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アンドレア・グリミネッリ フルートリサイタル [コンサート感想]

Jホール・レインボーコンサート Vol.42
アンドレア・グリミネッリ フルートリサイタル
 
ジュナン/ヴェルディの「仮面舞踏会」による幻想曲
ブリッチャルディ/ヴェルディの「アイーダ」による幻想曲
メンデルスゾーン/無言歌集より、「春の歌」「ヴァネツィアの舟唄第2番」「紡ぎ歌」
クラカンプーブリッチャルディ/ヴァルディの「椿姫」による幻想曲
 ~ 休 憩 ~
ブリッチャルディ/ヴェルディの「イル・トロヴァトーレ」による幻想曲
グルック/「オルフェオとエウリディーチェ」より 精霊の踊り
ポップ/ヴェルディの「リゴレット」による幻想曲
ボルヌ/ビゼーの「カルメン」による華麗な幻想曲

フルート:アンドレア・グリミネッリ
ピアノ:津田 裕也


2017年5月31日 岡山大学 Junko Fukutake Hall


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(写真は別の日に撮影したもの)

 年度初めに忙しいのはいつものことですが、土・日曜日出勤で平日に休みを取る体制のウチの職場は、この時期は休みを取るのが難しい。世の中、平日は年度末決算から監査、株主総会など、バリバリ動いていますからうちの職場だけ止めるわけにはいかないんですよねぇ。ということで、必然的に仕事が落ち着き始めるこのぐらいの時期に代休を取ることになります(本当は違反らしい・・・でも、ブラック職場が跋扈するご時世、時期が遅くなっても代休を取れ取れと言ってくれる職場はありがたいよねぇ)。この日も代休消化の休みで、このコンサートを聴いてきました。
 このJホールのコンサートシリーズ、すっかり定着していますね。この日もホールのメイン部分はほとんど埋まるほどの盛況っぷり。いつもはワンコイン500円で岡フィルの団員さんら、地元音楽家のコンサートが聴ける。しかし、今回は「プレミアムコンサート」と銘打って、イタリアの至宝:アンドレア・グリミネッリと俊英:津田裕也のデュオ、これでなんと2000円。いずみホールや紀尾井ホールだったら5000円ぐらいは取るコンサートです。
 グリミネッリは岡フィルの定期演奏会に登場したのだが、当日は出勤日と重なり聴きに行けなかった。だからなんとしても聴きに行きたいと思って代休を使った次第。
 やはり聴きに来て良かった。このレベルの奏者になると、一音発しただけで、「おおーっ」と驚かざるを得ない。アンサンブル・ウィーン=ベルリンのメンバーもそうだった。まずもって、なんという圧倒的な「声量」!(「声量」という言葉がいちばんしっくりくる)。
 テクニックも凄い!重音奏法、大きな息継ぎをほとんどしないのは循環呼吸が出来るから?巻き舌奏法での茶目っ気のあるヴィヴラーとなど、フルート演奏の特殊技法を堪能させていただいた。
 プログラムは、ヴェルディやビゼーを中心としたイタリア・フランスのオペラのヒットメドレー。そしてグリミネッリさんのフルートは本当に「歌」がある。僕はオペラをそれほど聴かないので、どの場面のどの曲を演奏しているかというのは細かいところは分からないが、有名どころを押さえているので、クラシックになじみの薄いお客さんも大満足のプログラムだろう。
 一方で、グルックの「精霊の踊り」が象徴的だったのだけれど、ピュアな音で祈りを捧げるように印象的に奏でられる場面は、霊的と言えるほど会場の空気が引き込まれていった。横笛という楽器は、日本では魂を慰撫し、時には悪霊を追い払い神々を呼び寄せる「霊的な楽器」として、古来から愛されてきた。この日のグリミネッリさんの演奏からも、そうした「霊的な魅力」が詰まっていた。
 そう、この日のプログラムは、ルチアーノ・パヴァロッティの没後10年を記念して、彼の業績をオマージュした作品群だった(ご本人からの説明があった)。グリミネッリさんはパヴァロッティに才能を見いだされたことがきっかけで、世界的な活躍が始まったとのこと。イタリア・オペラの魅力と同時に、グリミネッリさんがパヴァロッティのことをどれほど尊敬しているか、こちらにまで伝わってきた。
 
 このJホールという空間は何とも言えない魅力な空間です。一番の特長はステージと客席の距離が近く、演奏者と打ち解けた空気が流れること。この日も会場の聴衆とグリミネッリさんとの心が、徐々に通い合ってくるのがわかるコンサートでした。

 そして、今回の伴奏役の津田さんのピアノも素晴らしいもので、このホールのピアノはヤマハのセミコンサートサイズのものですが、「このサイズのピアノからこんな芳醇な音を引き出すか!?」というほど、時には煌めきを感じさせ、時には天衣無縫の無垢な音色を聴かせた。私はあまりピアノのソロコンサートには行かないのだけれど、津田さんのソロ・コンサートには行ってみようと思う。
 
 アンコールはチャールダッシュ、クマンバチの飛行、という超絶高速パッセージの曲の後、浜辺の歌。最後の浜辺の歌は、まさに日本人のDNAに組み込まれている「横笛の霊力に対する敬意」があふれる演奏になった。

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タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団 2017 福山公演 [コンサート感想]

タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団 福山公演


シベリウス/交響詩『フィンランディア』
グリーグ/ピアノ協奏曲イ短調
  ~ 休 憩 ~
シベリウス/交響曲第2番ニ長調

指揮:サントゥ=マティアス・ロウヴァリ
ピアノ独奏:田部京子

2017年5月20日 ふくやまリーデンローズ大ホール

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 『ばらの街福山』を標榜する福山市は、ばら祭りの真っ最中でした。リーデンローズ前の陸橋もばらの花壇も見事な咲きっぷり。


 フィンランディアは名刺代わりのオーソドックスな演奏。グリーグのコンチェルトは、田部さんの滴り落ちるような瑞々しい音に惚れ惚れさせられる。しかし、オーケストラも容赦のない迫力で迫って来る、田部さんも負けていない。実力伯仲のまさに迫真の『協奏』が聞かれた。


 メインのシベリウスはロウヴァリの奇才ぶりが全開!今まで聴いたシベリウスの2番とはまるで違う、極めてラディカルな解釈と楽想の展開。ダイナミクスとテンポの振幅を大きく取り、第2楽章の緊張感たるや、今までの僕のこの曲に対する牧歌的なイメージを覆すには充分。全く先の読めない展開に手に汗握りっぱなし、「これは、最後はどうやって着地するのだろう」と気をもんでいたが、第4楽章最後のカレワラの音階によるモチーフが登場すると、堂々たるフィナーレを飾って見せた。いやいや、ロウヴァリ君32歳、只者では無かったです。


(以下、追記)


 ロビーでは「ムーミン原画展」が開催され、シティ・プロモーションの一環になっているんでしょう。背の高い北欧系の、シュテファン・エドバーグを思い出させる顔立ちの関係者がロビーで日本の関係者と談笑。 

 しかしですね、お客さんの入りは4割ぐらい?もしかしたら3割5ぐらいだったかも知れない。3階席は閉鎖。このコンサートの主催者はHTV(広島テレビ)で、放送区域外の岡山ではまったく広報されていませんでしたね。立地的に福山のコンサートは岡山から来る人が多い(快速で1時間かからない)わけですから、もうちょっと手が打てたように思いますけどねぇ。

(ときどき思うのだが、福山市って岡山県に編入されていた方が発展したんじゃないだろうか?元々吉備の国の一部だし、笠岡・井原は福山の経済圏。静岡県における浜松市ぐらいのポジションが得られたのではないか?という気がする)
 1曲目とメインの「フィンランディア」、交響曲第2番の編成は16型の3管編成1stVn16→2ndVn14→Vc10→Va8、上手置くにコントラバスが7本。16型という充実した弦5部から繰り出されるハーモニーは極上。シベリウスのひんやりとしたテクスチュア(それでいて暖かみも感じる)のサウンドをパワフルに鳴らします。

 そして木管・金管の音もパワフルかつマイルド、僕は2階席で聴いていたのですが、ホールのロウヴァリの指揮が時に激しくなっても、まったく耳障りな音がしない。いや~本当にこのオーケストラの音はいいです!
 コンチェルトは田部京子さんによるグリーグ。こういう来日オーケストラにありがちな事務所売り出し中の若手ではなく、実力派のソリストを付けてくるところが非常に好感が持てます。田部さんのピアノの音は、やはり際立っています。場面によってはオーケストラもかなり鳴っているんですが、そのトゥッティの本流の中でも宝石のように光り輝くピアノの音が聞えてくる。第3楽章なんてロウヴァリがかなり緩急を付けて煽っているんですけど、田部さんのピアノは堂々と渡り合う。第2楽章の美しさも特筆もの。清潔な静謐さの中に、北欧の景色が思い浮かんでくるような情景描写が見事でした。
 
 メインのシベリウスは、32歳の俊英指揮者のほとばしる情熱が乗り移った、激しいものだった。特にテンポを早めていく過程の場面での激しさが印象に残った。オーケストラの方も懸命について行くが、オケの技量の問題なのだろう、指揮者の指揮に追いつけず、演奏が乱れる場面があった。しかし、そんな場面でも弦楽器のしなやかな音、管楽器の柔らかい音の魅力は失われない。第1楽章では、最後の音をスパッと切るアプローチが印象的。
 この曲の第2楽章はそもそも生演奏で聴いてこそ、魅力がわかる曲だと思うが、今回のコンサートも激しい演奏になった。カレワラの旋法を思わせる民族調のメロディーが歌い上げられる部分では、指揮者と奏者の思い入れが最高潮に達しているのが分かった。「人間が奏でる」オーケストラの魅力はこういう演奏なのだろう。
 第3楽章は高速テンポとゆっくりと歌い上げられる場面とのコントラストが鮮やか。このアプローチはバルビローリの演奏を思い起こさせます。
 第4楽章の長調の部分は、「この楽章のキモはここじゃないんだよ」とでも言わんばかり、あっさりと流す。あのカラヤンが朗々と歌い上げた有名なメロディーは、まだまだこの楽章の序章に過ぎないのだろうか。
 楽章終盤に入ると、テンポの変化が無くなり、インテンポな堂々たる演奏に切り替わる。冒頭にも書いたとおり、テンポとダイナミクスの変化が激しいロウヴァリのタクトに、「最後はどういう風に締めくくるのだろう」と思っていたが、まったく正攻法で突き進む。それまでの変化が激しかっただけに、最後の最後に来て大伽藍が立ち現れるようなゆっくりとした足取りは、非常に効果的。
 空席の目立つ会場にも関わらず盛大な拍手となった。アンコールは「悲しきワルツ」と「カレリア組曲の第3曲:行進曲風に」。
 アンコールの後、楽団員が去りはじめても拍手がやまなかった。海外オーケストラの来日公演でこれほど『本気の・ガチンコの演奏』に接することは稀なこと。その熱意に対する謝辞としての拍手だったろう。
このオーケストラ、初来日と言うことですが、僕が聴いたことのあるラハティ管弦楽団、フィンランド放送交響楽団より若干力量は落ちるものの、音の柔らかさ・しなやかさでは他の追随を許さない個性を持っています。今回のツアーで知名度は一気に上がるものと思います。

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なにわ《オーケルトラル》ウィンズ2017 岡山公演 [コンサート感想]

なにわ《オーケストラル》ウィンズ演奏会2017 岡山シンフォニーホール公演

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 会場は満員。そしてロビーにあふれんばかりの高校生の人波。なかでも女子高校生がそこかしこでたむろし期待に黄色い声があがるなか、それを掻き分けながら自分の席へ向かうという、クラシックのコンサートでは、まず経験しない事態に圧倒される。そして学校の先生もたくさん。学校の先生って姿勢の良さと独特の存在感がありますな。そして声がでかい(笑)。いろんな場所で交わされる挨拶。あと、なぜか体格のゴツい人が多い(お前が言うなって)。
 
 今まで、恐らく500回近くは通っている岡山シンフォニーホール。僕はこのホールのヌシを自認していたが、今日だけは完全アウェイ!借りてきた猫状態。
 以前のエントリーの通り、座席はかなり奥まった場所で、クラシックのコンサートなら音が飛んでこない席。しかし、吹奏楽の迫力はオーケストラとは全く別物!特にパーカッションの音量が考えられないぐらい大きい。この席で丁度良かったかもしれない。
 演奏は、流石だった。関西だけでなく、日本全国から手弁当で集まったオーケストラのブラス奏者たちの饗宴。ステージ上を埋め尽くす各オーケストラの名手たち。100人からなる奏者が、みな自由自在に吹いているようで、すべてが余裕を持って演奏され、トゥッティーの正確さは胸がすく思い。ソロの場面では、「よっしゃ!」とばかり朗々たる演奏を繰り広げる。吹奏楽のコンサートには何回か来たことはあったが、これほど。次から次へと感嘆する瞬間が続いたのは初めて。ましてや、岡山の高校生吹奏楽団員にとっては夢のような演奏ではなかっただろうか。
 楽曲も元気をもらうような曲が多かった。どの曲も心をつかむようなメロディーに溢れており、そのメロディーを支える内声のハーモニーに心を奪われた。そしてリードの十二夜のような、人間の心の機微を表現するような繊細な曲があることも、驚いた。吹奏楽について自分は本当に何も知らないなあと思った。
 このコンサートの目的のひとつは、その年の課題曲を演奏して高校生たちの選択の一助にしてもらうこと(なので、このコンサートのCDが6月に発売される段取りになっている、この日もマイクが沢山設置されていた)。他にも吹奏楽コンクールを闘い抜くうえでの、さまざまな『実験』を披露。
 岡山では「見掛け倒し」「前後逆」「フルーツバスケット」「密集」という、どれも受け狙いのような編成・隊形で演奏され、会場も大いに湧いた。そして、どの隊形でも見事な演奏を聴かせ、「さすがプロ!」とうならせた。
 しかし、誰よりも楽しんでいたのはNOWの奏者達で、例えば元大フィルの榎田さん(ダンディズムに磨きがかかってますね!)は指揮台そばのステージ床を椅子にして腰かけて、最前列の観客に楽譜を持たせて演奏していたのは笑った。通常なら1つか2つしか実験しないところを、岡山初上陸(そしてこれが最後)ということで、4つも演奏。丸谷先生が「普通やったら時間外労働で大問題になるところやけど、もうみんな楽しんではるから」「普段、物凄いストレスの中で演奏してはるから、このコンサートに来たらそれを発散するために、子供のようにはしゃいだはる」「一番はしゃいでいる人がいちばんストレスたまってる人や」という厳しいツッコミが入ったが、まさに時間が経つのも忘れているように、そしてNOWの最後の瞬間が訪れるのを、少しでも遅くしたいような、そんなステージ上の空気だっただろうか。
 僕はこのコンサートを3時間ぐらいと呼んでいたのだが、3時開演で6時20分になっても終わらず、後の予定が迫って来ていたので、泣く泣く最後のスパークの色彩交響曲を聞き逃した。後日CDを買おうと思う。



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 コンマスの金井さんの説明では、岡山に来られるということで、岡山=桃色を今年のテーマ色にしてくださったとのこと! 

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