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アンサンブル・ステラ 神奈川フィルの名手が奏でる珠玉の名作 [コンサート感想]

アンサンブル・ステラ 神奈川フィルの名手が奏でる珠玉の名作
 
サティ/ジュ・トゥ・ヴ(Vc,Pf)
サン=サーンス/白鳥(Vc,Pf)
シベリウス/ロマンス(Pf)
エルガー/愛の挨拶(Vn,Pf)
ブラームス/ハンガリー舞曲第6番
ラフ/カヴァティアーナ
シューマン/トロイメライ
メンデルスゾーン/ピアノ三重奏曲第1番より第1楽章
  ~ 休 憩 ~
ガーシュウィン/エンブレイサブル・ユー、アイ・ガット・リズム(Pf)
ポッパー/ハンガリー狂詩曲、セレナーデ(Vc,Pf)
ファリャ/スペイン民謡舞曲(Vn,Pf)
アルベニス/タンゴ
ファリャ/火祭りの踊り

アンサンブル・ステラ
Vn:渋谷貴子
Vc:迫本章子
Pf:伊藤 翔

2017年2月25日 天神山文化プラザホール

 神奈川フィルの奏者2人と、本業は指揮者という伊藤さんによる、初心者やライトなクラシック音楽ファンでもでも楽しめるようなコンサートでした。
 主催者は横浜の(株)フーガ、という会社で、創業者が岡山ご出身で備前市役所の仕事も受注されているそう。それで、神奈川フィルの奏者のアンサンブルを岡山で聴ける機会に恵まれたわけです。
 会場は・・・250人キャパに40人ぐらい・・・かなあ。前方の席が空きすぎているので、奏者の方が「今日はガラガラなので、後ろの席の人は前に来た方が音がいいですよ」と、誘導されていました。
 しかし、演奏はハイレベル。室内楽のコンサートは岡山の演奏者も色々なユニットを組んで、楽しませてくれているが、ハイレベルな首都圏のオーケストラで年間100回以上は本番をこなしているというのは、やはり大きいのか、演奏に隙が無く極めて安定しています。ハラハラして聴くという場面が無い。入門者にもやさしい「名曲コンサート」で、こんなハイレベルな室内楽が聴ける機会って、意外に岡山では少ないかもしれない。
 席が埋まらなかった背景の一つとして、岡山の音楽関係者がほとんど来られてなかったことも大きかったと思われますが、岡山の演奏家に対して敢えて耳の痛い事を書かせていただくと、こういう『岡山演奏家コミュニティ』の外から来られた、演奏家の音楽を聴くことも大事じゃないだろうか?岡山という狭い世界の中で、身内の音楽関係者同士でコンサートの席をぐるぐる埋め合ってても先はありませぬぞ。
 
 伊藤さんが指揮者&ピアニスト、ということもあって「自分の演奏に没頭する」わけでもなく、「伴奏に徹する」わけでもなく、ヴァイオリンとチェロをよく歌わせつつも、時折演奏をリードしている感じが印象に残ります。ハンガリー舞曲やカヴァティアーナ、後半のファリャあたりはヴァイオリンとチェロが本当によく歌い上げられてました。
 足を運んだ目的の一つがメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番。「船に乗れ!」という小説を読んで依頼、ずっと生演奏で聴きたかった曲。第1楽章のみの演奏でしたが、演奏会小品が多かったプログラムの中では、いっそう手応えのある曲として、存在感がありました。

 チェロの迫本さんが主に司会をされていましたが、進行がこなれていて、会場の運営スタッフもプロの方が付いているようで、質の高いサロンコンサートを大いに楽しめました。
 アンコールはピアソラの曲を2曲。


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クァルテット・ベルリン=トウキョウ 2017岡山公演 [コンサート感想]

クァルテット・ベルリン=トウキョウ 2017岡山公演

ハイドン/弦楽四重奏曲作品76-4変ロ長調「日の出」
バルトーク/弦楽四重奏曲第3番
 ~ 休 憩 ~
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第13番変ロ長調作品130、作品133「大フーガ」

クァルテット・ベルリン=トウキョウ
第1ヴァイオリン:守屋剛志
第2ヴァイオリン:モティ・パブロフ
ヴィオラ:ケヴィン・トライバー
チェロ:松本瑠衣子

2017年2月11日(土) 岡山県立美術館ホール

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 クァルテット・ベルリン=トウキョウ(以下QBT)を聴くのは、これで5回目になると思います。本当に毎回毎回凄い演奏で、僕に室内楽の面白さを教えて下さったのは、このQBTの存在が大きいです。

 今回のコンサートはその中でも心に深く刻まれることになりそうです。バルトークの3番カルテットで理屈抜きの面白さと、彼らのアンサンブル能力の桁外れの高さに感嘆。ベートーヴェンの13番の第5楽章では、自分の頭の中が真っ白になる様な感覚になり、心の襞に文字通り「沁みわたる」感覚があった。『感動』という簡単な表現では言い表せないものがあった。

(2・24追記)

 配置は下手(しもて)から1stVn(守屋)→2ndVn(パブロフ)→Vc(松本)→Va(トライバー)の順。QBTは今回のツアーからメンバーが入れ替わっている。杉田さんに代わってケヴィン・トライバーという、なかなか迫力のある雰囲気の奏者が加入した。
 前のメンバーで室内楽の数々のコンクールで優勝・入寮してきた実績が語るように、杉田さんが居る時も完成されていたカルテット、あとで一人だけ加入するというのは相当なプレッシャーではないかと愚察する。トライバーさんは曲間でも、守屋さん・松本さんが笑顔を浮かべる場面があるのとは対照的に、表情は終始硬かった。ベートーヴェンの曲が終わって、アンコールの時に自然な笑顔が見られたということは、本番のプログラムに対する緊張と意気込みを感じさせます。会場は満席!補助いすも何十席と出ていた。もしかすると当日券狙いのお客さんのなかには、札止めであきらめざるを得なかった人もいたかもしれない。そして会場内の熱気も相当なものだった。

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※開演前に撮影。この後、会場は満席の熱気に包まれる

 1曲目のハイドンは、事前のチラシから変更されて、作品76-4「日の出」が演奏されました。冒頭のメロディーを聴いてビックリ!ワーグナーのタンホイザー第2幕の大行進曲の2番目の主題に音型がそっくりです。もちろんハイドンが先に作曲しています。変ホ長調という調性もあって、「日の出」というよりは王様の登場、といった風格(笑)
 去年からセンチュリー響のハイドン・マラソンを聴きに行って以来、ハイドンの心地よい形式感と、飽きさせない仕掛けにはまっています。いきなり下降音階のフーガで始まる第4楽章なんて、「あっ」と思わせる仕掛けだ。QBTの演奏も盤石の演奏で、安心して聴いて居られる。第2楽章のノンヴィヴラートの音が澄み渡っていて、心が洗われる。

 2曲目のバルトークの弦楽四重奏曲第3番。バルトークの楽曲は、昔は苦手だったが、管弦楽曲に関しては結構楽しめるようになった。特に「弦楽のためのディベルティメント」なんかは、非常にチャーミングで体が踊り出すような躍動感がたまらない。
 調性が明記されていない単一楽章で、緩ー急ー緩ー急の4部構成。2部はスケルツォ的なポジションになるだろうか、まさにバルトークならではの血湧き肉躍るような音楽。4部は第3部に付随するプレストの部分になると思われるが、この演奏が圧巻だった。1stVnの守屋さん(倉敷の出身)とチェロの松本さんの惚れ惚れするテクニックと、心を動かさずには入れらない豊かな音楽性、このお二人がQBTの2枚看板なのは間違いないけれど、このバルトークを聴くと2ndVnのパブロフさんと今回加わったヴィオラのケヴィン・トライバーさんの音楽の鋭さも際立っていた。。
 ハイドンがかっちりとした形式感の中で楽器間の対話を楽しむものならば、このベルトークの4番カルテットは、真剣で「殺陣」をやっているような感じだ。少し間合いが間違うと血しぶきが飛びそうな、そんな緊迫した中で演奏している。これ以上、何を望むか?という完成度の高さだった。
 
 休憩時間中は「このバルトークが、今日のハイライトになるかもしれない」と思っていましたが、後半のベートーヴェンの13番は、その更に上をいく感銘を受けた。この日のプログラムは、いわゆる「大フーガ」変ロ長調を第6楽章に組み込んだ、「ベートーヴェンが本当にやりたかった楽章構成」で演奏された。
 改定後の13番の第6楽章も傑作であるために、ついつい違和感なく聴いてしまう、そしてあの高潔で美しい第5楽章の後に、大フーガを組み入れてしまうと、もはやブルックナーの交響曲のような巨大な音楽になってしまう。それを敢えて、今回やったということで、正直この展開は予想していなかった(チラシには、第13番/大フーガ、という表記だった)ので、始まる前は少し構えてしまいそうになっていた。

 開演前に守屋さんとQBTの実演による解説があり、この曲の構成やモチーフの展開のさせ方がよく解った。第2楽章のプレストをアダージョぐらいの速度で弾いてみた時の音楽があまりにも美しく、「これをプレストで弾かせるというのはなんという贅沢か!」と会場がどよめいたのが印象的。5分で終わる筈の解説だったが、途中から守屋さんもQBTのメンバーも時間を忘れてしまったようで、15分にもなってしまった(笑)このQBTのメンバー同士、こういう感じで楽曲研究とディスカッションに熱中している様子が解り、とても貴重な体験だった。
 ベートーヴェンやハイドンのような古典派の構成感、シューマンやブラームスといったドイツ・ロマン派の重厚さとメランコリーの同居、ドビュッシーやラベルの色彩感、そして今回聴いたバルトークの躍動と切れ味、恐らくショスタコーヴィチあたりも得意にして居るに違いない。どれも一級のレベルで作り込んだ演奏を聴かせてくれるこのQBTのクォリティの高さはこうして生み出されているんですね。

 少し脱線しました。ベートーヴェンの13番。第1楽章からベートーヴェンらしいがっしりした躯体に、付点音符が印象的なモチーフだ自由に飛び回る。この曲の生命力と瑞々しさを存分に表現していた。第2楽章のプレストも、例の解説を聴いた後だと「よく出来ているなあ・・・」と感心する。第3楽章~第5楽章の穏やかな音楽に身を預ける時間も幸福感に満たされてた。特に第5楽章の無垢な美しさは筆舌に尽くしがたいものがあった。静かな感動に包まれ、私の周りには美しさに涙する人がちらほら居た。
 第5楽章は、これは・・・大変な音楽だ。僕はこの曲を聴くと、ブルックナーの第5番を思い出してしまう。守屋さんとQBTの解説演奏で、独特のリズムとに二重フーガという構成がブルックナーの5番に通じるものがあることを理解した。給付が長いのもブルックナーの音楽に似ている。しかし、弦楽器たった4本でこれほどの大伽藍を思わせる神々しい世界を作り上げるベートーヴェンの才能にひれ伏し、この稀代の若手クァルテットが岡山と深いかかわりを持ってくれていることに感謝した。


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「とっとり弥生の王国」展と「古代吉備の名宝展」展 岡山県立博物館 [展覧会・ミュージアム]

「とっとり弥生の王国」展 ー青谷上寺地遺跡と妻木晩田遺跡―

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東京国立博物館から里帰り!「古代吉備の名宝」展
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ともに岡山県立博物館

 QBTの感想がまだ更新できてないんですが・・・、とにかくこの県立博物館の2つの展覧会には絶対行った方がいいですよ~!というお知らせのために、こっちを先に更新します。

 「古代吉備の名宝」展は、歴史ファンのみならず、岡山のすべての人々が見るべき見事な展示でした。古代の吉備の国の燦然と輝く歴史を感じることが出来ます。普段は東京に居る国の重文クラスの銅鏡や銅鐸そのた古代吉備の出土物が、もともと岡山県立博物館で展示されているものと合わせて、一堂に拝見することが出来る貴重な機会と思います。

***岡山県立博物館HPから***
 東京国立博物館には、かつて岡山県内から出土した考古資料の優品が、数多く収蔵されています。卑弥呼の鏡といわれる三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)や、不思議な小像で飾られた須恵器(すえき)、80年ぶりに出土品が勢揃いする備前市丸山古墳の銅鏡など53件が、岡山に里帰りすることになりました。
古代吉備の繁栄を物語る名宝の数々を、この機会にぜひご覧ください。
*****************

 歴史ファン、古代史ファンの方々は、お正月にBSで放送された「英雄たちの選択 新春スペシャル ~“ニッポン”古代人のこころと文明に迫る~」を見られた方も多かったのではないでしょうか。

 「とっとり弥生の王国」展は、その番組で紹介された、弥生時代を代表する集落である、青谷上寺地(あおやかみじち)遺跡と妻木晩田(むきばんだ)遺跡の出土品が展示されています。最近、再放送されたこともあるのか会場は想像以上に人が多くて熱気がありました。

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 特に木製の遺物の展示が充実、番組でもその造形の美しさと装飾技術の高さから、現代風に言うと「青谷ブランド」として弥生人の間では評判になっていた、と解説されていました。なんと北陸から北九州まで流通していたようですね。
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 妻木晩田遺跡の国内最大級の環濠集落からの出土物も圧巻。当時はまさに「大都会・鳥取」として、人口も経済力・生産技術も国内随一の水準だったんですね。

***岡山県立博物館HPから***
岡山・鳥取文化交流事業の2年目は、鳥取県の弥生時代を取りあげます。地下の弥生博物館ともいわれる国史跡青谷上寺地(あおやかみじち)遺跡と、国内最大級の弥生集落である国史跡妻木晩田(むきばんだ)遺跡を中心に、最新の調査研究成果を紹介します。

 国内唯一となる線刻で絵画を描いた新発見の銅剣が、鳥取県外初公開となるほか、通常の遺跡からはほとんど出土しない木製品や、交易によってもたらされた新潟県産出の翡翠でつくられた勾玉など、総数約380点の貴重な資料を展示します。
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 一方岡山も負けていません!
 番組内では従来の「邪馬台国論争」の『北九州説』『近畿説』に加えて、『瀬戸内説』(→吉備地方)を選択肢に入れて、議論が繰り広げられました。
 まあ、番組司会の磯田さんは岡山県生まれ、パネラーの国立民族学博物館の松木教授は、最近まで岡山大学の教授をされていました。

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 番組でも紹介された「卑弥呼の鏡」と言われる三角縁神獣鏡も、もちろん今なら県立博物館で一堂に見ることが出来ます。『岡山って、吉備って、すごいところだったんだ!』と郷土に誇りが持てる展覧会です。


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音楽の友2017年2月号から大阪のオーケストラ界の現状を憂う [クラシック雑感]

 音楽の友の2月号は(9月号とともに)毎年購入しています。前年度のコンサートや、国内全体の演奏会の状況を振り返る「コンサート・ベスト10」「地方各地の音楽状況」は毎年興味深く読んでいます。

音楽の友 2017年2月号

音楽の友 2017年2月号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 音楽之友社
  • 発売日: 2017/01/18
  • メディア: 雑誌

 恒例の「39人の音楽評論家・記者が選ぶコンサート・ベストテン」では、ここ数年、海外オーケストラの来日公演のウェイトが減少してきています。上位を占めるのは確かにバイエルン放送響やドレスデン・シュターツカペレなどの海外一流オーケストラだが、逆に、ウィーン・フィルを選んだ評論家がわずかに3名となるなど、厳しい評価が下されるオーケストラも多い。
 その一方で、国内オーケストラは、在東京のオーケストラを中心に、東京フィル17人、日フィル16人、N響16人、読響12人、都響12人など、海外オーケストラと並ぶ評価をする評論家も多い。
 東京在住の評論家が多いため、他都市のオーケストラが取り上げられにくいが、それでも、OEK1人、京響1人、群響1人、札響1人、仙台フィル1人、広響1人と昨今評価の高いオーケストラが取り上げられている。
 そんな中でショッキングだったのは、大阪のオーケストラを誰も選ばなかったことだろう。39名の評論家には関西に拠点を持つ人も含まれているだけに、関西6オケの中から選ばれたのが京響のみ、という結果には驚きを隠せません。
 「地方各地の音楽状況」を見ても、「札響の充実ぶりに触れなくてはならない」「仙台フィルの定期は相変わらず驚くようなプログラミングで聴衆を喜ばせてくれた」「(名古屋フィル)シェフと奏者の絆は深まり充実した演奏が展開された」「(京都市交響楽団)好調を維持している」「(広響)下野音楽総監督に集まる期待」「(九響)小泉体制4年目で管楽器陣パワーアップ」など、わくわくするような話が踊る一方で、大阪の4オケについては…
「(東京に比べると)関西は以前と比べてもずいぶんきんびしい状況になった印象が強い」

「経済的基盤の弱さを反映するかのように、内容にも集客にも陰りがみられる」

「このままでは縮小再生産の道を歩むだけ」

 との極めて厳しい指摘が展開されている。
 もともと音楽の友という雑誌は、故宇野功芳氏に代表される、レコード芸術の評論家陣に比べると、よく言えば前向きでソフト路線、悪く言えば提灯記事(失礼!)のきらいがあった。オーケストラ団体が演奏会の広告を掲載するなど、スポンサーとなっている性格上、そこまで厳しい記事はほとんど見たことが無かった。
 それなのに、この書かれようはほとんど「酷評」といってもいい内容だ。
 もっとショックだったのは、「データで見る日本の音楽状況2016」の「演奏会回数の動向」の記事。
 2016年は演奏会回数で、大阪が名古屋に抜かれていたのである。
 2010年には大阪:名古屋は、8.1%と6.1%で、つごう2%もの開きがあったが、2015年にはともに6.9%で追いつかれ、2016年には6.6%と7.1で0.4ポイントの差をつけられて追い抜かれてしまった。
 もっともデータは音友のコンサーガイドに掲載された演奏会であるため、実数を反映していないかもしれないが、6年前には大阪の3/4程度の回数だった名古屋に一気に抜かれたことを鑑みるに、大阪と名古屋の経済の勢いの差、といったものを感じざるを得ないですね。
 一方、我らが岡山フィルは「各地の音楽状況」に取り上げられています。シェレンベルガー氏が就任前には、「音楽の友」誌からは、全く「無視」されていたことを考えると、隔世の感があります。

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広島交響楽団第23回福山定期演奏会 大友直人指揮 Vn独奏:川久保賜紀 [コンサート感想]

広島交響楽団第23回福山定期演奏会

ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調
 ~ 休 憩 ~
ドヴォルザーク/交響曲第8番ト長調

指揮:大友直人
ヴァイオリン独奏:川久保賜紀
コンサートマスター:佐久間聡一
2017年2月5日 福山リーデンローズ大ホール
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 「凄い!パーフェクト!!」ドヴォルザークの最後のトゥッティが鳴り終わった瞬間、思わずそう呟いてしまいました。広響…いやはや、そら恐ろしいまでに凄いオーケストラになったものです。
 前半はベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。久しぶりに聴いた川久保さんのソロは、本当に音色が美しかった。美音にますます磨きがかかったとの印象を強く持ちました。テクニックは、そもそもチャイコフスキーコンクール最高位の称号を確認するまでもなく、まったく隙の無い完璧なテクニック。でも、僕はやはり第1楽章中間部やカデンツァ、第2楽章で魅せたその美しく歌い上げる美音に酔いしれた。ややもすると冗長になりかねないこの曲を「ずっとこの美しい音を聴いて居たい」と思わせる演奏は見事です。先日の松山さんと言い、この30代~40代の女性ヴァイオリニストの層の厚さはどうでしょう。本当に皆さんまばゆいばかりに輝いています。
 オーケストラの伴奏は、広響らしくベートーヴェンのオーケストレーションを、分厚く重厚に過不足なく鳴らせていました。日本のオーケストラは欧米に比べるとやや薄味な響き、との先入観を持っている人は、この広響を聴いてみるといいです。全体的には大友さんらしく品のいい細部の繊細さが感じられる演奏でした。

 後半のドヴォルザークの8番。この演奏が非常に熱が入っていて、素晴らしかった。

 まずは、オーケストラの状態が絶好調、ということがあげられる。広響は定期演奏会では佐久間コンマス・蔵川コンミスのダブルコンマスでファースト・プルトを組むこともありますが、この日は蔵川コンミスは降り番。そして潮田さんも寿退社なさったということで(勿体ないなあ…)、トッププルトに大フィル時代からの情熱的な演奏に拍車がかかった佐久間コンマスと、広響自慢の情熱のヴァイオリニストの山根啓太郎さんという、ありそうでなかった動きの激しい二人でトッププルトを形成。このお二人とチェロのマーティンさん、ヴィオラの安保さんら、弦五部の首席奏者らが強力な起爆剤となって、疾風怒濤の演奏になった。それでいて、第2楽章・第3楽章の民族調の旋律が印象的な場面では、「これでもか」というほど弦が歌いに歌う!
 そしてもっと驚いたのは、大友さんの指揮から繰り出されるスケールの大きい音楽。埒からはみ出すことも躊躇しない剛腕ともいえる指揮。僕は大友さんの指揮はこれで5回目ぐらいになるだろうか。京響での指揮の印象が強いのですが、これまでの僕の大友さんに対するイメージは、いかにも斉藤門下生らしく、四隅にまで気を配った緻密で、精妙なニュアンスに富んだ音楽づくり、しかしその一方でバランスに細心の注意で払うことで、どこか「縮小均衡」のきらいがあることが不満だった。
 しかし、この日の広響との演奏はどうだ。音楽の推進力が前面に出て、スケールの大きいダイナミックな音楽に酔いしれた。その一方で、第2楽章・第3楽章の終結部に象徴されるように、細部にまで手が行き届いている。
 どちらが本当の大友さんなのか?また次の機会を楽しみにしたいと思う。

 かつての広響のウィークポイントがあったとすれば、金管の精度に物足りなさがあったのですが、この日の広響は(というか、ここ2年ほど、僕が聴いた限りの広響は)演奏制度もパワーも申し分ないです。

 4月に下野さんを大将に、大阪でブルックナー8番を演奏しますが、まったく死角なし!でしょう。このブログは大阪の方からのアクセスが多いのですが、4月の大阪定期演奏会では、おそらく広響の重厚な響きに大阪の皆さんは度肝を抜かれることでしょう。それが、眠れる獅子と化した、あの老舗オーケストラの尾っぽを踏んで、再起の狼煙のきっかけになれば…僕は本気でそう思っています。
 今の広響は、たぶん奏者の方々が心から楽しんで音楽に没頭できている。昨年は被爆70年の節目の年で、かつ広島カープの久しぶりの優勝に沸き返りましたが、広響は平和都市のホスト・オーケストラとして確固たる地位を与えられているし、カープ・シンフォニーのコンサートなどで、カープともに市民から愛されている存在。奏者のモチベーションも高く、演奏レベルは向上し、その結果アルゲリッチや藤村実穂子、来年度はクレーメルなど超一流アーティストからのオファーが引きも切らない。コンサートに足を運ぶ聴衆も、心から広響の音楽を楽しんでいるように感じます。

・アンコールは、水上の音楽から 第9曲。ヘンデル演奏に定評のある、いかにも大友さんらしい粋な選曲。しかし、12型の弦で聴くヘンデルなんて久しぶりかも知れない。

・この日の編成は12型の2管編成。下手から1stVn12→2ndVn10→Vc8→Va8で、上手奥にCb8。

・お客さんの入りは6割5分ぐらい?もう少し入って欲しい感じはしますね。


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