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国内オーケストラ業界と岡山フィル発展への研究(その4:安定財源を失った先にあるもの) [岡山フィル]

 このシリーズ記事、前回はオーケストラの総入場者数が伸びている関西の中で、一つだけその波に乗り切れていないオーケストラがあることを述べた。
 実は、そのオーケストラこそが大阪フィルである。今回は第4回として「安定財源を失った先にあるもの」ということで、「大フィル」こと大阪フィルハーモニー交響楽団について見ていくことによって、公的支援の果たしていた役割について考えてみようと思う。
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※全体を表示するには、表をクリックしてください 金額に関する単位は千円。

 上にある表は、過去10年間の大阪フィルの経営数値である。関西全体の聴衆のパイが増える中、大フィルの総入場者数は2008年の17万4000人をピークに減少を続けている。井上道義が首席指揮者に就任し、本拠地を2500人もの収容人数を誇る新生「フェスティバルホール」に移した2014年には一時的に回復を見せるも、2015年には再び10年前の水準にまで戻っている。
 
 事業規模についても、2012年以降は「3管編成オーケストラ維持ライン」と思われる、10億円を下回る状況が続いており、事業総収入は地方自治体支援の額に連動して低下している状況が見て取れる。
 言うまでも無くオーケストラで最も経費がかかるのは人件費、単純計算で一人500万円としても、14型3管編成に必要な80人では4億円かかる。ここに首席手当や大規模編成時のエキストラ報酬も加わってくる。これが10型2管編成48名であれば2億4000万円程度に下がり、オーケストラを維持できる損益分岐点は当然、低くなる。
 「なんだ、当たり前のことじゃないか!」と思われるかもしれないが、この点はオーケストラ経営が民間企業の経営とは大きく異なる点で、民間企業は人件費をコストと考え、業務の機械化やIT化によってコストを削減する一方で、事業規模を拡大すればするほど設備や仕入れ値はロットが大きくなる分低減される。
 オーケストラは職人の技術を集約して、より芸術性の高い成果物を生産するための組織であり、人件費の削減は演奏品質の低下に直結する。演奏品質の低下はオーケストラの存在意義にかかわることで、ここは削減が難しい。それでは製品の生産コストを下げられるかというと、ホールの定員を大きくするとしてもせいぜい2500人程度までで、それ以上大きくなるとPAが必要となり、これもアコースティックなクラシック音楽としての存在意義に関わる。回数を増やそうにも年間365日は決まっており、品質を高めるためのリハーサルにも日数を取られるし、労働法上の規制もあるから、年間130日あたりが限度になるだろう。
 そう考えると、オーケストラはコスト削減の余地が極めて小さい興業である一方で、寄付的財源(売り上げとは関係のない、履行義務や債務の生じない財源)=民間スポンサーや公的補助、の大きさで、事業展開が可能な規模が、ほぼ決まってしまう。計算式で表すと
 演奏収入 + 寄付的財源 = 楽団人件費 + その他諸経費
 となり、演奏収入には限界値があり、その他諸経費を極限まで効率的に執行したとすると、楽団人件費は寄付的財源(民間スポンサーの寄付額や公的補助金)の規模に依存する。こういう財務体質となる宿命を負っている。
 これまで見てきた数値からも、大フィルがこれまで提供してきたレパートリーを維持するためには3管編成が不可欠であるが、その損益分岐ラインが10億円前後、ということになるのだ。
 ちなみに、結成以来2管編成のサイズのオーケストラである関西フィルと大阪響は、事業規模7.8億円の間で経営的には安定しており、長期的には集客も伸ばしている。
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 上の表は2015年度(岡山フィルは2016年度の数字を筆者が独自に集計)の地方自治体支援のランキングである(単位は千円)。東京以外で活動している、いわゆる地方オーケストラの中で3管編成を維持できているオーケストラには、おおむね3億円以上の地方自治体支援が入っている。大都市に必要な、「社会・文化インフラ」を維持し、都市の「格」を保っているといえるだろう。東京に行かずとも一流の音楽芸術に触れられる・・・地方都市に住む人間にとっては、これは地域への誇りや愛着、自らのアイデンティティの立脚点にもかかわる非常に大事なことである。
 逆の見方をすると、公的資金に頼らない自主運営で3管編成を保っているオーケストラは東京以外には存在しない、し得ないということだ。
 大阪フィルは2008年までは1.7億円以上の地方自治体支援を受けていた。もし、2007年と同額の地方自治体支援が、2015年まで継続されていたと仮定すると、2015年の事業規模は10億円を上回る計算になる。大フィルにとってはやはり地方自治体からの支援が打ち切られたことが、3管編成の維持という、経営の屋台骨を揺るがす契機になったと言える。
 
 地方自治体の補助金の使途は、その地域の住民が決める、これが地方自治の本旨である。補助金の打ち切りの政治判断までの流れは複雑であるが、乱暴に言ってしまうと、「一部の市民の趣味でしかなく、日本独自の文化でもないオーケストラの運営は、基本的には独立採算で賄われるべきものであり、その赤字補てんに公的補助をすることはまかにならん」というものだった。
 しかし、大フィルの歴史を辿ると、朝比奈隆が育て、大阪という都市を体現する風格と存在感を備えていた日本を代表するオーケストラであったことは否定できないだろう。西洋文化に支援は不要という理屈も首をかしげる。それであれば西洋由来のスポーツが(スポーツも人類が生み出した文化の一環)ほとんどを占めるオリンピックの開催やメダル獲得競争に何兆円もの公費を投入する理由も立たない。
 自治体補助の1.7億円がプライミングポンプとなって、民間支援の獲得や、集客の拡大、あるいはかつては「日本一CDを売るオケ」のレコーディングなどの付随事業の投資を可能にしていた。つまりは赤字事業の公的補てんという視点ではなく、12億円の規模の事業をうまく回転させ、のべ20万人近い人々に芸術性の高い(というとスノッブと受け取られかねないが、要諦は何百年という歴史のフィルターを経て生き残った一流の題材を、技能職人集団による一流の仕事で聴くことが出来る)音楽文化に触れる機会を与え、何十億円の経済波及効果を生み出していたビジネスを回転させていた。議論の中心は、プライミングポンプ(呼び水)として1.7億円が高いか安いか、に絞れらるべきだった。
 大フィルの過去10年の経営数値を見ていくと、その重要なプライミングポンプを失った後、大阪という町の凋落を象徴するように資金や人の回転・集客が悪化。このままでは堂々たる3管編成を維持することは難しくなり、中規模オーケストラへの縮小均衡の道を歩んでいるように見える。
 
 大フィルも手をこまねいていた訳ではないだろう、大阪府・大阪市の公的補助全廃の方針を受けて、様々な収入増加策を取った。定期演奏会チケットの値上げ、定期演奏会会場のフェスティバルホールへの移転、他にも僕が把握できていない対策がたくさん取られたのだろうと思う。
 しかし、経営数字を見ると状況は極めて厳しい。大フィルのファンとしては少々気が重いのだが、もう少し詳しく数字を見ていくことにする。
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 過去10年の大フィルの経営数値を再掲する(金額に関する単位は千円)。
 
 まずは「総入場者数」。2008年~2010年をピークに、長期的に下落傾向にある。2000年代後半の集客の好調さは、2006年から5年間開催された「大阪城星空コンサート」や2008年から始まり、2009年からは5万人以上をを動員する秋の一大イベントになった「大阪クラシック~御堂筋にあふれる音楽~」などのイベントを入り口として、新しい若いお客さんが大フィルに足を運んだのではないだろうか。この頃の定期演奏会の会場のロビーや終演後の楽屋(大植さんが毎回サインに応じていた)周りには若いファンや女性のファンが沢山居たことを思い出す。大阪市からの支援の打ち切りで星空コンサートが終演し、大阪クラシックも大フィルだけのイベントでは無くなったことで、徐々に大フィルのプレゼンスが弱くなってきたことが考えられる。
 
 次に事業総収入の加盟団体内でのポジションを見てみよう。
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 2007年の総事業収入と総入場者数の散布図である。より詳しい傾向を分析するため、N響・読響・東フィルは「外れ値(統計処理上、けた外れに高いなどの例外的なデータ)」として除いてある。
 2007年(12億円)の大フィルのポジションは加盟団体29団体中、7位の位置につけており、N響・読響・都響・東フィル(30~16億円)には及ばないものの、新日フィル、日フィル、東響、名古屋フィルらとともに、第2集団の位置に付けていた。僕の感覚的な楽団の演奏能力もこれらの在東京オーケストラにひけを取らない水準だったと思う。
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 次に2015年の総事業収入と総入場者数の散布図である。こちらのグラフも、N響・読響・東フィルは「外れ値」として除いてある。 
 2015年(8.3億円)の大フィルの総事業収入は、加盟34団体中14位に後退。在東京主要オーケストラの後塵をことごとく拝し、名古屋フィル(10.8億円)、仙台フィル(10.1億円)、札響(10億円)、群響(8.5億円)にも凌駕されており、九響とほぼ同等の事業規模となっている。
 
 また、楽員数37人のオーケストラアンサンブル金沢(8.2億円)や51人の日本センチュリー交響楽団(7.5億円)など、小規模編成のオーケストラと同種準の事業規模であることから、単純計算ではあるが、人件費はこの2楽団よりも相当抑え込まれていることが予想され、楽団の質の低下が懸念される危険水準にあると察せられる。
(※補足、大フィル事務局から公表されている資料によると、2016年度の総収入額は9.7億円にまで回復しているようだ)
 
 いっそう深刻なのが、演奏収入も大幅に落ち込んでいることである。
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 2007年の演奏収入と総入場者数の散布図。この年の演奏収入は6.2億円あり、業界内でもかなり高い水準だったが、この年をピークに長期低落傾向にあり、2014年の井上道義の首席指揮者就任の年には一時的に回復したものの、2012、14~15年は過去10年間での最低水準が続いている。
 2015年の演奏収入(4.3億円)を加盟団体と比較してみよう。
 2015演奏収入.JPG
 在東京オーケストラはおろか札響(5.4億円)や仙台フィル(4.8億円)などの100万都市のオーケストラにも大幅な後れを取っているばかりか、背後には同じ大阪が本拠の大阪響(4.15億円)や関西フィル(4億円)が迫ってきている状況。これを見ると、大フィルはもはや西日本の横綱とは言えず、大阪での一番手のオーケストラとしての地位さえも危うくなっている。
 演奏収入の大幅な減少の原因は、依頼公演の回数の低下にあるのは明白で、一つの原因として「大フィル」というブランド力の低下があるのではないか。じっさい、私の住む中四地方でも、関西フィルや大阪響が出演するコンサートは多いが、大フィルが登場する公演はめっきり少なくなった印象がある。2管編成の規模であれば(おそらく出演料等が安い)関フィルや大響で充分なのだから。
(※補足、大フィル事務局から公表されている資料によると、2016年度の演奏収入額は5.1億円にまで回復している)
 これらのデータを見ると、大フィルの苦境の根本的な原因は、3管編成をなんとか維持したいオーケストラ側の経営ビジョンに対し、2管編成ラインにある財務状況、この両者がかみ合っていない点にあるように思う。それを横目に関西フィルや大響などの10型2管編成の小回りのきくオーケストラと、需要の獲得競争にさらされているが、安定財源を有しないため演奏上の強みであり楽団の個性でもある3管編成の性能を発揮しきれていない展開になっている。
 
 暗い話題ばかりになってしまったので、少しでも明るい点を探すとすると、まずは会員数の増加がある。「ソワレ・シンフォニー」や「マチネ・シンフォニー」の会員が別に計上されている可能性があるが、そうだとしても大フィルを愛する熱心な会員に支えられていることが疑いようはない。
 そして、民間支援の層の厚さ。特に、2015年には前年比1.2億もの支援額の増加が見られ、新聞社の専属オケである読響に次ぐ、国内2位の民間支援額を獲得している。
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※単位は千円。

 上のデータを見る限り、大フィルは民間資金の獲得にかなり努力している。頑張っているなあ、という印象。
 
 今後は2018年度に就任する尾高忠明・新音楽監督のもと、まずは依頼演奏を増やし、演奏収入と総入場者数について大植英次音楽監督時代のピークの数字(6.2億円、17万人)にまで戻すことが至上命題になろう。そうすれば事業規模10億円台に復帰し、楽団員数を元に戻し、堂々たる3管編成オーケストラへ復活する目途が立って来る。実際、2016年度には演奏収入の回復により、9.7億円にまで回復しつつある(大フィルの公表資料から筆者が独自に集計)。
 大植時代の本拠地が、1700人キャパのザ・シンフォニーホールであったことを鑑みると、演奏収入6.5億円は目指したいところである。そうすれば在東京オーケストラの第2集団に匹敵する事業規模を展開することができ、朝比奈隆時代の4管編成に戻すことも視野に入ってくる。
 自治体の支援もなく、巨大スポンサーも存在しない=安定財源の無い自主運営のオーケストラが、どこまでやれるのか、それは大阪という町の底力が問われているように思う。大フィルの今後に注目したい。

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国内オーケストラ業界と岡山フィル発展への研究(その3:集客分析 関西のオーケストラ) [岡山フィル]

 このシリーズ記事も今回が第3回。岡山フィルからは少し離れますが、私自身も足しげく通い、多少なりともも事情がわかる関西のオーケストラの集客についての分析してみようと思います。

これまでの記事

 大阪・関西地区は2008年の「リーマンショック」と「橋下ショック」以来、苦境に立たされていると言われてきましたが、一方で、前回記事でも取り上げたように、もはや「国民的娯楽」といってもいい動員を叩き出すオーケストラ鑑賞の需要のなかで、「南関東」と「関西」はその人口に比べるとかなり強力な動員力があることも述べました。

 皮肉なことに「オーケストラは根付いていない」と橋下氏が根拠もなく放言したこの関西こそが、全国的に見ても有数の「オーケストラの動員力がある地域」だったわけです。その大阪・関西のオーケストラの観客動員について、もう少し詳しく見ていこうと思う。
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 まずは大阪以外の関西の状況だが、この10年で劇的とも言える観客動員の伸びをみせている。2006年の19万人に対し、2015年は48万人と、2.5倍もの伸びを見せているのだ。
 これはいわゆる「橋下ショック(オーケストラに対する公的補助の打ち切り)」による大阪のオーケストラの奮起によるものでは・・・もちろん、無い!(笑)
 実際はまったくその逆で、兵庫県が潤沢な投資的資金を投入して劇場整備とソフト事業を進めたことが関係している。兵庫芸術文化センター管弦楽団(兵庫PAC管)が設立され、オーケストラ連盟に加盟が認められたこと(2008年)と、それ以後も同オーケストラの観客動員が著しい伸びを見せていることが関西全体の観客動員の増加に寄与している。定期演奏会の会員数・総入場者数とも、大阪も含めた関西の楽団の中で、ぶっちぎりのトップを走る。

 次の要因としては京響の動員数の増加があげられるが、意外にも京響は11万人(2008年)→12万5千人(2015年)と伸びは大きくない(京都市直営時代は判で押したように11万人を計上し続けているので、これがどこまで実数を把握したものかどうか…疑わしいのだが、2015年の数字は公益財団法人として決算監査を受けているので間違いはないと思う)。

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兵庫県立芸術文化センター管弦楽団の年度別数値(人数は人単位、金額は千円単位)
※全体を見るためには画像をクリックしてください

 PACの経営数値を見てみると、やはり目に付くのは地方自治体助成の金額であろう。PACは兵庫県立芸術文化センターの座付きオケであり、その兵庫芸文センターにも兵庫県からの多額の補助が入っていると聞く。私は兵庫芸文センターの無料チケット会員になっているが、毎月多彩な催し物が開催されており、なかでも海外オーケストラ公演や東京でしか見られなかったような舞台が、東京の30%~50%安い価格で見ることが出来る。     
 オーケストラの客演指揮者陣の顔ぶれも蒼々たるメンバーで、人気指揮者:佐渡裕を筆頭にフェドセーエフやマリナー、スダーンなど、西日本のオーケストラの中でも随一の顔ぶれをそろえ、アメリカのオーケストラ並みの定期演奏会同一プログラム3日連続公演を打ち、そのほとんどが完売する。劇場の充実したプログラムと、価格破壊とも言えるチケット代の安さの原資は、間違いなく兵庫県からの公的支援である。その公的資金がプライミングポンプ(呼び水)となって、総入場者数の伸びや事業規模の拡大の基盤になっている。
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 一方で大阪のオーケストラの観客動員はというと、2006年の38万人に対し、2015年には43万人と堅調な伸びを見せている。ということは数字だけを見ると兵庫PAC管にしろ京響にしろ、大阪から観客を奪っての動員増加ではなく、新しいマーケットの開拓による新規顧客の獲得によるものと見ることが出来る。じっさい、『関西+大阪』の観客動員を集計しても伸び率は57万人→92万人で、160%の伸びを見せているのだ。これほどの伸びを見せているのは、前述したとおり他の地方には無い。世界的に見ても珍しい現象かもしれない。

 北摂の交通の要衝:阪急西宮北口という立地は、繁華街やオフィス街のど真ん中ではなく、どちらかといえば住宅街に近い立地ということで、開館前はそんな住宅街に大・中・小ホールを要する巨大な箱モノを作ることにかなりの批判があった。しかし開館効果が薄れてくるころに、ちょうど団塊の世代がリタイヤした時期と重なった。以前は平日の仕事帰りにホールへ寄っていた客層が、自分の居住地からアクセスのいいこのホールの常連となった。。
 兵庫県立芸術文化センターでは、クラッシックのみならず演劇や伝統芸能などの動員も好調で、これらの背景には、戦前からの「阪神間モダニズム」と呼ばれる、文化芸術を牽引してきた地域性や、宝塚歌劇の伝統など、莫大な「生もの」需要があったのだ。阪急沿線を中心としたこの地域は、今後も関西のオーケストラにとって、重要なマーケットとなるものと思われる。

 次回は、そんな関西のオーケストラ動員の隆盛の流れに、一つだけ波に乗り切れていないオーケストラを取り上げて、オーケストラ経営の厳しさにスポットを当ててみたいと思う。

国内オーケストラ業界と岡山フィル発展への研究(その4:安定財源を失った先にあるもの


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国内オーケストラ業界と岡山フィル発展への研究(その2:オーケストラは国民的娯楽!?) [岡山フィル]

  今回は第2回ということで「オーケストラ鑑賞は国民的娯楽!?」と題して、国内のオーケストラ業界全体の集客状況を中心に見ていきます。

これまでの記事


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 日本オーケストラ連盟加入団体の経営数値を見ていった際に一番驚いたのが、オーケストラ鑑賞人口の意外なパイの大きさと推移。加盟団体の集計値によるとオーケストラ鑑賞人口は2006年では約360万人だったものが、2015年には423万人に増加しているのだ。

 これを他の娯楽と比較してみると・・・

2015年の観客動員比較
プロ野球(全体) 2423万人
 セ・リーグ   1351万人
 パ・リーグ   1072万人
J1リーグ     544万人
オーケストラ    423万人
J2リーグ     316万人
Vリーグ女子    33万人

 昭和時代からの国民的娯楽のプロ野球には及ばなかったが、ファジアーノ岡山も所属するJ2リーグの観客動員数を軽く凌駕し、J1リーグの動員数に迫りつつある莫大な入場者数を、オーケストラは動員している。
オケ連加盟団体だけでこの数字で、他にも水戸室内管や神戸市室内管のような非加盟団体や、大晦日恒例のコバケンさんのベートーヴェン交響曲全曲演奏会や、いずみシンフォニエッタなど、その時だけ集まってくるオーケストラの観客はここには含まれていない。海外オーケストラの日本公演も100万人を超えるボリュームがありそう。これらを合わせるとJ1の観客動員数の550万人を超えるかもしれない。
 ついでに言うと「クラシック音楽」という括りだと、ピアノ、ヴァイオリンをはじめとした器楽独奏や室内楽だけでもオーケストラに匹敵する動員がありそう。オペラなども合わせるとクラシック音楽の観客人口は1000万人を突破するかもしれない。
 もちろん、この数字の中には学校を対象とした音楽鑑賞教室や、ポピュラー音楽のアーティストとの共演など、クロスオーバー的なコンサートも含まれるが、これほどの人口がオーケストラやクラシック音楽の「生演奏」に接している事実を前にすると、オーケストラが「国民的娯楽」といってもいいと思う。

 以前、拙ブログでも取り上げたが、韓国の中央日報「プロオケ32楽団、聴衆400万…欧州も凌駕する"ジャパン・パワー"」という記事が、日本のオーケストラの観客動員の多さを『欧州も凌駕する』という最大の賛辞をもって報じていた。

 国内のクラシック音楽の雑誌や関連サイトを見ると、『クラシック音楽は少数者の趣味』という前提に立った記述が多くみられるが、実はそれは思い込みに過ぎない可能性があるのだ。

 岡山フィルをはじめオーケストラで都市の文化芸術の振興を行おうとしている自治体関係者は、この「全国で400万人の動員力」という事実を前面に打ち出してほしい。

 ちなみに、音楽趣味の世界でいえば、FUJI ROCK やSUMMER SONICなど、いわゆる8大夏フェス(野外コンサート)が、のべ20日間のイベントだけで88万人も動員するという・・・(2016年データ)、ポピュラー音楽界の観客動員数は、それこそ年間で数億人億単位であろう。「音楽を趣味とする人々」自体が莫大なボリュームがあり、オーケストラの観客動員数がその莫大なボリュームの中で霞んでしまう、というのはあるかもしれないが、オーケストラのもつ400万人を超える動員というのは評価されるべきだと思う。
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 しかし、喜んでばかりは居られない。

 「そうは言っても周りでオーケストラを聴きに行くのは少数派、としか感じられないなあ・・・」、特に私のように地方都市でこの趣味を嗜んでいると、これが実感だろう。

 コンサート情報のフリーペーパーである、「ぶらあぼ」誌を見ると、掲載されているのはほとんどが東京圏での公演で、地方都市の公演は月に数えるほどしかない。

 実際にデータを調べてみると想像以上の結果が出た。
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 上の二重円グラフ、内側は実際の各地方の人口分布を表しており、外側はオーケストラの観客動員を表している。

 南関東(東京、神奈川、埼玉、千葉)のえげつないほどの寡占状況がわかる。人口にしてほぼ29%ほどの南関東が、オーケストラの総入場者数では54%を占めている。正確に言えば、2015年度の1年間に日本オーケストラ連盟に加盟するオーケストラを聴いた人のうち、「半分以上が南関東に本拠を置くオーケストラを聴いている」ことになる。

 一方で近畿(2府4県)も意外に検討している。人口比では16%であるが、オーケストラの総入場者数では22%を占めている。
 他の地方はおしなべて人口比を下回ってる。経済の活況が著しい名古屋を抱える東海地方を見ても、これまた意外にも人口比の半分程度の動員しかない。
 南関東と近畿をあわせると、全体の3/4を占めることとなり、これでは「オーケストラ鑑賞は国民的娯楽」といっていいのは南関東と近畿のみであり、今後、オーケストラ鑑賞が真に「国民的娯楽」となるには、いっそう地方でのすそ野の拡大が図られる必要がある。

 次は第1回目の記事でも取り上げた、事業規模(総収入額)/総入場者数の散布図である。
3事業規模 総入場者数.JPG

 両者には一定の相関関係がみられ、事業総収入(事業規模)=いわば企業で言えば「年商」が多額になれば事業規模が大きくなり、観客動員も増えることは第1回でも述べた。

 この散布図から、事業規模別にオーケストラを分類してみよう。

① 御三家型4管編成オケ:事業規模・総入場者数ともに別格に大きな(4管編成)オーケストラ。
② 業界牽引型4管編成オケ:年商も総入場者数も大規模で日本を代表する大型(4管編成)オーケストラ。
③ 100万都市型3管編成オケ:年商10億円を超え、10万人台後半の動員力がある大型(3管編成)オーケストラ。いわゆる「100万都市」に本拠を持つ。
④ 地方都市型2管編成オケ:年商数億円かつ数万人の動員のある中小規模(2管編成)のオーケストラ。
⑤ 非常設オーケストラ:日本オーケストラ連盟の正会員の基準を満たさないオーケストラ
 この5つに分類に実際のオーケストラを当てはめてみよう。

① 御三家型超4管編成オケ:N響、読響、都響
② 業界牽引型4管編成オケ:東フィル、日本フィル、東響
③ 政令指定都市型3管編成オケ:京響、名フィル、新日本フィル、札響、仙台フィル
④ 地方都市型2管編成オケ:群響、九響、OEK、広響、日本センチュリー、兵庫PAC、
 関西フィル、大阪響、山形響
⑤非常設オーケストラ:千葉響、静岡響、中部フィル、京都フィル、テレマン室内、
 岡山フィル、瀬戸フィル

 4管編成というのは、弦楽器だけで50人、管楽器が各パート4本を基本単位とする編成で、総勢100人前後の編成。バロック・古典から後期ロマン派・現代曲の巨大編成までオーケストラの楽曲のほとんどをレパートリーとする。欧米の名門オーケストラはこの編成のうえに交代で休暇が取れるように130人以上の奏者を擁している。
 3管編成は、管楽器が各パート3本を基本単位とする編成で、80人前後の奏者で編成される。オーケストラ楽曲の大部分はカバーできるが、19世紀末以降の大編成を要する楽曲はカバーできない。
 2管編成は、管楽器が各パート2本を基本単位とする編成で、40人~60ぐらいの奏者(弦楽器の規模により増減)で編成される。バロック・古典派を中心に、ブラームス・ドヴォルザークなどロマン派中期までのシンフォニーの演奏の際に採用される。

 編成が大きくなると、当然人件費も高くなる。つまり、総収入額(事業規模)と需要の大きさ(総入場者数)のサイズが、その都市のオーケストラの編成を決定する、といってもいいだろう。その観点から本シリーズ記事では総収入額(事業規模)と総入場者数の散布図を重視している。

 上の散布図「事業総収入/総入場者数」を見ても東京のオーケストラの優位性は圧倒的なもので、それに対抗しうる印象だった関西地区では、オーケストラ単体では業界牽引型の完全な4管編成に分類されるオーケストラは皆無。京響が準・4管編成で政令指定都市型の雄、といったところ。大フィルは表向きは3管編成だが事業規模では地方都市型2管編成の規模でしかない。関西は政令指定都市型の京響を筆頭に、中規模オケがひしめく団子状態、ということが言える。

 次回は、私もお世話になっている関西のオーケストラの観客動員について見てみます。


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国内オーケストラ業界と岡山フィル発展への研究(その1:岡山フィルの現在のポジション) [岡山フィル]

 「国内オーケストラ業界と岡山フィル発展への研究」と題したシリーズ記事、今回は第1回として国内オーケストラの中での岡山フィルのポジションを見ていきます。
これまでの記事
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 今年の6月に、岡山フィルも晴れて加入した「日本オーケストラ連盟」のホームページには、楽団の収支や入場者数・公演数などの経営指標が年度別に公表されている。そして、公益財団法人に属する岡山フィルも実績報告と会計資料が公開されているため、同一項目の数値を集計して比較することで、全国の加盟オーケストラの中での岡山フィルのポジションを把握することが可能です。
 今回のデータ集計については、記事作成時点で把握できる最新データとして、連盟加盟オーケストラについては2015年のものを、岡山フィルについては2016年のものを使用して比較研究を行った。元は、今年の夏ごろに某SNSにて「日本オーケストラ連盟の公表数字を分析する」という題名で連載したものを、「岡山フィルの将来展望」という要素から再構成しています。 
 公表されている様々な数値の中から、今回はオーケストラの活動規模を把握するため、y軸に「事業総収入額」をx軸に「総入場者数」を設定し散布図に表したものが次のグラフ。
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 事業総収入(事業規模)/総入場者数の散布図
 このグラフから事業規模(=事業総収入額)と総入場者数の間には強い相関関係がみられ、回帰直線よりも左上側に位置するオーケストラは総入場者数の割に事業規模が大きいことを表し、回帰直線より左下に位置するオーケストラは事業規模の割に総入場者数が多いということになる。
 これを見ると、やはりN響・読響・都響といういわゆる「御三家」と言われるトップオーケストラは事業規模が大きい、それに次ぐ東京フィルも都響に迫る事業規模であるが、「御三家」に比べると倍以上の入場者を集めてようやく現在の地位を維持している、とも言える。
 次に、事業規模10億円あたりに固まっているのが京響・名フィル・仙フィル・札響などの大都市にあるオーケストラ。かつては「100万都市」と言われた頃の政令指定都市ばかりで、3~4管編成(オーケストラの大部分のレパートリーをカバーできる編成)のオーケストラである。オーケストラの総収入額の原資には①チケット代収入(依頼演奏出演料含む)と②公的補助、③民間補助の3種類があるが、「100万都市」には10億円ぐらいの事業規模を支えるだけの聴衆や自治体の支援、民間の支援が得られる、ということなのだろう。
 その次に広響・群響・センチュリー・大フィルが7~8億円規模に位置する。センチュリーは小規模オーケストラなので不思議はないが、大フィルがこの位置にいるのは意外。調べてみると2008年頃には10億円の事業規模を有していたが、自治体からの支援が一気に0になったことで経営バランスが崩れ、現在では地方の中規模都市のオーケストラの地位に甘んじている。大フィルについては回を改めて分析してみようと思う。
 さて、我らが岡山フィルのポジションは?というと、左下に沢山の点があるうちの一つになる。東京の「御三家」オーケストラから見ると、これほどちっぽけな事業規模なのか!?と驚きを隠せない。
 岡山フィルだけでなく、事業規模7億円を下回るオーケストラはいずれも回帰線の右下に位置しており、事業規模2億円未満で入場者数数万人の事業を展開しているが、回帰線を下回る状況というのは入場者数の割に事業規模が小さいことを表しており、経営環境の厳しさが見て取れる。
 次に日本オーケストラ連盟に「準会員」として加盟しているオーケストラ、つまり「常設ではないオーケストラ」を抽出して散布図を見てみよう。
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 事業総収入(事業規模)/総入場者数の散布図(準会員オーケストラ抜粋)
 準会員オーケストラの中でも岡山フィルのポジションは平均以下の位置にいるが、ここ数年で加盟した瀬戸フィル・奈良フィル・静響の中と比較すると、事業規模・総入場者数ともに岡山フィルが上回っている。また、15~20人規模の京都フィルやテレマン室内管弦楽団は、プロの楽団として高い評価を得ており、需要の大きい大都市圏であれば、小編成オーケストラが生き残れるニッチな市場が存在することを表している。。
 岡山フィルは現状でも10型2管編成の規模であり、楽団・聴衆・市当局ともにベートーヴェンやブラームスを過不足なく演奏できるこのサイズのオーケストラを望んでいる感じがある、そうなると現在の事業規模では非常設オーケストラはおろか、年間8回程度の定期演奏会の開催も難しい。実際に、山陽新聞の記事に掲載された事務局長さんの話では、現在の収入額では年に4回の定期演奏会が限界とのこと。
 こうして全国のオーケストラと比較してみると、現在の岡山フィルのポジションからから発展させて「都市格を向上させるオーケストラ」に育てていくのが、どれほど至難の業であることかがおわかり頂けるだろう。
 しかし、今の岡山フィルには強力な財産がある。こんなちっぽけなポジションにいるオーケストラを、シェレンベルガーという世界一を知る人物が関わってくださり、ドイツの堂々たる3管編成のオーケストラ(上の一つ目のグラフで言えば上位に位置するオーケストラ)でコンサートマスターの地位にあった高畑さんが、首席コンサートマスターに就任した。これらがどれほど奇跡的なことであるかも、一層浮き彫りになったと思う。
 次回は、オーケストラ業界そのものの現状について、データから読み解いてみようと思います。

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国内オーケストラ業界と岡山フィル発展への研究(まえがき) [岡山フィル]

 岡山市の広報誌の11月号中の「議会だより」に次のような記事が掲載されていました。
103議会発言.jpg
 
 岡山フィルは今年度、創立25年目にして楽団史上初めての常任のコンサートマスターを招聘、同時に10パートの首席奏者の招聘に踏み切った。この大改革は岡山市当局の予算措置とバックアップがあってのことだったことがわかった。
 24年間の長きにわたって、岡山フィルの演奏を聴いてきたファンとしては、これでようやくプロ・オーケストラとしての体制を整える、出発点に立ったのだと思うと、たいへん感慨深い。
 
 思えば当ブログで次のような記事を連続シリーズで掲載したことがある。
 
 
 
 
 今から読み返してみると、(その3)については我ながら未来を完全に予言していますな。岡山フィルよりも先に高松の瀬戸フィルが先に日本オーケストラ連盟に加盟したのも、この記事で危惧した通り、それでおしりに火が付いたのか?どうか解りませんが、岡山フィルもようやく今年の6月に加盟を果たしました。
 
 「日本オーケストラ連盟の加盟」と「岡山市の全面バックアップの約束を取り付けること」という2点が、記事掲載からわずか2年でかなえられ、このたび市議会において市当局から支援と予算措置を明言されたことは、非常に重要ですし、僕が思ったよりも速い速度でシナリオが進んでいますね。それだけに関係者の尽力には脱帽するほかないありませんが、それを支えたのは私を含めてシェレンベルガー&岡山フィルを応援する市民の声ではないかと思うのは自惚れでしょうか。
 
 しかし、まだまだ安堵はできない。何しろ「10パートの首席奏者」とは言っても、1回4~5万円の演奏手当しか出せない状況であり、広響や大フィルといった周辺のプロ・オーケストラのような「常設オーケストラ」(=楽団員を専属で雇用し演奏活動に専念する携帯)との待遇格差は極めて大きく、現状の体制の延長上で「都市格」を高めるオーケストラを創っていくのはほぼ不可能であると断言できる。
 普段、我々が「格」という言葉を使うときは、「格が違う」や「別格」といったように、他とは一段上の実力を持ったものを指します。都市格を向上させる(=岡山は他の地方都市とは別格である)ためのオーケストラとなるためには、それ相応の体制と実力が当然に伴っていなければならない。
 市議会の質問で言われた「都市格を向上させる」ようなオーケストラとはどのようなものを想定しているのか?それはわからないが、市当局が現実よりも甘く考えていることは容易に想像できます。
 現状の体制でも、まずは地域に愛されるオーケストラに育て上げることは可能な環境になりつつある。シェレンベルガーのもと、高畑コンマスと新しい首席奏者が中心になって楽団を作っていけば、これは本当に楽しみな展開が期待できそう。でも、シェレンベルガー氏の退任後は?高畑コンマスの退任後は?音楽ファンをわくわくさせるような活動が継続的に出来るのか?やはり相当に難しいのではないだろうか。
 今の岡山フィルの集客や熱気は、たぶんに属人的要素に頼っているわけです。これでは「都市格の向上」どころか、現状での活動を継続する未来予想図すら描けない。
 
 これらを踏まえて拙ブログでは、「国内オーケストラ業界研究と、岡山フィル発展への研究」と称して、国内のオーケストラの経営資料から、岡山という都市にふさわしいオーケストラのすがたを数字で見ていくことにします。次回は第1回として「国内オーケストラの中での岡山フィルのポジション」を見ていく予定です。
〇各記事へのリンク
(11月4日 追記)
 岡山市が制定した『文化振興ヴィジョン』の中にもこのような記載がありました。
『楽団独自の音楽スタイルを確立することにより、本市の都市ブランドの向上に寄与する楽団をめざしていく必要があります』
101vision.jpg
101vision2.jpg
 『都市ブランドの向上』という言葉も「都市格の向上」と、実質的な意味合いは同じであると思いますが、「都市ブランドの向上に寄与する楽団を目指していく『必要がある』」と、強い決意が表明されています。「そういうオーケストラになったらいいなあ・・・」的な曖昧な表現ではないわけです。
 これって、期待していいんですよね!岡山市長さ~ん!!

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音楽の友9月号の『来日演奏会情報2018』から来季の岡山フィルを予想する [岡山フィル]

 もう10月号がでているので「今更」な感じですが、毎年買っている音楽の友9月号、来日演奏家情報ネタ。



 といっても(初めに書いときますが)シェレンベルガーさん以外の来日演奏家情報はここでは触れません。最近は、来日オーケストラなどへの興味も沸かなくなってきています。唯一、サイモン・ラトルがロンドン響と来日するので、「ようやく3万円以下でラトルを聴ける機会があるなあ(爆)」と思ったぐらい。


 興味があるのはなんといっても、われらが岡山フィル首席指揮者のシェレンベルガー氏の情報。


 2018年1月と3月の岡山来訪については、すでにプログラムも発表済み。


2018年1月18日(日)15:00開演 岡山シンフォニーホール

岡山フィルハーモニック管弦楽団特別演奏会「ニュー・イヤー・コンサート」

 モーツァルト/歌劇「魔笛」ハイライト
       第1幕より「私は鳥刺し」
             「なんと美しい絵姿」
        第2幕より「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」
              パパパの二重唱  ほか
 リムスキー=コルサコフ/交響組曲「シェヘラザード

独唱/ザラストロ:渡邉寛智  タミーノ:柾木和敬  夜の女王:阪本清香

   パミーナ:池田尚子  パパゲーナ:川崎泰子  パパゲーノ:鳥山浩詩   
指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー


2018年3月11日(日)15:00開演 岡山シンフォニーホール
岡山フィルハーモニック管弦楽団第55回定期演奏会

 ベートーヴェン/交響曲第8番ヘ長調
 ショスタコーヴィチ/交響曲第5番ニ短調

指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー


 1月は京響と名フィルにも吹き振りで登場するそうですが、徐々にシェレンベルガーさんの指揮者としての音楽性の高さに気付く人が増えてきているようで、財政厳しい岡山フィルのファンとしては気が気じゃありません。少し前に兵庫PACを振ったとき、エキストラで参加していたN響の茂木大輔さんがシェレンベルガーの指揮を高く評価していたり、最近、東京のオーケストラによく登場するのも(10月は読響、新日本フィル)、岡山フィルにエキストラで来ていた奏者が推薦してるんじゃないかと疑ってます。


 年度が替わって5月にも来日する予定になっています。シェレンベルガーさんの公式ホームページにもあるように・・・

モーツァルト/交響曲第40番ト短調

マーラー/交響曲「大地の歌」

 が有力です。日程はシェレンベルガー氏のHPには「5月20日」とありますが、どうやら「5月27日」が正しいようです。


 音友では5月以降の来日は2018年3月のみ掲載されていますが、シェレンベルガー氏のHPでは10月に来日する予定になっているので、この時期にも登場するとみて間違いないでしょう。岡山フィルとの契約は、年に3回の定期的な演奏会を振るようになっているらしい(地元新聞社情報)ので、第九とニューイヤーコンサートは別の指揮者に任せる可能性が高そうですね。


 10月と3月の定期演奏会のプログラムを予想してみると、まず挙げられるのはシリーズで取り上げているベートーヴェンとブラームス。ともに第4交響曲がまだ残っています。

 シェレンベルガー氏のインタビューではハイドン、シューマン、メンデルスゾーン、それからマーラーの交響曲第5番なども取り上げると述べています。


 過去のコンサートを振り返ってみると、オーケストラの実力向上と聴衆の「経験値」を上げ、良質な聴衆を育てていくためには、やはり古典派~ドイツロマン派を網羅的に取り上げることは確実。そこに、飽きが来ないようにいい塩梅でR.シュトラウスやマーラー、オネゲルのような演奏効果の高い楽曲を入れてきています。


 楽団専属の首席奏者を一気に11人も入れる来年度は、色々な意味で勝負の年であり、飛躍の年でもあります。今から年間プログラムの発表が楽しみです。

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岡山フィルが日本オーケストラ連盟に加盟! [岡山フィル]

 今日の山陽新聞朝刊の記事。岡山フィルが、ついに日本オーケストラ連盟への加盟が承認されました!準会員としての加盟ということです。

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 それに先駆けて、6月10日(土)の山陽新聞にも異例に大幅な紙面を割いて、シェレンベルガー氏を中心としたオーケストラ改革について記事が組まれていました。

 記事の中身は会員限定公開になっているので写真アップは控えますが、要約すると・・・


 シェレンベルガー氏が首席指揮者に就任して以降、地元ファンの間で「音が変わった!」と話題になり、オーケストラの演奏力の向上とともに魅力的なプログラムをそろえ、観客動員も(実数を把握している09年度以降)過去最高を記録するなど好調。今が改革の好機ということで

・ 新コンサートマスターの招聘
・ 10パートの首席奏者の募集

 などの大規模な改革に着手。これまでは大編成の楽曲になると、大量のエキストラと在東京オーケストラなどから首席奏者をごっそり連れてくることから、「エキストラ楽団」などと揶揄されてきたが、名実ともにプロの楽団を目指す方向に大きな舵を切った。岡山市も「中心市街地活性化の起爆剤」としての役割を期待しており、補助金額の増額などで支援を強化しているとのことです。


 日本オーケストラ連盟に加盟するためには、他のオーケストラに所属していない自前の首席奏者をそろえる事が必須条件になっていますが、早くも加盟が認められたということは異例のスピード承認という印象があります。国内のオーケストラは大都市圏に偏在している傾向があり、東京では世界トップレベルに肩を並べつつあるとの評価のオーケストラがいくつもある一方で、地方、特に西日本の層の薄さが指摘されていました。岡山フィルの加盟は連盟としても歓迎されることだったのかもしれません。
  しかし、同記事では「この大胆な改革はリスクが伴う」とも指摘、これまでは在東京オケなどで実績のある首席奏者を連れて来ていたことで、演奏のクオリティが保てていた面もあった。しかし、岡山フィルは他の常設オーケストラのような条件は提示できないし、全国的には実績や知名度は無いに等しいことから、これまでの助っ人首席のようなレベルの奏者の確保が難しいかもしれない。
 そうなると、演奏のクオリティが低下し、聴衆が離れて行ってしまう恐れもある。


 聴衆も「これまでの演奏よりもクオリティが落ちるかも知れない」ことを受け入れる覚悟を持って、「それでも、おらが街のオーケストラのために応援しよう」という覚悟が必要になって来ると思います。


 しかし、僕はこの首席奏者の人材確保に関しては楽観的な見方をしていて、上手い一流の奏者をその時だけ集めたら必ずいい演奏になる、とは限らないと思っています。エキストラ奏者さんの中には素晴らしい情熱で演奏してくださる方も居ました。都響のクラリネットの小林さん、OEKのティンパニストの渡辺さん、最近では元都響のホルン奏者の笠松さんや京響のフルート奏者の中川さんら、最高のパフォーマンスと、終演後は素晴らしいステージマナーを見せて・聴かせてくれました。た。

 一方で、エキストラ奏者の中には、カーテンコールが最高潮に盛り上がっているときに「早く東京に帰りたい」と思っているのかどうかは分かりませんが(笑)、観客と余韻に浸りたい岡フィルプロパーの奏者との温度差を見せられることもあったことは事実です。無理もない、彼らは自分の所属するオーケストラで最善を尽くすことが本来の仕事なのだから。。。


 しかし、これからは「自分は岡山フィルの首席奏者なんだ!」という帰属意識と、「岡山フィルの首席奏者として、最高の演奏を聴衆に聞かせたい」という責任感を持った奏者が演奏するようになる。楽団に一体感が生まれ、本当の「岡山フィルの音」を作っていけるようになる。

 オーディションはシェレンベルガー氏も審査員として立ち会うとのことなので、全く懸念はないと思いますが。求めるレベル以上の奏者が居ないパートがあれば、もうしばらくはエキストラ首席で代行してもいいと思う。我々ファンは、じっくりと待ちます。


 いやしかし、考えてみたらベルリン・フィルは奏者だけでなく指揮者やソリストまでも楽団員が選考するわけですから、その修羅場を経験したシェレンベルガー、その人がオーディションをして、コンサートの出演者やプログラムを組んでいる岡フィル、そりゃーいいコンサートが増えるわけですよ。

 これまで岡山フィルのステージにエキストラとして立っていただいた奏者の方々に感謝するとともに、彼らも含めて25年間の演奏の蓄積の基盤のうえに「岡フィルの」音が生まれる現場に立ち会いたいとおもいます。


 以下は余談です。


余談1)ある人たちと、この岡フィルのニュースについて話をしていたら、「専務理事のTさんはやり手だからなあ」という話を聞き、調べてみると、なんと楽団の専務理事(常勤で一番偉い人)は、いつもシンフォニーホールの入り口の外で、来場者に向かって笑顔で頭を下げて迎えて下さっている方でした。

 まさかあの方が専務理事とは・・・。率先垂範とはよく言われることですが、大阪や京都のホールでも、入り口の外で挨拶をされているのは見たことがありません。聞けば岡山市の経済局長まで勤められた市役所の重鎮だという・・・。世の人々は「天下り」かも知れませんが、ここ数年の改革のスピード感と成果、あるいは率先垂範を示す、その姿勢とおもてなしの心。
 拙ブログにコメントを下さるブロガーさんから、オーケストラの発展には優れた音楽監督と、情熱を持った事務局員が必要、とのコメントを頂いたことがあるが、岡フィルもそういう人を得てこその、ここ数年の改革なのかもしれない。


余談2)細かいことかもしれませんが、あえて山陽新聞へ苦言を。岡フィルはオーケストラ連盟に「準加盟」したのではなく、準会員として加盟した、ということです。「準加盟」って、なんかちゃんと加盟が認められていない感が漂ってるじゃないですか。紙面の関係で端折ったのかもしれませんが、ここは正確に表記して頂きたいと思います。

 でも、土曜日の特集記事は非常に読みごたえのある記事でした。

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岡山フィルが日本オーケストラ連盟加入を目標に、主要10パートの首席奏者募集 [岡山フィル]

 先日の定期演奏会の感想もまだよう書いていないんですが、今朝の山陽新聞にビッグニュースが掲載されていましたので取り上げたいと思います。

 岡フィルが首席奏者を募集 10パート、メンバー固定へ(山陽新聞)
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ニュースの要旨は
・演奏会ごとに異なったゲストが首席奏者を務めていたが、10パート(第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット)について、首席奏者を固定化する。
・コンサートマスターはオーディションではなく、楽団で人選し今秋の就任を目指す。
・募集はオーディションで行い、4月~6月までの期間に募集。シェレンベルガー氏らで構成する11人からなる委員会が選考。10月に最終審査を行い、数回の定期演奏会での試用期間(12月第九、1月特演、3月定演か?)を経て、来年夏に正式入団(契約期間:3年程度)。
・今回の方針は日本オーケストラ連盟への加盟を視野に入れた強化策の一環である。


  先日の第52回定期演奏会も、ほぼ満員の盛況、シェレンベルガー氏が首席指揮者に就任してから楽団の実力・集客ともに飛躍的に伸長していましたが、一つの実態として各パートの首席奏者(特に木管・金管)については、東京や大阪のオーケストラの首席奏者を助っ人として呼んでいました。確かに演奏は安定しますが、楽団全体の合奏能力が伸長するにつれて、毎回出ている各パートの奏者陣の上に、客演の首席ばかりが座るという体制の矛盾点がいっそう浮き彫りになっていたと思います。東京のオーケストラからの客演奏者となれば、ギャラや旅費・宿泊費もかなりの額に上るでしょうから、年4回の定期演奏会をすべて客演で賄うなら、自前で契約するメリットの方が大きい、そんな経営判断もあったかもしれません。

 それにしても思い切ったものです、一気に10人もの首席奏者の招聘となると、国内のオーケストラ史上を見ても80年代後半の大阪センチュリー交響楽団やオーケストラアンサンブル金沢などの行政主導の新興オーケストラの誕生、あるいは2005年の兵庫県立芸術文化センター管弦楽団、これらのオーケストラの設立に次ぐ大事業になります。

 オーケストラ奏者の就職を巡る環境は、世界的に厳しいという現状があります。国内では大阪のオーケストラの経営危機が話題になりましたし、アメリカではオーケストラの倒産・再生、ドイツなどのヨーロッパではオーケストラの合併なども行われています。しかし、逆に言えば優秀な奏者を集めて来る千載一遇のチャンス。3年契約でどの程度の待遇なのかはわかりませんが、シェレンベルガーの知名度と人脈を生かして、世界中からいい奏者が集まってきていただきたいですね。

 海外の腕に覚えのあるプロの奏者が続々と入団するとなると、市民からの注目度も一層上がるでしょう。他の楽団員の刺激にもなる筈です。
 目標とする日本オーケストラ連盟への加入のメリットについては、以前のエントリーで書きましたので、今回は割愛します。

 早くも今年の10月には、新コンサートマスターの就任披露となりそうですね。いまからわくわくして待ちたいと思います。


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岡山フィルの今後のプログラムの予想 [岡山フィル]

  日本各地のオーケストラの来年度の年間プログラムの発表が続いていますが、地元の岡山フィルの発表はおそらく年明け。それまでは色々な予想・妄想をして楽しむことにしましょう。
 予想の手がかりになるのは、今年の6月13日に山陽新聞に掲載された、首席指揮者:シェレンベルガー氏のインタビュー記事。
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 まず注目なのが「岡山シンフォニーホールでの演奏機会を増やしたい」ということ。これは定期演奏会の開催回数の増加を意味しているのではないか?と期待が膨らみます。シェレンベルガー就任以前と以後で、定期演奏会・オーケストラ主催の特別演奏会における総入場者数の推移を見ると。

(シェレンベルガー首席指揮者就任以前)
H22年 2777人(定期演奏会2回)
H23年 2988人( 〃 )
H24年 2809人( 〃 )
(シェレンベルガー首席指揮者就任以後)
H25年 4382人(定期演奏会2回+特別演奏会1回)
H26年 4085人(定期演奏会3回)
H27年 4335人 (定期演奏会3回)
 ということで、回数を1回増やしたこともあって着実に増加している。1回あたりの平均を取っても、
(就任以前)
H22年 1389人
H23年 1494人
H24年 1405人
(就任以後)
H25年 1460人
H26年 1362人
H27年 1445人

 ということで、定期演奏会の回数を2回→3回に増やしても、平均入場者数はほぼ横ばいで推移している。このデータを見ると確実に固定の聴衆がついて居る証拠で、年間2回では物足りなかった聴衆が多く、年間3回体制にしっかりと付いて来ていると思われます。

 この手応えなら3回から4回に増加することも可能なのでは無いでしょうか。年間4回になると、季節に1回づつとなり、現状では半年近くあいている期間もあるので、定期演奏会(マイシート)会員にとって、かなり満足度が高まりそうです。
 (※音楽の友によると、2017年度のシェレンベルガーの来日回数は4回。これ
        も岡山フィル定期4回に増加説を採る根拠の一つでもあります)
 
 次に注目なのが「オーケストラの基礎となる室内楽にも積極的に取り組んでいく」という言葉。3年前から岡山大学鹿田キャンパスにある「Jホール」で毎月のシリーズのコンサートがあり、室内楽も取り上げられています。他にも美術館や後楽園でのコンサートにも出演中、これをオーケストラの実力アップのために体系的に整理していこうと言うことかも知れません。
 平成30年頃に予定されている新岡山市民会館には商店街との動線になる空間に、コモンスペースも計画されていることから、岡山市の最重要課題の中心市街地の活性化の一つの有効な手段として、プロの演奏を気軽に聴くことが出来るような仕掛けを期待しています。
 シェレンベルガーのインタビューでは具体的なレパートリーについても、言及されていて、

 ベートーヴェンの交響曲:2番・4番・7番・8番
 
 これは確実に取り上げられるでしょう。

 他にも具体的に上がっているのが、 マーラーの交響曲:5番、大地の歌

 これも取り上げられると思いますし、2年に1回のペースで取り上げられている合唱付の楽曲として、交響曲第2番「復活」(編成上の問題がありますが)も可能性が高いと思います。

 ハイドンはザロモン・セットから。もしかするとオラトリオ「天地創造」あたりも視野に入っているかも知れません。

 シューマンは4曲の交響曲すべてに可能性がありますし(私は2番を是非取り上げてもらいたい!)、メンデルスゾーンは3番「スコットランド」4番「イタリア」5番「宗教改革」あたりでしょうか。合唱曲と言うことで2番「賛歌」の可能性もありますね。
 最後はソリストについて。シェレンベルガー氏の日本でのマネジメント事務所のアーティストとのブッキングの可能性が高いと思われますので、その線から出演が予想されるアーティスト調べてみると。
 
 ピアニスト:アンドレア・バケッティ、フランク・ブラレイ、児玉麻里、
       デジュー・ラーンキ、アレクサンドル・タロー、津田裕也
 ヴァイオリニスト:郷古廉、ヴィヴィアン・ハーグナー、
          ヴェロニカ・エーベルレ
 チェリスト:ヨハネス・モーザー、アントニオ・メネセス、
       パヴェル・ゴムツィアコフ
 管楽器ソリスト:シュテファン・ドール、アンドレアス・オッテンザマー
 声楽:ナタリー・シュトゥッツマン、藤村実穂子
 若手の郷古廉さんは東京・関西では大変な話題になっているヴァイオリニストで、岡山発登場するとなると、これは大注目です。
 ナタリー・シュトゥッツマンが、もし大地の歌を歌うと、関西からの集客も見込めます。なぜなら、2011年に大フィル定期で大地の歌を歌うはずだったのが、来れなかった。「シュトゥッツマンの大地の歌を聴きたかった」という話は未だに聞きますのでね。藤村実穂子さんは、関西のオーケストラでもほとんど共演できていないので登場すれば大変な事ですが、かなりハードルは高そう。
 シュテファン・ドールは去年7月のR.シュトラウスのホルン協奏曲で度肝を抜かれた岡山のファンも多かったはず。ぜひ再演を期待したいです。
 ヨハネス・モーザーも、今月のセンチュリー響いずみホール定期で聴いて、やはり大変な才能だと思い知らされました。倉敷には縁の深いモーザー、ぜひ岡山にも登場してほしいですね。

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シェレンベルガーが岡山の人々に開いた、世界への扉 [岡山フィル]

 本日は岡山フィルの3月の定期演奏会の先行発売日でした。もちろんマイシート(年間座席指定券)は確保しているのですが、私が土・日曜日が出勤日になるので、1枚はマイシートにしてもう一枚をバラ買いにしています。結果的には3回とも二人で行けそうなので、2枚マイシートでも良かったんですが(笑)

 今日はバタバタしていて、昼過ぎになってから1枚確保しているマイシートの隣を購入しようと電話したら、けっこう座席が埋まっています。なんとか近くの席は確保しました。
 3月はベートーヴェンの交響曲第6番「田園」・第5番「運命」ということでチケットの出足は早そうですね。いい席は早めに確保しておいた方がいいかも知れませんよ。

 さて本題です。

 先日のカメラータ・ザルツブルグのコンサートの際に印象に残ったことがあって、まず、オーケストラのメンバーがパラパラと入場してきたときに拍手が起こった。これは岡山のコンサートではしばしば見かける光景です。しかし、オーケストラのメンバーの方は、まさか自分たちが入って来る時に拍手が起こるとは思っていなかったのか、あれほどの実力派の室内管弦楽団であながら、妙にそわそわしていたのが微笑ましかった。

 そのあと、ソリストの堀米さんと指揮者のシェレンベルガーが入場してきたときの拍手が凄かった。ソリストの堀米さんへの拍手も、もちろんあったでしょうが、会場の雰囲気はシェレンベルガーに対するものが(堀米さんには悪いけど)大勢を占めていたのではないかしら。

 あとから考えてみると、われわれ岡山の聴衆は歴史的な瞬間を経験したわけです。我が町のオーケストラの首席指揮者が、ヨーロッパの本場の(しかもそんじょそこらの楽団ではなく、あのカメラータ・ザルツブルグですから)オーケストラを引き連れて指揮台に上った。2つ前の記事にも書いたけれど「満員の聴衆で迎えられて、岡山の聴衆として面目を保てて良かった」という思い。
 カメラータ・ザルツブルグの楽団員・関係者んとっても、来日遠征の初日がツアーに帯同する指揮者の本拠地で、しかも満員で万雷の拍手で迎えられた、というのは強く印象に残ったはず。そのためか演奏も彼らの本気が伝わってくるものだった。

 「地方のグローバル化」とか色々言われているわけですけれど、岡山にとっては、あれほどの輝かしいキャリアを重ねたシェレンベルガー氏が 岡山という街を選び、首席指揮者で居てくれること、そのものが世界と岡山が繋がっている実感を体現するものであるなあ、と思います。
 しかし、残念ながら、このことを実感する幸福な時間を共有する市民は、まだまだ多くはない。西洋音楽に少しでも興味がある方は、西洋音楽の奔流の第一線で活躍した真のマエストロ、その人がステージに立つだけで様々な影響を与える稀有な存在。それを、岡山城下町で400年の繁栄を誇ってきた表町商店街の入り口の音楽ホールで体感できるのですから、ぜひ足を運んでほしいと思います。


2017年1月15日(日) 15:00~
岡山フィルハーモニック管弦楽団第51回定期演奏会「ニュー・イヤー・コンサート」

指揮/ハンスイェルク・シェレンベルガー
ヴァイオリン/松山冴花  チェロ/ウェン=シン・ヤン

チャイコフスキー/幻想序曲「ロメオとジュリエット」
   〃    /ロココ風主題による変奏曲
J.シュトラウスⅡ/喜歌劇「こうもり」序曲
サン・サーンス/序曲とロンドカプリチオーソ
R.シュトラウス/歌劇「バラの騎士」組曲


2017年3月25日(土) 15:00~
岡山フィルハーモニック管弦楽団第52回定期演奏会

指揮/ハンスイェルク・シェレンベルガー

ベートーヴェン/交響曲 第6番 ヘ長調「田園」
ベートーヴェン/交響曲 第5番 ハ短調「運命」


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