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岡大交響楽団定期 集団のパフォーマンスを最大化させるには?の最適解がここにあった [コンサート感想]

 年末恒例の岡大交響楽団の定期演奏会に行ってきました。ほぼ満席だった。

岡山大学交響楽団第59回定期演奏会

シューベルト/『ロザムンデ』序曲
ファリャ/ バレエ組曲『三角帽子』

チャイコフスキー/交響曲第4番

指揮:保科洋  秋山隆
12月8日 岡山シンフォニーホール

 後半のチャイコフスキーの4番が、凄い演奏だった。昨日、この演奏を聴きに来れなかった岡山のクラシック音楽ファンは、非常に残念な事をした、そう断言しても過言でないほど。

 岡大オケの伝統の一つとして、4回生は全員舞台に乗る、そして1年生もこの定期演奏会では1曲目の序曲に舞台に乗る。というものがある。
 折角練習してきたのだから、あるいは目標を持ち続けるために『教育的配慮』としてこの伝統があるのだと思ってきた。

 しかし昨日の演奏を聴いて考えが180度変わった。これは集団のパフォーマンスを最大化するための最適解なのだと。
 例えば、京大オケなどでは、学年関係なく実力主義。とにかく上手い人が舞台に乗る。これは確かにわかりやすい。しかし、岡大オケは最後は全員が舞台に乗る。
 今でも楽器の経験がほとんど無い部員が多数入ってくるとのことだが、彼らにとって入部9カ月後にやってくる初舞台(だいたいが序曲など)は大変高いハードルだろう。その後も、自分よりもはるかに技術的に上手い後輩が入ってくることもあるだろう。それでも、先輩としてそのパートを牽引し、舞台に立たねばならない。その責任感、使命感・重圧は、どれほど人を成長させるだろうか。ひいては集団のパフォーマンスをどれほど伸長するだろうか。その答えが存分に感じられる演奏だった。自由主義・実力主義が行き過ぎて、国全体のパフォーマンスが低下してしまった、この国の大人たちは、この岡大オケの人材育成システムを見習い、実践に移すべきだろう。

 前置きが長くなったけれど、三角帽子では(掛け声も!)若々しい、躍動感あふれる演奏に客席には自然と頭を動かしている聴衆も見られた。ファゴットの演奏が絶品だったなあ。これは後半のチャイ4でも素晴らしかった。

 その後半のチャイ4は、これはもう文句のつけどころのない素晴らしい演奏だった。特に弦楽器の響きが本当に柔らかくて、学生オケなのに(それほど高価な楽器は使っていないだろうに)こんなに素晴らしい響きが出せるとは!驚愕した。各パート間の音を聴きあい、ハーモニーを作っていく能力が高く、このハーモニー感の高さは、歴代の定期演奏会の中でもピカイチだったと思う。
 保科先生も『保科節』バリバリ全開のタクト!デュナーミクを大きく取り、テンポが走るところと落とすところ、もう自在の演奏だった。随所に『おおっ!』と驚かされる解釈に溢れており、保科先生の頭の中に描いている音楽を、ほとんどすべて鮮やかに表現しきったのではないだろうか。本当に大したものだと思う。
 第一楽章の展開部で弦のリズムに乗って音階下降していき、最後は短調に戻る場面での低音弦の分厚いサウンドに舌を巻き、第一楽章終結部では、今まで聴いた事が無いようなテヌートをかけ、この曲の運命に飲み込まれていく楽想を見事に表現。
 第4楽章冒頭のテーマの間のパウゼを長めにとったり、終結部の保科先生の「あおり」にも見事に応えてバシッと決めた。オリジナリティに溢れ、何度もこの曲の生演奏を聴いてきた、スレたオタクのオッサンにも本当に聴き所満載のチャイ4だった。お見事!


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てがた

ヒロノミン様、ご無沙汰しております。
昨夜は一家3人で鑑賞させていただきました。
2階席へ上がったのですが、満席で立ち見の方もいました。
1年生はもの凄い練習量でこの日を迎えたことと思います。そして、鍛えられて4年生になるまでに益々上手くなっていくんですね。
三角帽子は第2部は取り上げられることが多いのですが、第1部からの通しで、それも「オーレ、オーレ、オーレ!!」入りでとても楽しかったです。

by てがた (2012-12-09 08:32) 

ヒロノミンV

>てがたさん
 こちらこそご無沙汰しています。コメントありがとうございました。
 2階席はなんと立ち見まで出ていたのですね!この岡大オケの人気は凄いですね。
 前半の三角帽子も良かったですね。事前にアンセルメ&スイス・ロマンド管弦楽団のCDを聴いて演奏会に行きましたが、CDで聴くオーレ!とは違う、あの若々しい「オーレ!」は本当に良かったですね。
by ヒロノミンV (2012-12-09 22:25) 

元ベース弾き

今回のチャイコフスキーはどうしても聴きたかった曲です。
4年生のときに、保科先生の指揮で演奏した曲だからです。
あれからもう40年、初心者で楽器を始め、卒部を控えた感慨もありました。
演奏会の後、保科先生と少し話しましたが、あのころにタイムスリップです。

by 元ベース弾き (2012-12-10 11:05) 

ヒロノミンV

>元ベース弾きさん
 保科先生、益々お元気そうですね。暗譜で躍動感あふれるタクトと、若者たちを引っ張る気迫に今回も圧倒されました。
 客席も学生やOBだけでなく、このオーケストラの演奏会を楽しみにしている市民で溢れかえっていました。来年は幻想交響曲のようですね。今から楽しみにしています。
by ヒロノミンV (2012-12-11 19:20) 

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