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読売日本交響楽団第16回大阪定期演奏会 下野竜也 指揮 Vn:スム [コンサート感想]

読売日本交響楽団第16回大阪定期演奏会
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モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調
  ~ 休 憩 ~
ブルックナー /交響曲第7番ホ長調

指揮:下野竜也
ヴァイオリン独奏:アレクサンドラ・スム
コンサートマスター:長原幸太

2017年3月9日 フェスティバルホール
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 国内三指に入るスーパーオーケストラ、指揮者は40代にしてブルックナーを極めつつある実力派指揮者。会場は日本におけるブルックナーの聖地:大阪はフェスティバルホール。役者も舞台も充分なコンサートということで、期待に胸を膨らませて聴きに来ましたが、それでもその期待を遥かに超える、壮絶にハイレベルな演奏でした。金管のバリッとしつつもシルキーな音は、まさに中欧の名門オーケストラの音で、「目の前で演奏しているのは、本当に日本のオーケストラなのか?」と、演奏中に何度思ったことか……。そして、そのパワフルな金管の全く埋もれることなく強靭に響く弦楽器の音。

 拙ブログをご覧いただいている鳥取、山陰、美作地方の方々。明日はこのプログラムで鳥取公演があるようです。絶対に足を運んだ方がいいですよ。今後20年はこのレベルのブルックナーを山陰で、いや岡山県も含めた東中国地方で聴くことはないと思いますよ。取り急ぎ、それだけお伝えします。

(詳細な感想は後日更新します)

 3月です、どこの職場もそうだろうと思いますが、繁忙期です(汗)土日出勤の振替を無理やり集めてコンサート遠征の日程を捻出。当然のごとく帰ってきてから更新する余裕時間がありませんでした~。1週間遅れの更新。

 前半のモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番。オーケストラの配置は、前半は8型のステレオ配置1stVn8→2ndVn6→Vc3ーVa4、上手奥にCb2本という並び。
 長原コンマスの横には小森谷コンマスが座ります。ソリストのアレクサンドラ・スムさんの演奏は、明晰でテクニックも申し分ない。低音から高音まで漏れなく純度の高い音を奏でる。ただ、このモーツァルトのヴァイオリン・コンチェルト5曲とも感じることなんですが、若書きの曲であるが故に晩年の陰りがあって劇的な楽曲に比べると、今ひとつ面白みに欠けるんですよ。
 スムさんは、この曲を可能な限り即興的に演奏して面白さを出そうとされていたように見受けられましたが、読響の伴奏は極めて「真面目」で、少々たがが外れてもソリストの誘いに乗って飛んだり跳ねたりしてほしかったなあ・・・と。いや、読響のフワリとしたアンサンブルは素晴らしかったし(フェスティバルホールのアコースティックの響きを上手く使って、小編成でも良くなっている印象を持ちました)、演奏も誠実なものだったので、これで文句を言ったら罰が当たりますか。

 アンコールはイザイの無伴奏ソナタ2番の第4楽章。彼女の本当の実力が垣間見えました。次回はバルトークとかシベリウスのコンチェルトを聴きたいですね。

 前半開演前にはそこかしこに空席があって、僕の左隣も2席空席があったんですが、後半になって客席がびっしり満席になりました(笑)関西のブルヲタ、いやブルックナー愛好家が集結したような様相。今日のコンサートのプログラムはなんと言ってもブルックナー7番のの存在感が大きい。

 オーケストラも登場したときから全体のオーラが違っています。指揮者の下野さんも、いつになくゆっくりと、そして堂々とした足取りで指揮台に向かう。ステージの一挙手一投足を見守る客席も、まるで「念」を送るように固唾を飲んで見守る。これこそが大阪でブルックナーを演奏することであり、このフェスティバルホールでブルックナーが演奏されることの意味を示していると思う。

 編成は16型で、1stVn16→2ndVn14→Vc12→Va14、上手奥にはコントラバスが10本。堂々たる16型2管編成。
 全体的にはゆったりした足取りで進む、ブルックナー特有の弦のトレモロ(「原始霧」と名付けた人は天才!)の透明感に鳥肌が立つとともに、一つ一つのフレーズの重心が低く、音楽の密度は極めて濃い。ブルックナーリズムに乗って最初の盛り上がる部分へ向かう時間は、まるでフレーズ一つ一つに生命が吹き込まれて、大きな存在が起き上がってくるような感覚があった。

 第1楽章ではアンサンブルをぎちぎちに締め上げることはせず、下野さんのタクトも打点を明確に打たずに、スケール感を重視。アンサンブルをぴったりと揃うのを嫌っているかのよう。冒頭にも書いたとおり、ブラスの響きが輝かしく、とりわけ第3楽章のスケルツォで、そのサウンドの輝きは最高潮に達した。まさにドイツのオーケストラのようなアクセントとパワーでホールの隅々にまで存分に鳴る。読響のブルックナーは、ザ・シンフォニーホールでの3番に続いて2回目だが、あのときよりもオーケストラが数段もレベルアップしているように思えるし、指揮者・奏者ともに確信を持って演奏している様子が伝わって来る。全曲に渡って堂々たる王道を行くブルックナー、といって間違いないと思う。

 下野さんのタクトは第1楽章中間から、徐々に手綱がしまっていき、曲の当初ではややと重苦しい印象だったアンサンブルが、ダイナミクスを自然に、繊細にコントロールすることで、みるみる神々しいまでの躍動感と瑞々しさに変化していったのが印象的。驚いたのはブラスが終始、かなりの爆音で鳴っているのに、弦楽器の音も充分なバランスでその上に乗せてきて聞えること。会場には在阪オーケストラ事務局の幹部の方の顔も見えたが、東京に本拠を置く読響が、新生フェスティバルホールの広大な空間を、ここまで見事に鳴らし切る様子は大いに参考になったのではないだろうか。

  長大な第2楽章もまったく弛緩することはなく、スローなテンポながら音楽の密度は依然、濃厚なまま進んだ。本当に美しい音楽にため息が漏れる。「きれい」とか「カラフル」「ブリリアント」というのではなく、神話の世界のなかの深い深い森を逍遙しているような心地、といったらいいだろうか。今回のコンサートはハース版を採用していたが、第2楽章のシンバル一撃&トライアングルは下野さんの意思で追加されていた。
 第1楽章と第4楽章の集結部分も凄かった。怒濤ともいえる迫力 で迫ってきた。このシンフォニーが、かつてその武力でヨーロッパを席巻し、体格や体力では日本人は到底叶わない、ゲルマンの血を感じる音楽を日本のオーケストラが存分に響かせる。本場のオーケストラにしか出せないと思い込んでいた音楽に、ここまで肉薄できる瞬間に立ち会えたことに感極まってしまった。
 コンサートのチラシに「涙が自然とあふれるほどの、圧倒的なスケール感」とあったが、そのキャッチコピーは全く嘘も誇張も無かった。一ついちゃもんを点けるとすれば、「スケール感」ではなく「スケール」で良い。途方もなく懐の深い、スケール(物差し)では測りがたい大きな音楽だった。

 全体の演奏時間は75分ぐらいだったろうか。私の周りに関しては、客席の雰囲気も良かった。「大阪で、ここフェスティバルホールでブルックナーを聴く」醍醐味を充分に味わい尽くした充実の時間。一点、望みうるとすれば、これが大阪を本拠に置くオーケストラだったなら・・・という思いは残りました。

 下野さんは1月に京響との0番。今回の読響大阪定期での7番、4月には音楽総監督に就任するお披露目の大阪公演(ザ・シンフォニーホール)で8番。兵庫PACオケで6番、というように、ここへきて関西で怒涛のようにブルックナーを演目に採り上げる。下野さん自身、ブルックナー解釈に確信をもっていることは今回のコンサートで伝わって来たし、それに加えて、関西でブルックナーを披露する意味をよく理解し、関西の聴衆に敬意を持って披露していく決意と配慮も伝わってくる。下野さんのこの「一人関西ブルックナーシリーズ」は低迷していると言われる、関西のクラシック音楽シーンにどのような一撃として歴史に残るんでしょうね。
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コメント 4

かたつむり

ベルリン交響楽団でガックリ来たいつぞやのカタツムリです。
はい、行きましたよ。
サイン会にも並びました。人数の割に結構女子高校生がいて、話したのは吹奏楽部の子達でした。
この年でブルックナー、くく尊敬うらやましと思ったりして
数少ない演奏会に地元の弦楽部吹奏楽部の子らが必ず居て、いいと思いません?

by かたつむり (2017-03-11 00:14) 

ヒロノミンV

>かたつむりさん
 コメントありがとうございます。
 非常に密度の濃い演奏で、鳥取の皆さんも満足されたのではないかと思います。
 岡山でも見かけますが、地元の中高生がこういう一級の演奏に触れられるというのは、本当に素晴らしいですね!
 このレベルの演奏を、大阪ではB席5100円で聴けました。中途半端な海外オーケストラを聴きに行くよりも東京のオーケストラを聴けば、それで十分な満足感が得られますね。
by ヒロノミンV (2017-03-11 23:50) 

ぐすたふ

ご一緒できたこと、アフターで語り合えたこと、ありがとうございました。

下野さんは、本当に真摯で真面目で、そして男気のある人ですね。この人が、日本にいて、そして偶然にもブルックナー指揮者の薫陶を受ける巡り合わせになったこと、何か不思議な縁を感じます。

大阪にいつかしばしの帰還をしていただきたいものです。
by ぐすたふ (2017-03-20 09:20) 

ヒロノミンV

>ぐすたふさん
 当日は色々とお忙しい中、お付き合いいただきましてありがとうございました。未だにこの日の演奏が頭の中で鳴っています。
 フェスティバルホールの広大な空間に鳴り響く、しっかりとした足取りのブルックナー…本当に見事な演奏でした。僕は朝比奈さんの息遣いが聴こえてくるように感じた演奏でしたが、先日鬼籍に入られたスクロヴァチェフスキの薫陶を感じた方もいらっしゃったようです。しかし、両者の魂をしっかりと受け継いでいる下野さんも凄いものだと思います。
 これまではどちらかと言えば関東を本拠にされていた下野さんの指揮を、今後は目にする機会も多くなりそうです。
by ヒロノミンV (2017-03-20 20:35) 

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