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広島交響楽団第23回福山定期演奏会 大友直人指揮 Vn独奏:川久保賜紀 [コンサート感想]

広島交響楽団第23回福山定期演奏会

ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調
 ~ 休 憩 ~
ドヴォルザーク/交響曲第8番ト長調

指揮:大友直人
ヴァイオリン独奏:川久保賜紀
コンサートマスター:佐久間聡一
2017年2月5日 福山リーデンローズ大ホール
DSC_0472.JPG

 「凄い!パーフェクト!!」ドヴォルザークの最後のトゥッティが鳴り終わった瞬間、思わずそう呟いてしまいました。広響…いやはや、そら恐ろしいまでに凄いオーケストラになったものです。
 前半はベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。久しぶりに聴いた川久保さんのソロは、本当に音色が美しかった。美音にますます磨きがかかったとの印象を強く持ちました。テクニックは、そもそもチャイコフスキーコンクール最高位の称号を確認するまでもなく、まったく隙の無い完璧なテクニック。でも、僕はやはり第1楽章中間部やカデンツァ、第2楽章で魅せたその美しく歌い上げる美音に酔いしれた。ややもすると冗長になりかねないこの曲を「ずっとこの美しい音を聴いて居たい」と思わせる演奏は見事です。先日の松山さんと言い、この30代~40代の女性ヴァイオリニストの層の厚さはどうでしょう。本当に皆さんまばゆいばかりに輝いています。
 オーケストラの伴奏は、広響らしくベートーヴェンのオーケストレーションを、分厚く重厚に過不足なく鳴らせていました。日本のオーケストラは欧米に比べるとやや薄味な響き、との先入観を持っている人は、この広響を聴いてみるといいです。全体的には大友さんらしく品のいい細部の繊細さが感じられる演奏でした。

 後半のドヴォルザークの8番。この演奏が非常に熱が入っていて、素晴らしかった。

 まずは、オーケストラの状態が絶好調、ということがあげられる。広響は定期演奏会では佐久間コンマス・蔵川コンミスのダブルコンマスでファースト・プルトを組むこともありますが、この日は蔵川コンミスは降り番。そして潮田さんも寿退社なさったということで(勿体ないなあ…)、トッププルトに大フィル時代からの情熱的な演奏に拍車がかかった佐久間コンマスと、広響自慢の情熱のヴァイオリニストの山根啓太郎さんという、ありそうでなかった動きの激しい二人でトッププルトを形成。このお二人とチェロのマーティンさん、ヴィオラの安保さんら、弦五部の首席奏者らが強力な起爆剤となって、疾風怒濤の演奏になった。それでいて、第2楽章・第3楽章の民族調の旋律が印象的な場面では、「これでもか」というほど弦が歌いに歌う!
 そしてもっと驚いたのは、大友さんの指揮から繰り出されるスケールの大きい音楽。埒からはみ出すことも躊躇しない剛腕ともいえる指揮。僕は大友さんの指揮はこれで5回目ぐらいになるだろうか。京響での指揮の印象が強いのですが、これまでの僕の大友さんに対するイメージは、いかにも斉藤門下生らしく、四隅にまで気を配った緻密で、精妙なニュアンスに富んだ音楽づくり、しかしその一方でバランスに細心の注意で払うことで、どこか「縮小均衡」のきらいがあることが不満だった。
 しかし、この日の広響との演奏はどうだ。音楽の推進力が前面に出て、スケールの大きいダイナミックな音楽に酔いしれた。その一方で、第2楽章・第3楽章の終結部に象徴されるように、細部にまで手が行き届いている。
 どちらが本当の大友さんなのか?また次の機会を楽しみにしたいと思う。

 かつての広響のウィークポイントがあったとすれば、金管の精度に物足りなさがあったのですが、この日の広響は(というか、ここ2年ほど、僕が聴いた限りの広響は)演奏制度もパワーも申し分ないです。

 4月に下野さんを大将に、大阪でブルックナー8番を演奏しますが、まったく死角なし!でしょう。このブログは大阪の方からのアクセスが多いのですが、4月の大阪定期演奏会では、おそらく広響の重厚な響きに大阪の皆さんは度肝を抜かれることでしょう。それが、眠れる獅子と化した、あの老舗オーケストラの尾っぽを踏んで、再起の狼煙のきっかけになれば…僕は本気でそう思っています。
 今の広響は、たぶん奏者の方々が心から楽しんで音楽に没頭できている。昨年は被爆70年の節目の年で、かつ広島カープの久しぶりの優勝に沸き返りましたが、広響は平和都市のホスト・オーケストラとして確固たる地位を与えられているし、カープ・シンフォニーのコンサートなどで、カープともに市民から愛されている存在。奏者のモチベーションも高く、演奏レベルは向上し、その結果アルゲリッチや藤村実穂子、来年度はクレーメルなど超一流アーティストからのオファーが引きも切らない。コンサートに足を運ぶ聴衆も、心から広響の音楽を楽しんでいるように感じます。

・アンコールは、水上の音楽から 第9曲。ヘンデル演奏に定評のある、いかにも大友さんらしい粋な選曲。しかし、12型の弦で聴くヘンデルなんて久しぶりかも知れない。

・この日の編成は12型の2管編成。下手から1stVn12→2ndVn10→Vc8→Va8で、上手奥にCb8。

・お客さんの入りは6割5分ぐらい?もう少し入って欲しい感じはしますね。


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伊閣蝶

ドヴォルザークの交響曲第8番。
親しみやすく、旋律の美しさが格別に光る曲であるが故に、却って名演奏にはなかなか出会うことが出来ません。
大友直人と広島交響楽団というコンビ、その演奏を想像するだけで、どれほどのものであったかと想いを馳せてしまいます。
ヒロノミンVさんの記事を拝読し、やはり「そら恐ろしい」レベルに到達したのだなと、つくづく感動を禁じ得ません。
しかも金管のアンサンブルが素晴らしかったとのこと。
これからの展開がますます楽しみになります。
by 伊閣蝶 (2017-02-06 22:44) 

ヒロノミンV

>伊閣蝶さん
 ドヴォルザークの8番ほどの名曲ともなると、聴く側の人間も海外の超一流のオーケストラの演奏も聴いたことがある曲になりますから、少々の演奏では満足しないと思っていたのですが、本当に充実した演奏で満足しました。
 元々堅実な演奏を聴かせてくれていた広島交響楽団の、ここ数年の躍進は目覚ましいと思います。ここ5年で九響を除く、ほとんどの西日本(関が原より西)のオーケストラを聴いてきたと思いますが、1番は京都市交響楽団、それに次ぐ2番手を覗う位置にあると思います。
by ヒロノミンV (2017-02-07 19:27) 

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