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マーラーの交響曲 金聖響&玉木正之 [読書(音楽本)]

 ようやく秋の気配が濃厚になって来ましたね。しかし、我が家の今年の秋は、風雲の秋となって来ました。嫁さんが突如転勤になり、10月から新しい職場に変わるようです。う~ん、ただでさえ色々大変な時なんですが・・・これも、サラリーウーマンの宿命、仕方ないでしょう。

 今日は少し前に読んでいた、この本の感想を書いておきます。クラシック音楽ファンとしても、面白いのは当然のことながら、読み物としても文句なしに面白かった。
 病弱でシニカルで厭世的で、神経症的・・・というマーラーの既成概念を、金聖響氏は次のように完全に否定しています。

『そもそもオペラ座の音楽監督を務め、次々とオペラをプロデュースし、みずから指揮もして上演するだけでも大変な事なのに、オペラのオフシーズンを使って大交響曲の作曲までやるなどというのは、よほどヴァイタリティに溢れたエネルギッシュな男でない限り不可能です』(29P)

 現代に置き換えると、アバドかラトルか小澤か、というような指揮者としての要職を歴任しながら、夏のオフの間に次々に大作の交響曲を書き上げる、そのエネルギーは、とても神経質な人間には出来ない。もっと図太くエネルギッシュな人だったというのは、目から鱗でした。確かにネ。
 この本が契機で、今までの自分のなかのマーラー像が変化していくような気がする。

 1曲1曲に対する考察も、『人間マーラー』に寄り添ったもので、従来の考え方を否定する内容も多くあったのですが、聖響氏の言説には説得力があり、素人愛好家としてはこの本を契機に、マーラーの交響曲に対して身構えることなく親しめるようになりそうな、そんな良書だと思います。特に従来の交響曲の定石を根底から覆し、「予想外の連続」と称賛している交響曲第1番は、改めて新鮮な気持ちで楽しめそうです。

 なぜ、聖響氏が、ここまでマーラーに寄り添えるのだろうか?という興味の答えは、前書きに書いてありました。

 「オーストリアではボヘミア人、ドイツではオーストリア人、世界ではユダヤ人(+ボヘミアではドイツ人)」という、マーラーの立場を、「大阪生まれの在日韓国人で、アメリカの高校と大学に進み、ウィーンで留学して日本に戻ってきている自分」だからこそ、言い表せない共感があると語っています。


マーラーの交響曲 (講談社現代新書)

マーラーの交響曲 (講談社現代新書)

  • 作者: 金 聖響
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/12/16
  • メディア: 新書



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