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蜂蜜と遠雷 恩田陸 幻冬舎 [読書(音楽本)]

 音楽を聴きながら読書に没頭…至福の時間でした。

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2016/09/23
  • メディア: 単行本
 三度の飯よりクラシック音楽を聴くことが好きな自分には、これほど面白い小説が他にあろうか?というほど、大いに楽しんだ。現在3回目の読了。
 恩田陸の小説は、20代の頃に本当によく読んだ作家さんです。「六番目の小夜子」「夜のピクニック」を皮切りに、「理瀬」三部作に大いにハマりました。最近も演劇を舞台とした「チョコレート・コスモス」を読んで、恩田ワールド健在と感じたところ。
 直木賞受賞は遅すぎる受賞でしたが、この「蜂蜜と遠雷」は、ここ数年の受賞作の中でも燦然と輝く名作。

 ピアノコンクールに出場するコンテスタント(演奏者)、審査員、記者など様々な人々が、「優劣を付け難いピアノ演奏に順位を付けて行く」というコンクールの残酷な一面に苦悩し音楽を通して突きつけられる自分の内面に立ち向かいながら、最後は各自が答えを出していきます。

 主人公の栄伝亜夜、風間塵だけでなく、登場する人物みな魅力的。「ピアノコンクール」を舞台にしたコミックならいくつか読んでいるが、この小説が秀逸なのは例えば審査員を悪者にして、ストーリーに起伏を付けるといった手法を全く取っていないこと。それによって音楽を演奏する喜び、音楽を聴く・感じる喜びが文間から伝わってきます。恩田さんも「チョコレートコスモス」を読んだ時にも思ったのだけれど、その(クラシック音楽界という)独特の世界を細部にまで取材し、演者の心情に寄り添うタッチは本当に引き込まれます。

 何よりも、この作品の醍醐味は、音楽を聴きながら読めば楽しさ100倍なところ。巻頭には、主要登場人物のコンクールでの演奏曲がリスト化していて、さながら「プレイリスト」のよう。
 ナクソス・ミュージック・ライブラリーには、「恩田陸 監修 蜂蜜と遠雷プレイリスト」があるので、会員の方はこれを利用すると楽です。

 音楽を聴きながら読むと、コンテスタントらのキャラクターやセリフもいっそう輝きを増して感じられます。

 なお、舞台となった「芳ヶ江国際ピアノコンクール」のモデルは「浜松国際ピアノコンクール」だと思われます。通称「浜コン」からは、上原彩子(チャイコフスキーコンクール優勝)を皮切りに、アサクサンダー・ガヴリリュク、ラファウ・ブレハッチ(ショパン・コンクール優勝)、チョ・ソンジン(ショパン・コンクール優勝)ら、現在綺羅星のごとく輝く一流ピアニストたちが巣立っています。


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