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タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団 2017 福山公演 [コンサート感想]

タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団 福山公演


シベリウス/交響詩『フィンランディア』
グリーグ/ピアノ協奏曲イ短調
  ~ 休 憩 ~
シベリウス/交響曲第2番ニ長調

指揮:サントゥ=マティアス・ロウヴァリ
ピアノ独奏:田部京子

2017年5月20日 ふくやまリーデンローズ大ホール

DSC_0528.JPG

 『ばらの街福山』を標榜する福山市は、ばら祭りの真っ最中でした。リーデンローズ前の陸橋もばらの花壇も見事な咲きっぷり。


 フィンランディアは名刺代わりのオーソドックスな演奏。グリーグのコンチェルトは、田部さんの滴り落ちるような瑞々しい音に惚れ惚れさせられる。しかし、オーケストラも容赦のない迫力で迫って来る、田部さんも負けていない。実力伯仲のまさに迫真の『協奏』が聞かれた。


 メインのシベリウスはロウヴァリの奇才ぶりが全開!今まで聴いたシベリウスの2番とはまるで違う、極めてラディカルな解釈と楽想の展開。ダイナミクスとテンポの振幅を大きく取り、第2楽章の緊張感たるや、今までの僕のこの曲に対する牧歌的なイメージを覆すには充分。全く先の読めない展開に手に汗握りっぱなし、「これは、最後はどうやって着地するのだろう」と気をもんでいたが、第4楽章最後のカレワラの音階によるモチーフが登場すると、堂々たるフィナーレを飾って見せた。いやいや、ロウヴァリ君32歳、只者では無かったです。


(以下、追記)


 ロビーでは「ムーミン原画展」が開催され、シティ・プロモーションの一環になっているんでしょう。背の高い北欧系の、シュテファン・エドバーグを思い出させる顔立ちの関係者がロビーで日本の関係者と談笑。 

 しかしですね、お客さんの入りは4割ぐらい?もしかしたら3割5ぐらいだったかも知れない。3階席は閉鎖。このコンサートの主催者はHTV(広島テレビ)で、放送区域外の岡山ではまったく広報されていませんでしたね。立地的に福山のコンサートは岡山から来る人が多い(快速で1時間かからない)わけですから、もうちょっと手が打てたように思いますけどねぇ。

(ときどき思うのだが、福山市って岡山県に編入されていた方が発展したんじゃないだろうか?元々吉備の国の一部だし、笠岡・井原は福山の経済圏。静岡県における浜松市ぐらいのポジションが得られたのではないか?という気がする)
 1曲目とメインの「フィンランディア」、交響曲第2番の編成は16型の3管編成1stVn16→2ndVn14→Vc10→Va8、上手置くにコントラバスが7本。16型という充実した弦5部から繰り出されるハーモニーは極上。シベリウスのひんやりとしたテクスチュア(それでいて暖かみも感じる)のサウンドをパワフルに鳴らします。

 そして木管・金管の音もパワフルかつマイルド、僕は2階席で聴いていたのですが、ホールのロウヴァリの指揮が時に激しくなっても、まったく耳障りな音がしない。いや~本当にこのオーケストラの音はいいです!
 コンチェルトは田部京子さんによるグリーグ。こういう来日オーケストラにありがちな事務所売り出し中の若手ではなく、実力派のソリストを付けてくるところが非常に好感が持てます。田部さんのピアノの音は、やはり際立っています。場面によってはオーケストラもかなり鳴っているんですが、そのトゥッティの本流の中でも宝石のように光り輝くピアノの音が聞えてくる。第3楽章なんてロウヴァリがかなり緩急を付けて煽っているんですけど、田部さんのピアノは堂々と渡り合う。第2楽章の美しさも特筆もの。清潔な静謐さの中に、北欧の景色が思い浮かんでくるような情景描写が見事でした。
 
 メインのシベリウスは、32歳の俊英指揮者のほとばしる情熱が乗り移った、激しいものだった。特にテンポを早めていく過程の場面での激しさが印象に残った。オーケストラの方も懸命について行くが、オケの技量の問題なのだろう、指揮者の指揮に追いつけず、演奏が乱れる場面があった。しかし、そんな場面でも弦楽器のしなやかな音、管楽器の柔らかい音の魅力は失われない。第1楽章では、最後の音をスパッと切るアプローチが印象的。
 この曲の第2楽章はそもそも生演奏で聴いてこそ、魅力がわかる曲だと思うが、今回のコンサートも激しい演奏になった。カレワラの旋法を思わせる民族調のメロディーが歌い上げられる部分では、指揮者と奏者の思い入れが最高潮に達しているのが分かった。「人間が奏でる」オーケストラの魅力はこういう演奏なのだろう。
 第3楽章は高速テンポとゆっくりと歌い上げられる場面とのコントラストが鮮やか。このアプローチはバルビローリの演奏を思い起こさせます。
 第4楽章の長調の部分は、「この楽章のキモはここじゃないんだよ」とでも言わんばかり、あっさりと流す。あのカラヤンが朗々と歌い上げた有名なメロディーは、まだまだこの楽章の序章に過ぎないのだろうか。
 楽章終盤に入ると、テンポの変化が無くなり、インテンポな堂々たる演奏に切り替わる。冒頭にも書いたとおり、テンポとダイナミクスの変化が激しいロウヴァリのタクトに、「最後はどういう風に締めくくるのだろう」と思っていたが、まったく正攻法で突き進む。それまでの変化が激しかっただけに、最後の最後に来て大伽藍が立ち現れるようなゆっくりとした足取りは、非常に効果的。
 空席の目立つ会場にも関わらず盛大な拍手となった。アンコールは「悲しきワルツ」と「カレリア組曲の第3曲:行進曲風に」。
 アンコールの後、楽団員が去りはじめても拍手がやまなかった。海外オーケストラの来日公演でこれほど『本気の・ガチンコの演奏』に接することは稀なこと。その熱意に対する謝辞としての拍手だったろう。
このオーケストラ、初来日と言うことですが、僕が聴いたことのあるラハティ管弦楽団、フィンランド放送交響楽団より若干力量は落ちるものの、音の柔らかさ・しなやかさでは他の追随を許さない個性を持っています。今回のツアーで知名度は一気に上がるものと思います。

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