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音楽の友2017年2月号から大阪のオーケストラ界の現状を憂う [クラシック雑感]

 音楽の友の2月号は(9月号とともに)毎年購入しています。前年度のコンサートや、国内全体の演奏会の状況を振り返る「コンサート・ベスト10」「地方各地の音楽状況」は毎年興味深く読んでいます。

音楽の友 2017年2月号

音楽の友 2017年2月号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 音楽之友社
  • 発売日: 2017/01/18
  • メディア: 雑誌

 恒例の「39人の音楽評論家・記者が選ぶコンサート・ベストテン」では、ここ数年、海外オーケストラの来日公演のウェイトが減少してきています。上位を占めるのは確かにバイエルン放送響やドレスデン・シュターツカペレなどの海外一流オーケストラだが、逆に、ウィーン・フィルを選んだ評論家がわずかに3名となるなど、厳しい評価が下されるオーケストラも多い。
 その一方で、国内オーケストラは、在東京のオーケストラを中心に、東京フィル17人、日フィル16人、N響16人、読響12人、都響12人など、海外オーケストラと並ぶ評価をする評論家も多い。
 東京在住の評論家が多いため、他都市のオーケストラが取り上げられにくいが、それでも、OEK1人、京響1人、群響1人、札響1人、仙台フィル1人、広響1人と昨今評価の高いオーケストラが取り上げられている。
 そんな中でショッキングだったのは、大阪のオーケストラを誰も選ばなかったことだろう。39名の評論家には関西に拠点を持つ人も含まれているだけに、関西6オケの中から選ばれたのが京響のみ、という結果には驚きを隠せません。
 「地方各地の音楽状況」を見ても、「札響の充実ぶりに触れなくてはならない」「仙台フィルの定期は相変わらず驚くようなプログラミングで聴衆を喜ばせてくれた」「(名古屋フィル)シェフと奏者の絆は深まり充実した演奏が展開された」「(京都市交響楽団)好調を維持している」「(広響)下野音楽総監督に集まる期待」「(九響)小泉体制4年目で管楽器陣パワーアップ」など、わくわくするような話が踊る一方で、大阪の4オケについては…
「(東京に比べると)関西は以前と比べてもずいぶんきんびしい状況になった印象が強い」

「経済的基盤の弱さを反映するかのように、内容にも集客にも陰りがみられる」

「このままでは縮小再生産の道を歩むだけ」

 との極めて厳しい指摘が展開されている。
 もともと音楽の友という雑誌は、故宇野功芳氏に代表される、レコード芸術の評論家陣に比べると、よく言えば前向きでソフト路線、悪く言えば提灯記事(失礼!)のきらいがあった。オーケストラ団体が演奏会の広告を掲載するなど、スポンサーとなっている性格上、そこまで厳しい記事はほとんど見たことが無かった。
 それなのに、この書かれようはほとんど「酷評」といってもいい内容だ。
 もっとショックだったのは、「データで見る日本の音楽状況2016」の「演奏会回数の動向」の記事。
 2016年は演奏会回数で、大阪が名古屋に抜かれていたのである。
 2010年には大阪:名古屋は、8.1%と6.1%で、つごう2%もの開きがあったが、2015年にはともに6.9%で追いつかれ、2016年には6.6%と7.1で0.4ポイントの差をつけられて追い抜かれてしまった。
 もっともデータは音友のコンサーガイドに掲載された演奏会であるため、実数を反映していないかもしれないが、6年前には大阪の3/4程度の回数だった名古屋に一気に抜かれたことを鑑みるに、大阪と名古屋の経済の勢いの差、といったものを感じざるを得ないですね。
 一方、我らが岡山フィルは「各地の音楽状況」に取り上げられています。シェレンベルガー氏が就任前には、「音楽の友」誌からは、全く「無視」されていたことを考えると、隔世の感があります。

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サンフランシスコ人

「ウィーン・フィルを選んだ評論家がわずかに3名となるなど....」

アメリカでも、ウィーン・フィルは評論家に人気があまりありません....

by サンフランシスコ人 (2017-02-09 02:33) 

バルビ

大阪の音楽事情、ちと心配ですね。少し以前の、某政治家による予算大幅削減の政策、及び大阪センチュリー響の一連の動きについては、私も地方オケ応援団の一人として、少なからず心を痛めていました。カンパにも賛同して参加しました。何とか、ふんばってもらいたいものです。岡山フィル、広島響、名古屋フィル……、がんばっていますね。諸事情を克服し、大阪も頑張れ!ですね。
 大友さん+広響の公演は佳かったげですね。我が群響は、大友さん体制になり、今年5年目を迎えます。いよいよ充実期という感じで、ますます楽しみです。

by バルビ (2017-02-09 06:49) 

恐怖のタヌキ野郎

初めてコメントします。神戸の音楽ファンです、いつも拝見しています。
大阪のオーケストラと音楽の窮状に言葉を失いました。中でも、大阪が演奏会の数で名古屋に抜かれたのはショックで、これは、兵庫県立芸術文化センターに大阪から演奏会が移った(ジャパン・ヴィルトゥオーゾ・シンフォニー・オーケストラなど)こともあり、特にザ・シンフォニーホールは演奏会が激減して、学校の入学式に使う始末、ここ数年、演奏会は大半が芸文に行っており、大阪はご存知のように行政がカジノや万博に入れ込み、クラシック音楽や文楽は切り捨てで、このままだと大変なことになります。
by 恐怖のタヌキ野郎 (2017-02-09 19:47) 

ヒロノミンV

>サンフランシスコ人さん
 それでもウィーン・フィルのコンサートは、普段クラシック音楽を聴かない層も取り込んで、いつも完売で満員御礼です。ブランド力のなせる業ですね。
by ヒロノミンV (2017-02-10 19:26) 

ヒロノミンV

>バルビさん
 思えば大阪のオーケストラの中でも、とりわけ大阪フィルの存在感は、東京のオーケストラを向こうに回しても充分な存在感がありました。CDの売り上げ枚数は毎年国内トップの座をキープしていましたし。
 大阪を本当の意味でアジア有数の都市に育てるのならば、大阪フィルに優秀な人材を集めてアジア一の大オーケストラに育てるぐらいのスケールの大きいことをやっていただきたい
ですね。京都は本気でパリやプラハのような「世界文化首都」になる気で、京響への投資もその一環でやっていますし。
 大友さん、指揮棒を持たずに推進力あふれる演奏で、いい意味で僕の予想を裏切る好演でした!!

by ヒロノミンV (2017-02-10 19:27) 

ヒロノミンV

>恐怖のタヌキ野郎さん
 いつもご覧いただきありがとうございます。ほぼ毎日AOFを覗いているので、恐怖のタヌキ野郎さんのことは、個人的には初めてという感じが無いのですが、今後もよろしくお願いします。
 維新一派はオーケストラとコンサートに通う層を「既得権益」よばわりしていました。万博開催・カジノ誘致、どれも利権まみれの政策じゃないですか。
 私が失望しているのは、大フィルのファンの間にも維新支持者が結構多い事です。そして、昨今のネット上(特にtwitterなど)での、奏者に対する個人攻撃(音楽全体ではなく、細かいミスをあげつらう)する風潮にも危機感を感じています。首席指揮者からはブログで攻撃され、ファンからも攻撃され、街のトップには「クラシックは根付いていない」「地べたを這いずり回ってカネを集めろ」と言われ、経済的な経営環境の厳しさだけならまだしも、悪意の渦の中に放り込まれて窒息しそうに見えます。
 隣の兵庫・京都を見れば文化芸術に対する投資は旺盛で、これでは人材が大阪から堰を切って逃げ出すのは無理もありません。
 私は神戸生まれで、今は岡山の人間ですが、中国地方ではここ数年は大阪へ向かう若者が激減しています。代わりに名古屋・福岡へ就職していく若者が多い。「大阪に魅力は無いの?」と聴いても「大阪ねェ・・・」と苦笑いを浮かべる、そんな存在です。維新一派「的」なものに、周辺の地方の人間は、正直「引いて」いるのです。トランプを選んだアメリカを見る我々のように・・・
 僕らの世代の大阪は、西日本の中心都市としての風格と、地方出身者を含め、色んな個性的な人々が集まる多様性があった。クラシック音楽を聴く者はフェスティバルホールを目指しザ・シンフォニーホールのアコースティックに心を震わした。

 少し感情的になりました。
 名古屋は経済的に好調なだけでなく、芸術文化の振興に力を入れています。中部フィルや愛知室内オーケストラが躍進し、大阪とならぶ4オケ体制になろうとしていますね。福岡や広島も地元愛にあふれつつも多様性が認められる元気な街です。大阪は・・・本当に心配です。
by ヒロノミンV (2017-02-10 19:30) 

恐怖のタヌキ野郎

ヒロノミンVさん、レスありがとうございます。
 私も、大阪フィルのファンに維新支持者が多いのに失望しています。特に昨年9月の、インバルと大阪フィルのマーラー、奏者のミスを罵詈雑言で批判するブログが殺到し、しかしこれは維新によりお金を止められて大阪フィルの能力が落ちたためであり、それなのに維新を批判する声はヒロノミンVさんくらいです。
 京都と兵庫は、オーケストラとホールを自治体が運営して繁栄しており、しかし大阪は大変で、特にザ・シンフォニーホールは、ブログを見てもガラガラの模様で、心配です。
 大阪は、魅力的な中古レコード店も多かったのに、梅田ではディスクユニオン大阪店が出来たものの、難波・日本橋の店は1/3になり、大阪は万博を誘致すると言うものの、地元企業に力がなく、中央の財界に頼む始末。そもそも、シャープの破綻も維新に責任があるのに、このままだと大阪は滅びます。
寒いです、お元気で。
by 恐怖のタヌキ野郎 (2017-02-11 16:19) 

ヒロノミンV

>恐怖のタヌキ野郎さん
 僕が大阪のファンに言いたいのは、聴衆がオーケストラに対して熟慮無しに言いたいことを言う権利があるのならば、音楽家にも聴衆を、活動する都市を選ぶ権利があるということです。それも優秀な音楽家であればあるほど引手あまたなのですから、わざわざ環境が劣悪で口さがないファンがいる都市に居る必要はないのですから。キツイ事を書くようですが、自分たちが「選んで聴いてやってる」と思っているが、その実、その都市は聴衆も含めて、音楽家から「選ばれていない」ことに、そろそろ気付いてもいい頃かと思います。
 ザ・シンフォニーホールは、ホテルプラザと放送局の3点セットであればこそ機能したホールだと思います。私の親は高齢で足元が頼りなくなってから、寄り付かなくなりました。しかし、阪急梅田駅ホーム下のバス停から、無料のシャトルバスを出すなどすれば、ホールのスペックは充分なだけに、まだまだ復活の余地はあると思います。
 また、よろしければ遊びにいらしてください。
by ヒロノミンV (2017-02-11 21:20) 

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