事。
 2016年は演奏会回数で、大阪が名古屋に抜かれていたのである。
 2010年には大阪:名古屋は、8.1%と6.1%で、つごう2%もの開きがあったが、2015年にはともに6.9%で追いつかれ、2016年には6.6%と7.1で0.4ポイントの差をつけられて追い抜かれてしまった。
 もっともデータは音友のコンサーガイドに掲載された演奏会であるため、実数を反映していないかもしれないが、6年前には大阪の3/4程度の回数だった名古屋に一気に抜かれたことを鑑みるに、大阪と名古屋の経済の勢いの差、といったものを感じざるを得ないですね。
 一方、我らが岡山フィルは「各地の音楽状況」に取り上げられています。シェレンベルガー氏が就任前には、「音楽の友」誌からは、全く「無視」されていたことを考えると、隔世の感があります。

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指揮者とオーケストラに関する雑感 [クラシック雑感]

 今日は、ある指揮者の方(仮にZ氏とします)が書かれたブログについて、思うところがあったので記事にしました。事情を知っている方は「ああ、あのことか」とわかると思いますが、混乱に拍車をかけるのは本意では無いので、知らない人は「なんのことやら」という記事になっていますがご容赦ください。

 話は、財政面で窮地に追い込まれた『オーケストラX(以下Xオケ)』が、もっと集客を伸ばして収益構造を改善するために、指揮者Z氏が任命されたところまでさかのぼります。

 それまでX市に多大なる貢献をしてきたXオケ。事実、市民が気軽に参加できるまちかど音楽祭でクラシック音楽のイベントとしては空前の5万人以上を集客し、街の人々を彼らの磨き抜いた技で魅了し、また野外演奏会では雨の中でも必死で演奏するXオケのメンバーに胸を打たれた市民は多く居た。

 しかし、政変が起こり、政変を支持する熱狂的な市民たちが、「彼らの仕事は公(おおやけ)のお金を投入する価値なし」との暴論に同意し、Xオケを経済的に追い詰めると同時に、楽団員たちは自分たちの仕事が認められないことに落胆し自信を失いつつあった。

 そんな逆境のなか指揮者Z氏が就任。Z氏がすべき仕事は、①彼らの仕事の価値は他には代えられないものであり、自信を取り戻させ前指揮者の全盛の時代の勢いを取り戻すこと。➁楽団創設者が手塩にかけて築いてきた歴史と伝統を継承し、オンリー・ワンの存在を維持すること。この2つだと私は思っていた。

 しかし、Z氏が行ったのは、楽団員のプライドをズタズタに引き裂くような演奏批判と伝統の奏法の否定だった。しかもネット上に晒すという方法で。
 それでも楽団員は批判を真摯に受け止めた一方で、ある楽団員は「ネットに書くのではなく直接言ってほしい」との意見表明をした。楽団創設以来の危機の苦境の中、ともに頑張っていくはずのリーダーが、後ろから鉄砲で打ちかけた。こんな状態では両者に真の信頼関係は生まれ得ないだろう。書き込みは1日で消去されたことも謎として残った。

 今の世の中、「言いたいことを言うことが正義」「自分の意見を押し殺して言いたいことを言わないのはバカ」、そんな価値観が大手を振ってまかり通っている。
 私に言わせれば、こういう主張をする手合いは『子供』なのだ。彼らは「リスクを取って自己責任で自分の意見を言う」ことが、なれ合いのムラ社会の日本を変えるのだ!などと思っているが、ほとんどの場合、彼らは自分が起こした混乱を自分で収拾することがはない。

 少し話はそれるが、私の友人にX市で教師をしている者が居るが、「言いたいことを言うことが正義」の政治家どもが、何の考えも無しに導入した公募校長が不祥事で辞職した後、子供や地域や親の信頼回復のために、砂を噛むような思いをしながら事態を収拾したそうだ。
 その政治勢力は大変な思いをしながら事態を収拾して回っている、真面目で善良な人々をバカにし。逆に「またムラ社会のやり方で根回しをしている」と吹聴して混乱を煽る。人心は荒廃し様々な分野で優秀な人材ほど流出していく。オーケストラ業界もその例に漏れない。

 話を元に戻す。Xオケは500回の記念定期演奏会を迎えた。その際もZ氏は「500回という数字に意味は無い」と言った。関係者は逆境にある楽団の中でも目出度い節目を盛り上げようと、様々な企画を行った。採算を度外視し、長年のファンのために特別記念誌まで作った、そんな関係者の努力と汗に思いをはせることが出来る人間なら、あえて言わなくてもいい「格好付け」「自己演出」の言葉は言わないはず。Z氏は要するに『子供』なのだ。

 今回、記事を書いた理由は、Z氏がネットにXオケのことを「Xオケは良くなった」と単純に書けばいいのに、以前の演奏批判を蒸し返し、挙げ句、1日でその記事が削除されたのは、「事務局長に口止めされた」と暴露した。自分が良くした、ということを強調したいのだろう。これを見て「これではXオケの楽団員さんたちの立場が無い」と心底心配する。

 私はXオケのコンサートの席でZ氏が他の指揮者の演奏批判をするのを聴いて、「音楽を聴きに来たのに、なんでこんな不愉快をせなあかんのか」と思い、Z氏の出るXオケのコンサートには行っていない。だから、彼がどこまでXオケを良くしたのかの物差しを持たない。
 
 しかし、こんな言動をするリーダーに誰がついていきますか?前指揮者はXオケの悪口を一切言わなかった。それどころか創立指揮者の音楽作りに感服し、「世界中探してもどこにも無い音」と言った。
 僕が忘れられないのは、前指揮者がドイツの楽団を率いてX市に来た際、楽屋裏でのファンとの会話の中で、あるファンが「ドイツのオーケストラは、Xオケとは違いますね。凄い音ですね」と言ったとき、「Xオケだって凄いですよ、あんな音を出せるオーケストラはドイツにも無い。もし、物足りなかったとしたら僕の指揮が下手なんです」と真剣な目をして話していた。
 オケを一切批判せず「自分の指揮が下手」と全責任を負う指揮者、ネットに何度も批判を展開し、周囲の努力と汗を自己演出の薄っぺらい言葉で無にする指揮者。僕は後者を支持することは出来ない。

 Xオケの歴史と伝統に根差した独特のサウンド、あの魅力は抗いがたいものがある。これからもずっとあの音楽を聴かせてほしいし、そのための応援は惜しまないが・・・Z氏にこのまま期待して、願いを託していいのか?僕は今、ジレンマの中にいる。


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岡山シンフォニーホールでの3階席閉鎖公演について [クラシック雑感]

 前回、「もう一つの要望」と書いてから時間が経ってしまいましたが、ブルノ・フィルのコンサートで感じたこと。それはタイトルの通りです。
 当日のコンサートでは、チケットの売れ行きが芳しくないことを事前に予測されていたようで、3階席を閉鎖していました。このホールではよくあることなんですが、そうすることによって主催者への貸館料をディスカウントすることができるようです。しかし、このことがコンサートを楽しむ上での大きな欠陥を生み出していることをホールの関係者はご存知なのだろうか?

 
1.オーケストラコンサートの致命傷になりかねない「エコー現象」が生じる、3階席全面閉鎖の措置は、即刻やめるべき
 以前にも指摘したことがあるんですが、広大な三階席の空間に反響音が滞留して、「エコー」現象が起きているんです。
 エコーとは「やまびこ」という名のとおり、全体の反射音とは分離し時間差で音が聞こえてくる音響障害で、音が1~2秒の時間をかけて徐々に減衰する、いわゆる「残響」とは違います。
 実際、どのような現象が起きていたかというと、バルコニー席で聴いているとよくわかるんですが、ステージで鳴っている音が、そのままコンマ5秒遅れの時間差で3階席の空間からも聞こえてくる。一番しんどいのは大音量のトゥッティーがバシッと決まり、繊細な弱音に移っても、まだ大音量のトゥッティーが3階席でこだましているんです。これは聴き手にとっては興ざめなことです。
 もともと岡山シンフォニーホールの音響は、ほとんど非の打ちどころの無い素晴らしいもので、故サヴァリッシュ氏やブロムシュテット氏をはじめ、著名な音楽家の絶賛を浴してきました。音響設計は、世界的に評価の高い永田音響設計が手掛け、多目的に使える(完全なクラシック専用ではない)ホールの中での永田音響の傑作の一つに数えられています。
 しかし、これは各階にある程度のお客さんが着席している状態で理想の音響となるように設計されているもので、3階席をまるまる空席にした状態なんていう使い方でカスタマイズされているわけではない。
 3階席を空席にするのは、お客さんの立ち入りを禁止することによって①ホール内・フロア・トイレなどの清掃コスト、あるいは、②イスや床などの摩耗コスト、これらがかからない、という名目によって、貸館料をディスカウントするためのものだと思われます。
 しかし客を立ち入り禁止にすることによる摩耗やコストなんて微々たるもの、それによってせっかくの一期一会の音楽体験が、防止可能な音響障害によって台無しになるのは本末転倒ではないでしょうか?
 

2。貸館料の関係で、使用席数の制限を掛ける時は、徹底的に顧客目線に立って、音の悪い席から閉鎖し、音の良い席は開放すべき
 もし座席制限でディスカウントをするなら音響や視覚的にハンデのある
 ・2階席後方ブロック
 ・3階席後方ブロック
 ・1階バルコニー席2列目
 を使用禁止にしてディスカウントすればいいんです。今回、皮肉にも、このホールで唯一音が届きにくい(僕ならまず選択しない)2階後方ブロックが一番席が埋まっていたんですよね(1番価格が安いB席に指定されていますから)。
 逆に、閉鎖されていた3階席の前3列は、よくブレンドされた音が上がってきて、非常に良質な音響で聴ける席なんです。音の悪い2階の後方席に押し込められた人が、もしブルノ・フィルの柔らかいハーモニーを3階席前列で聴くことが出来れば、このコンサートの満足度はもっと向上したことでしょう。
 ホールの関係者の皆様、ぜひご検討を!

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クラシックソムリエ検定 [クラシック雑感]

 クラシックソムリエ検定。初めて岡山で開催されるそうですね。(かなり限られた)自分の周りでも少し話題になっています。

 岡山では「エントリークラス」と「シルバークラス」が受験できるそうです。以前、問題を解いてみたことがあるのですが、エントリークラスは対策なしで合格できそうでしたが、シルバークラスはなかなか難しい。オペラのストーリーが分かっていないと解けない問題とか、ショパン、リストなど、自分から進んでは聴かない作曲家のエピソードとかになると全然・・・。

 自分の狭い世界から、少し視野を広く取るにはいい機会かも?と思ったんですが、試験日のある11月8日(日)は仕事の行事があるので受けられないことが判明・・・

 受験者が少ないと、岡山ではもう開催されないかも知れないので、ご興味のある方は受けてみられては?

 なお、11月8日は、このイベントも開催されます。市内の交通は麻痺するのは必至!!ですのでご注意を。私も仕事で大迷惑を被るクチなので、対策に今から頭を抱えています。


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コンサートの『場』 [クラシック雑感]

 先日聴いた、長岡京室内アンサンブルの舞台配置について、何度も「奇抜な」と繰り返してしまいましたが、「百聞は一見に如かず」ということで、チェリストの金子鈴太郎さんのブログにリハーサルの写真が載っていましたので、自分への覚え書きの意味でもリンクを貼らせて頂きます。

http://ameblo.jp/rintaro-kaneko/



 あと、改めてルネスホールという空間はいい『場』になっているなぁ、と思います。なんというか・・・観客が一観客としてふんぞりかえって聴くことを許さないというか、平たく言えばライブハウスの雰囲気なんですよね。

 作曲家の新垣さんがプログラムにこんなことを書かれていました

「弦楽器という謎に満ちた楽器に潜む多様な音の可能性(もちろんそこにはそれを生み出す奏者の、長い厳しい修練の歴史が刻まれている)、そしてその集合体といった、私にとっては目が眩み途方に暮れるほどの媒体を目の前にして・・・・」

 岡山シンフォニーホールもいいホールですが、どうしても観客は「お客さん」の位置から抜け得ないんですよね。①舞台に立つ奏者がどれほどの訓練を積んで、そこに立っているのか?②星の数ほどもある楽曲の中から、奇跡的に(まさに霊的な力を纏って)生き残ったその楽曲を演奏する、というクラシック音楽のまさに醍醐味までもマイルドにしてしまう。
 ルネスホールぐらいの空間だと、その2つの事実のグロテスクさがバチンと自分のほっぺたをひっぱたくような感じがあるんですよ。この感覚は、最近まで全くクラシックに触れてこなかった僕の相方も感じていることなんで、多くの方と共有できる感覚だと思う。大原美術館のギャラリーもそういう「場」の力がありますね。

 オーケストラの規模のホールでいうと、もしかすると岡山シンフォニーホールよりも倉敷市民会館の方がその「場」の力が強いかもしれない。あくまで僕の感覚ですが。

 そうなると、岡山フィルが今、プレゼンスを上昇させているのは、シェレンベルガーという「場」の力を創る力が強い人が率いているからだ、と言える。
 それは僕の勝手な印象ではなく、実際に奏者のポテンシャルを引き出しているのは間違いのない事実であるし、「ベートーヴェンの音楽とは何か」「ブラームスの音楽とは何か」ということをこれほど岡山フィルのコンサートで体現した音楽家は居なかった(語弊を覚悟でいうなら、シェレンベルガーという人の体に染みついたものを発揮するだけで、それが叶うような圧倒的な力)から。

 客席で「他人事のような顔をして聴いている聴衆」に対して、舞台上のパフォーマーの力と、楽曲そのものの霊的ともいえる生命力でもって、そのほっぺたをひっぱたくということ。すなわち岡山の人々の心に岡山フィルの音楽という存在を植えつける。そのためには、岡山シンフォニーホールという整えられた近代装置の心理的な大改造が必要じゃないでしょうか。

 シンフォニービルは間違いなく岡山の旧市街のランドマークになっているけれども、あの長いエスカレーターを登って、3回の入り口をくぐってまたエスカレーターに昇って、という空間は、どうしてもなじみのない人にとってはとてつもなく敷居を挙げている。
 中に入れることに成功したとしても、整然とした座席と理想的な音響に鳴り響く綺麗な音を聴いていると、高尚な癒しの空間。でも日常ではないよね、という感じになってしまいそう。

 すんません。頭の中で思いつくまま書きましたので、支離滅裂な文章になっています。また、これについては後日に書きたいな?と思います。


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牛窓シーサイドホールの閉館 [クラシック雑感]

 牛窓の豪商だった東服部家の米蔵を改造して2011年にオープンした牛窓シーサイドホールが、11月1日をもって閉館したというニュースに接しました。

 土足ではなく靴を脱いで上がるというスタイルや、見事な柱と梁の建物に床にも木材をふんだんに使ったホールは、非常に居心地がよく(満席の際は補助席・・・ではなく、座布団が出て席を増設する、というのも印象的でした)、音の響きについても特にヴァイオリンが素晴らしい伸びのある音を響かせていて、本当にいいホールが出来たなあ、と思っていた矢先でした。

 地元出身の2人のピアニストを中心に、岡山の様々なプロの演奏家が登場したマンスリーコンサートなどの意欲的な企画が光っていたし、ここで演奏した舘野泉さんが「牛窓で音楽祭を」との提言などもあって、まさか閉館に追い込まれるまで経営的に厳しい状態だったとは思いませんでした。

 今更悔やんでも仕方ないんですが、私が足を運んだのはたった2度ということで、偉そうなことは言えませんが・・・

 こういう民間のホールは、地方ではほとんど成功例がありません。それを思えば、3年余りでの閉館は早すぎるとはいえ覚悟すべき結果だったかもしれません。しかし、もう少し前の段階で音楽マネジメントの専門家に入ってもらって、文化庁の予算を引っ張って来るとか、地元の瀬戸内市が支援したりできなかったものなのか?と思ったりもします。地元の瀬戸内市も、この全国的に見ても本当に街の歴史や景観に見事にマッチし、音響的にも優れる貴重なホールという『宝石』に気づかなかったんでしょうか?「セットちゃん」なんていうゆるキャラにお金と人的リソースを投入している場合ではないですよ。ホントに。

 隣県の兵庫・島根・広島などに比べると(わが地元岡山市を含めて)、県庁を筆頭に文化振興に対する考え方が10年以上(兵庫に比べると20年以上は)遅れていて、本当に支援が薄い。それでいて、国体や国民文化祭、ゆるキャラやB級グルメ、その上都市型マラソンまで開催する、よそでもやっている似たようなイベントにばかりお金と労力を掛けるのは、もういいかげん辟易します。

 更新されなくなったホールのホームページには、まだホール紹介の文章が残っています。

『クラッシックやジャズなど幅広い音楽を通して歴史とロマンにあふれた牛窓を世界に発信したいというのがホールの夢です。』

 こういったホールが維持できないという脆弱な文化的な土壌であるというのが本当に残念です。
 

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大阪版「マエストロ、それはムリですよ」になるのか!? [クラシック雑感]

 大阪府立のオケから民営オケとして経営再建と自立の道を目指している日本センチュリ交響楽団の来季プログラムが発表されましたが・・・

 なかなかぶっ飛んでます。曲目的にはしごくオーソドックスなんですが

 なんと年8回のザ・シンフォニーホールでの定期を2日連続公演に!
 

 まさに各方面から「マエストロ、それは無理ですよ!」との声が殺到しているであろう、この一見無謀な方針。果たしてマエストロ飯森に勝算はあるのでしょうか?

 実はこれには色々仕掛けがあるらしく、まず金曜日公演のチケットを買った人には、土曜日公演のチケットが半額になる「おか割」という制度を作ったり、京響がやって大成功を収めた、いわゆる後半券の「あと割」というのも作っている。
 定期会員にも特典があって、基本、従来の定期会員は金曜日公演の会員に割り当てるらしいですが、土曜日に振り替える場合は、もう一人の会員分のチケットがついてくるらしい・・・

 ご丁寧に、金曜日と土曜日のプログラムを微妙に変えてあったり・・・

 プログラム的には全く無理をしていないですね。必ず1曲はメジャーな曲が入っている。もしシンフォニー2日公演じゃなかったら、保守的、と映ったかもしれない。

 私個人的には、これまでは木曜日固定公演だったので、センチュリーの定期演奏会にはなかなかいけませんでした。金・土両日公演だと他県民には足を運べるチャンスが格段に広がります。フェスが本拠地の大フィルや、京響とからめてコンサート鑑賞旅行なんてのも日程が組みやすいし、大歓迎です。

 でも、この定期2日体制は1年目が勝負でしょうね。単純に集客を2倍、と言っても6つのオケがひしめく京阪神のマーケットの中では、新しいファンを獲得するしか動員を増やす方法は無い。おそらくこれだけじゃなくて、二の手三の手を打って来るんでしょう。

 それからいずみホール定期は、「ハイドン・マラソン」なんですね。僕はハイドン好きですけど、関西ではあまり客が入らないと言われるハイドンをこれほどまでに推して大丈夫だろうか。
 しかし1人の作曲家を徹底的に追うというのは山響でも成功させた手法。これが成功して「関西でハイドンやらせたら、やっぱりセンチュリーやな」という評価が固まれば、50人サイズの楽団に合った強力なセールスポイントが出来るわけで、よく考えられていると思います。

 四季コンサートはセンチュリーならではの小編成の名曲をリーズナブルな価格で、というコンセプトだったのだと思いますが、他のコンサートとどう差別化されているのか?イマイチよく解らなかった。今後は京響がやっているオーケストラ・ディスカバリーや、関西フィルのmeet the classicのように、入門編・クロスオーバー系企画としての方向性を打ち出すのかな?と。

 地方特別演奏会も整理して、大阪でどっしりと腰を据えていくんですね。こういう方向で行くなら「大阪」センチュリーのままの方がよかったんちゃうか?と思いますが、大阪でのコンサートが日程的に聴きに行きやすくなれば、企画次第で大阪に人が集まって来るでしょう。今後のマエストロの「それは無理ですよ」な企画に期待します。

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プロオケ32楽団、聴衆400万…欧州も凌駕する“ジャパン・パワー” [クラシック雑感]

 韓国の新聞社の記事です。興味深かったので転載。

プロオケ32楽団、聴衆400万…欧州も凌駕する“ジャパン・パワー”
2014年05月23日15時21分  中央日報日本語版

 日本は世界古典音楽界の強者に挙げられる。クラシックビジネス専門家の間で、東京のマーケットは最大の管弦楽市場だ。最高水準を誇る世界的な交響楽団や演奏者たちが日本の舞台に進出しようと心を砕いている。主にソウルだと1~2回の演奏会しか開催しない韓国舞台に比べ、8~10都市の巡回演奏会が保証されている日本が、アジアのクラシック市場を制覇しているのは当然のことだ。最近では中国がその後を追っているが、まだ日本には及ばないという評価だ。それだけ日本は舞台・客席ともに長きにわたる歴史とともに厚い人的構成を誇っているということだ。ロンドン・ベルリン・パリとは違う独特さを持ち、クラシック・ミュージックの本場である欧州の水準を超えている。

  日本は特にオーケストラ分野が強い。日本オーケストラ連盟に所属しているプロオーケストラは32楽団にのぼる。これら楽団の音楽を聞きに年間400万人の聴衆がコンサートホールを訪れる。400万人という数字は、海外オーケストラ公演は除外した純粋な自国交響楽団演奏会における観客数だ。アマチュア同好会オーケストラや吹奏楽団も全国に3000団体を越える。楽器を買って定期的に練習する人々は20万人だ。楽器市場に資金がよく巡り、音盤売り場が健在な背景だ。自国オーケストラを愛する管弦楽ファンが日本クラシックの底力というわけだ。

  日本オーケストラの強みとして、専門家はスター指揮者の招聘、感覚的なプログラム構成、専用ホールの運営など3要素を挙げる。2007年、日本オーケストラ連盟でインターンとして所属し、日本交響楽団と東京音楽市場を研究したハン・ジョンホ氏は「NHK交響楽団と新日本フィルハーモニー交響楽団など7大プロ交響楽団は、著名な外国人指揮者を招いて自国の指揮者と競い合わせながら演奏力を向上させた」と分析した。

  6月1日午後8時、ソウル芸術の殿堂コンサートホールで8年ぶりに来韓公演するNHK交響楽団の場合、シャルル・デュトワ、ウラディーミル・アシュケナージ、アンドレ・プレヴィンら全盛期に国際的な名声を得た指揮者を音楽監督や客員指揮者として招いて短期間に大きな発展を成し遂げた。彼らを前に出しつつ、外山雄三や尾高忠明のような自国の指揮者を共同常任指揮者に指名し、一緒に成長させていく体制を整えた。ヘルベルト・フォン・カラヤンをはじめ、ピエール・ブーレーズ、マクシム・ショスタコーヴィチのような巨匠指揮者がしばしばNHKを訓練したのも力となった。         
 

 もうひとつ、辺境交響楽団で世界トップを目指そうとする果敢なチャンレンジ精神も一役買っている。今回のソウル公演でも披露されるマーラー交響曲第4番は、1930年NHK交響楽団が世界で初めて録音し、今でも驚きがあると評価される。最近でこそマーラー交響曲が人気演奏曲目となっているが、80年余り前はマーラーは聞きなれない非主流の作曲家だった。西洋音楽を積極的に受け入れようとする姿勢が、果敢な冒険につながり記録が残ることになった。

  NHK交響楽団と比べて若々しいスタイルの新日本フィルハーモニー交響楽団は、感覚的なプログラム選定と拠点ホールを持つことで育っていったケースだ。今月29日午後8時、ソウル芸術の殿堂コンサートホールの舞台に立つ新日本フィルハーモニー交響楽団は、2010年にインゴ・メッツマッハーを音楽監督に、ダニエル・ハーディングを音楽パートナーに迎え入れながら、日本管弦楽ファンの耳を引きつけている。特に、ルネサンス、バロック、古典派など過去の音楽をその時代の楽器や演奏法で演奏する「古楽」専門家であるフランス・ブリュッヘンにハイドンの主要な交響曲セットを任せ、久石譲に映画音楽演奏を任せるという卓越した感覚を見せた。このような方法で躍動感あふれる交響楽団のイメージを築いてきた。

  そのうえ音響が卓越し楽団がいつも練習できる「すみだトリフォニーホール」は、団員の演奏力を確実に向上させた。ソウル市立交響楽団が専用コンサートホールを持たずにさまざまな演奏ホールを転々としていることと比較される。このホール以外にも、東京交響楽団が「ミューザ川崎シンフォニーホール」を、札幌交響楽団が「札幌コンサートホール Kitara」など独立した演奏ホールを拠点としている。

  ソウル大西洋音楽研究所のイ・ジャンジク特任研究員は「来韓する2つの日本オーケストラは跳躍期に入った韓国の交響楽団が今後心して研究して目を向けているべきスタディケース」と話した。         

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「自国オーケストラを愛する管弦楽ファンが日本クラシックの底力というわけだ。」
 なるほど、僕なんかは典型的なタイプですね(笑)この記事自体はN響が韓国公演を行うタイミングで書かれたもので、色々と政治的な面で問題を抱える中に来韓して演奏を披露する楽団への敬意と公演の成功を企図したもので、いくらかヨイショの部分はあるのでしょうが、韓国から日本のクラシック音楽市場を客観的に鋭く概観・分析した内容に、興味深いものを感じます。

 岡山フィル(記事中の日本オーケストラ連盟に加入するプロ32楽団には残念ながら入っていませんが・・・)の首席指揮者に就任したシェレンベルガー氏は、その就任時に「日本は欧州に比べると若い聴衆が多く、期待が持てる」と仰っていて、正直、「えっ!」という感じだったんですが、総数としてはやはり50~60代以上の聴衆が多数を占めるものの、先月・今月と岡山や京都・大阪足を運んだ演奏会で冷静に観察すると、30代ぐらいの特に女性の聴衆が着実に増加しているかもしれません。

 ここ数年、大阪のオーケストラが直面している危機(あれは人災という気もしますが)や、世界的なレコード会社の倒産やレーベルの消滅、国内CD販売店の閉店などの急激な変化を見てきた自分としては、悲観的なシナリオしか見えていなかったんですが、こういうポジティブなニュースを見ると、例えばNAXOSミュージックライブラリーの登場と隆盛、大阪の惨状を横目にしたたかに飛躍を遂げた京響、広響の急激なレベルアップ、そして岡山フィルのポストにまさかのシェレンベルガー氏の就任、と、ポジティブなニュースも少なくなかったんですね。

 クラシックから話はそれますが、Jポップ市場もCDの売り上げは半減したのに対し、複数のアーティストが共演する「フェス」形式などのライブの動員が爆発的に増加しているようで、自分の周囲でもこの季節になると、どこどこのフェスに行ってきたという話題で盛り上がっています。こちらも負けじと、大阪クラシックの話題なんかを振ってみると「へぇ~、クラシックって家で高価なオーディオに向かって聴くもんやと思ってたけど、こんな面白そうなイベントもあるねんな」と、意外に良好な反応も帰ってきますし。
 音楽を「消費する」時代から生で「感じる」時代へシフトしているのかもしれません。


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久しぶりの京響 [クラシック雑感]

京響、凄いです!木管金管は完璧で、弦のサウンドも以前よりもボリュームが増してモーツァルトではピリオド奏法も難なくやってのける。ジェームス・ジャッドも繊細に緻密に作り込むけれど、それにこだわり過ぎず、流れ重視で京響との相性もよさそう。素晴らしいエニグマでした。
バラーティはいいおじさんになってたけど、ますます腕に磨きがかかって、惚れ惚れします。
まあ記事に起こします。

チケット買い忘れ [クラシック雑感]

 土日の山場を越え、今日は代休を取り、私のストレス解消法の一つである(笑)コンサートの出撃予定を組み直しています。
 すると、2月20日に一般発売になっていた、スイス・ロマンド管弦楽団倉敷公演のチケットを買い忘れていることに気づきました。
 今日、慌てて購入。まだC席(5000円)が残っていたので安堵(笑)

 それから、岡山フィルのHPをチェック。6月の第44回定期演奏会のチケット代が異常に安い!S席:3000円、A席:2000円、B席:1000円はお値打ちだと思います。しかも宮田大さんまで登場するというのですから。

 以前のエントリーでも触れましたが、指揮者の十束尚宏さんを名前に久しぶりに拝見しました。90年代には、斉藤=小澤ラインの有力な後継者として、国内各オーケストラから引っ張りだこの指揮者だった印象があります。実際、wikipedia情報ですが広響音楽監督、群響正指揮者、東京シティ・フィル常任指揮者のポストも持っておられたようです。タイプは違いますが、今ご活躍の指揮者でいえば、下野竜也さんや飯森範親さんのような活躍ぶりといえば分かりやすいでしょうか。

 ここ10年ぐらい、西日本のオーケストラ公演では見かけなくなっていたのですが、今はウィーンの方に住まわれているとのことです。
 (コンサートに行ければ)十束さんの指揮を生演奏で聴くのは私ははじめてになりそうですが、かなり期待していいのではないかと思います。ソロの宮田大さんにも期待ですしね。

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