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アンサンブル・ステラ 神奈川フィルの名手が奏でる珠玉の名作 [コンサート感想]

アンサンブル・ステラ 神奈川フィルの名手が奏でる珠玉の名作
 
サティ/ジュ・トゥ・ヴ(Vc,Pf)
サン=サーンス/白鳥(Vc,Pf)
シベリウス/ロマンス(Pf)
エルガー/愛の挨拶(Vn,Pf)
ブラームス/ハンガリー舞曲第6番
ラフ/カヴァティアーナ
シューマン/トロイメライ
メンデルスゾーン/ピアノ三重奏曲第1番より第1楽章
  ~ 休 憩 ~
ガーシュウィン/エンブレイサブル・ユー、アイ・ガット・リズム(Pf)
ポッパー/ハンガリー狂詩曲、セレナーデ(Vc,Pf)
ファリャ/スペイン民謡舞曲(Vn,Pf)
アルベニス/タンゴ
ファリャ/火祭りの踊り

アンサンブル・ステラ
Vn:渋谷貴子
Vc:迫本章子
Pf:伊藤 翔

2017年2月25日 天神山文化プラザホール

 神奈川フィルの奏者2人と、本業は指揮者という伊藤さんによる、初心者やライトなクラシック音楽ファンでもでも楽しめるようなコンサートでした。
 主催者は横浜の(株)フーガ、という会社で、創業者が岡山ご出身で備前市役所の仕事も受注されているそう。それで、神奈川フィルの奏者のアンサンブルを岡山で聴ける機会に恵まれたわけです。
 会場は・・・250人キャパに40人ぐらい・・・かなあ。前方の席が空きすぎているので、奏者の方が「今日はガラガラなので、後ろの席の人は前に来た方が音がいいですよ」と、誘導されていました。
 しかし、演奏はハイレベル。室内楽のコンサートは岡山の演奏者も色々なユニットを組んで、楽しませてくれているが、ハイレベルな首都圏のオーケストラで年間100回以上は本番をこなしているというのは、やはり大きいのか、演奏に隙が無く極めて安定しています。ハラハラして聴くという場面が無い。入門者にもやさしい「名曲コンサート」で、こんなハイレベルな室内楽が聴ける機会って、意外に岡山では少ないかもしれない。
 席が埋まらなかった背景の一つとして、岡山の音楽関係者がほとんど来られてなかったことも大きかったと思われますが、岡山の演奏家に対して敢えて耳の痛い事を書かせていただくと、こういう『岡山演奏家コミュニティ』の外から来られた、演奏家の音楽を聴くことも大事じゃないだろうか?岡山という狭い世界の中で、身内の音楽関係者同士でコンサートの席をぐるぐる埋め合ってても先はありませぬぞ。
 
 伊藤さんが指揮者&ピアニスト、ということもあって「自分の演奏に没頭する」わけでもなく、「伴奏に徹する」わけでもなく、ヴァイオリンとチェロをよく歌わせつつも、時折演奏をリードしている感じが印象に残ります。ハンガリー舞曲やカヴァティアーナ、後半のファリャあたりはヴァイオリンとチェロが本当によく歌い上げられてました。
 足を運んだ目的の一つがメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番。「船に乗れ!」という小説を読んで依頼、ずっと生演奏で聴きたかった曲。第1楽章のみの演奏でしたが、演奏会小品が多かったプログラムの中では、いっそう手応えのある曲として、存在感がありました。

 チェロの迫本さんが主に司会をされていましたが、進行がこなれていて、会場の運営スタッフもプロの方が付いているようで、質の高いサロンコンサートを大いに楽しめました。
 アンコールはピアソラの曲を2曲。


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クァルテット・ベルリン=トウキョウ 2017岡山公演 [コンサート感想]

クァルテット・ベルリン=トウキョウ 2017岡山公演

ハイドン/弦楽四重奏曲作品76-4変ロ長調「日の出」
バルトーク/弦楽四重奏曲第3番
 ~ 休 憩 ~
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第13番変ロ長調作品130、作品133「大フーガ」

クァルテット・ベルリン=トウキョウ
第1ヴァイオリン:守屋剛志
第2ヴァイオリン:モティ・パブロフ
ヴィオラ:ケヴィン・トライバー
チェロ:松本瑠衣子

2017年2月11日(土) 岡山県立美術館ホール

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 クァルテット・ベルリン=トウキョウ(以下QBT)を聴くのは、これで5回目になると思います。本当に毎回毎回凄い演奏で、僕に室内楽の面白さを教えて下さったのは、このQBTの存在が大きいです。

 今回のコンサートはその中でも心に深く刻まれることになりそうです。バルトークの3番カルテットで理屈抜きの面白さと、彼らのアンサンブル能力の桁外れの高さに感嘆。ベートーヴェンの13番の第5楽章では、自分の頭の中が真っ白になる様な感覚になり、心の襞に文字通り「沁みわたる」感覚があった。『感動』という簡単な表現では言い表せないものがあった。

(2・24追記)

 配置は下手(しもて)から1stVn(守屋)→2ndVn(パブロフ)→Vc(松本)→Va(トライバー)の順。QBTは今回のツアーからメンバーが入れ替わっている。杉田さんに代わってケヴィン・トライバーという、なかなか迫力のある雰囲気の奏者が加入した。
 前のメンバーで室内楽の数々のコンクールで優勝・入寮してきた実績が語るように、杉田さんが居る時も完成されていたカルテット、あとで一人だけ加入するというのは相当なプレッシャーではないかと愚察する。トライバーさんは曲間でも、守屋さん・松本さんが笑顔を浮かべる場面があるのとは対照的に、表情は終始硬かった。ベートーヴェンの曲が終わって、アンコールの時に自然な笑顔が見られたということは、本番のプログラムに対する緊張と意気込みを感じさせます。会場は満席!補助いすも何十席と出ていた。もしかすると当日券狙いのお客さんのなかには、札止めであきらめざるを得なかった人もいたかもしれない。そして会場内の熱気も相当なものだった。

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※開演前に撮影。この後、会場は満席の熱気に包まれる

 1曲目のハイドンは、事前のチラシから変更されて、作品76-4「日の出」が演奏されました。冒頭のメロディーを聴いてビックリ!ワーグナーのタンホイザー第2幕の大行進曲の2番目の主題に音型がそっくりです。もちろんハイドンが先に作曲しています。変ホ長調という調性もあって、「日の出」というよりは王様の登場、といった風格(笑)
 去年からセンチュリー響のハイドン・マラソンを聴きに行って以来、ハイドンの心地よい形式感と、飽きさせない仕掛けにはまっています。いきなり下降音階のフーガで始まる第4楽章なんて、「あっ」と思わせる仕掛けだ。QBTの演奏も盤石の演奏で、安心して聴いて居られる。第2楽章のノンヴィヴラートの音が澄み渡っていて、心が洗われる。

 2曲目のバルトークの弦楽四重奏曲第3番。バルトークの楽曲は、昔は苦手だったが、管弦楽曲に関しては結構楽しめるようになった。特に「弦楽のためのディベルティメント」なんかは、非常にチャーミングで体が踊り出すような躍動感がたまらない。
 調性が明記されていない単一楽章で、緩ー急ー緩ー急の4部構成。2部はスケルツォ的なポジションになるだろうか、まさにバルトークならではの血湧き肉躍るような音楽。4部は第3部に付随するプレストの部分になると思われるが、この演奏が圧巻だった。1stVnの守屋さん(倉敷の出身)とチェロの松本さんの惚れ惚れするテクニックと、心を動かさずには入れらない豊かな音楽性、このお二人がQBTの2枚看板なのは間違いないけれど、このバルトークを聴くと2ndVnのパブロフさんと今回加わったヴィオラのケヴィン・トライバーさんの音楽の鋭さも際立っていた。。
 ハイドンがかっちりとした形式感の中で楽器間の対話を楽しむものならば、このベルトークの4番カルテットは、真剣で「殺陣」をやっているような感じだ。少し間合いが間違うと血しぶきが飛びそうな、そんな緊迫した中で演奏している。これ以上、何を望むか?という完成度の高さだった。
 
 休憩時間中は「このバルトークが、今日のハイライトになるかもしれない」と思っていましたが、後半のベートーヴェンの13番は、その更に上をいく感銘を受けた。この日のプログラムは、いわゆる「大フーガ」変ロ長調を第6楽章に組み込んだ、「ベートーヴェンが本当にやりたかった楽章構成」で演奏された。
 改定後の13番の第6楽章も傑作であるために、ついつい違和感なく聴いてしまう、そしてあの高潔で美しい第5楽章の後に、大フーガを組み入れてしまうと、もはやブルックナーの交響曲のような巨大な音楽になってしまう。それを敢えて、今回やったということで、正直この展開は予想していなかった(チラシには、第13番/大フーガ、という表記だった)ので、始まる前は少し構えてしまいそうになっていた。

 開演前に守屋さんとQBTの実演による解説があり、この曲の構成やモチーフの展開のさせ方がよく解った。第2楽章のプレストをアダージョぐらいの速度で弾いてみた時の音楽があまりにも美しく、「これをプレストで弾かせるというのはなんという贅沢か!」と会場がどよめいたのが印象的。5分で終わる筈の解説だったが、途中から守屋さんもQBTのメンバーも時間を忘れてしまったようで、15分にもなってしまった(笑)このQBTのメンバー同士、こういう感じで楽曲研究とディスカッションに熱中している様子が解り、とても貴重な体験だった。
 ベートーヴェンやハイドンのような古典派の構成感、シューマンやブラームスといったドイツ・ロマン派の重厚さとメランコリーの同居、ドビュッシーやラベルの色彩感、そして今回聴いたバルトークの躍動と切れ味、恐らくショスタコーヴィチあたりも得意にして居るに違いない。どれも一級のレベルで作り込んだ演奏を聴かせてくれるこのQBTのクォリティの高さはこうして生み出されているんですね。

 少し脱線しました。ベートーヴェンの13番。第1楽章からベートーヴェンらしいがっしりした躯体に、付点音符が印象的なモチーフだ自由に飛び回る。この曲の生命力と瑞々しさを存分に表現していた。第2楽章のプレストも、例の解説を聴いた後だと「よく出来ているなあ・・・」と感心する。第3楽章~第5楽章の穏やかな音楽に身を預ける時間も幸福感に満たされてた。特に第5楽章の無垢な美しさは筆舌に尽くしがたいものがあった。静かな感動に包まれ、私の周りには美しさに涙する人がちらほら居た。
 第5楽章は、これは・・・大変な音楽だ。僕はこの曲を聴くと、ブルックナーの第5番を思い出してしまう。守屋さんとQBTの解説演奏で、独特のリズムとに二重フーガという構成がブルックナーの5番に通じるものがあることを理解した。給付が長いのもブルックナーの音楽に似ている。しかし、弦楽器たった4本でこれほどの大伽藍を思わせる神々しい世界を作り上げるベートーヴェンの才能にひれ伏し、この稀代の若手クァルテットが岡山と深いかかわりを持ってくれていることに感謝した。


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「とっとり弥生の王国」展と「古代吉備の名宝展」展 岡山県立博物館 [展覧会・ミュージアム]

「とっとり弥生の王国」展 ー青谷上寺地遺跡と妻木晩田遺跡―

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東京国立博物館から里帰り!「古代吉備の名宝」展
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ともに岡山県立博物館

 QBTの感想がまだ更新できてないんですが・・・、とにかくこの県立博物館の2つの展覧会には絶対行った方がいいですよ~!というお知らせのために、こっちを先に更新します。

 「古代吉備の名宝」展は、歴史ファンのみならず、岡山のすべての人々が見るべき見事な展示でした。古代の吉備の国の燦然と輝く歴史を感じることが出来ます。普段は東京に居る国の重文クラスの銅鏡や銅鐸そのた古代吉備の出土物が、もともと岡山県立博物館で展示されているものと合わせて、一堂に拝見することが出来る貴重な機会と思います。

***岡山県立博物館HPから***
 東京国立博物館には、かつて岡山県内から出土した考古資料の優品が、数多く収蔵されています。卑弥呼の鏡といわれる三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)や、不思議な小像で飾られた須恵器(すえき)、80年ぶりに出土品が勢揃いする備前市丸山古墳の銅鏡など53件が、岡山に里帰りすることになりました。
古代吉備の繁栄を物語る名宝の数々を、この機会にぜひご覧ください。
*****************

 歴史ファン、古代史ファンの方々は、お正月にBSで放送された「英雄たちの選択 新春スペシャル ~“ニッポン”古代人のこころと文明に迫る~」を見られた方も多かったのではないでしょうか。

 「とっとり弥生の王国」展は、その番組で紹介された、弥生時代を代表する集落である、青谷上寺地(あおやかみじち)遺跡と妻木晩田(むきばんだ)遺跡の出土品が展示されています。最近、再放送されたこともあるのか会場は想像以上に人が多くて熱気がありました。

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 特に木製の遺物の展示が充実、番組でもその造形の美しさと装飾技術の高さから、現代風に言うと「青谷ブランド」として弥生人の間では評判になっていた、と解説されていました。なんと北陸から北九州まで流通していたようですね。
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 妻木晩田遺跡の国内最大級の環濠集落からの出土物も圧巻。当時はまさに「大都会・鳥取」として、人口も経済力・生産技術も国内随一の水準だったんですね。

***岡山県立博物館HPから***
岡山・鳥取文化交流事業の2年目は、鳥取県の弥生時代を取りあげます。地下の弥生博物館ともいわれる国史跡青谷上寺地(あおやかみじち)遺跡と、国内最大級の弥生集落である国史跡妻木晩田(むきばんだ)遺跡を中心に、最新の調査研究成果を紹介します。

 国内唯一となる線刻で絵画を描いた新発見の銅剣が、鳥取県外初公開となるほか、通常の遺跡からはほとんど出土しない木製品や、交易によってもたらされた新潟県産出の翡翠でつくられた勾玉など、総数約380点の貴重な資料を展示します。
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 一方岡山も負けていません!
 番組内では従来の「邪馬台国論争」の『北九州説』『近畿説』に加えて、『瀬戸内説』(→吉備地方)を選択肢に入れて、議論が繰り広げられました。
 まあ、番組司会の磯田さんは岡山県生まれ、パネラーの国立民族学博物館の松木教授は、最近まで岡山大学の教授をされていました。

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 番組でも紹介された「卑弥呼の鏡」と言われる三角縁神獣鏡も、もちろん今なら県立博物館で一堂に見ることが出来ます。『岡山って、吉備って、すごいところだったんだ!』と郷土に誇りが持てる展覧会です。


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音楽の友2017年2月号から大阪のオーケストラ界の現状を憂う [クラシック雑感]

 音楽の友の2月号は(9月号とともに)毎年購入しています。前年度のコンサートや、国内全体の演奏会の状況を振り返る「コンサート・ベスト10」「地方各地の音楽状況」は毎年興味深く読んでいます。

音楽の友 2017年2月号

音楽の友 2017年2月号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 音楽之友社
  • 発売日: 2017/01/18
  • メディア: 雑誌

 恒例の「39人の音楽評論家・記者が選ぶコンサート・ベストテン」では、ここ数年、海外オーケストラの来日公演のウェイトが減少してきています。上位を占めるのは確かにバイエルン放送響やドレスデン・シュターツカペレなどの海外一流オーケストラだが、逆に、ウィーン・フィルを選んだ評論家がわずかに3名となるなど、厳しい評価が下されるオーケストラも多い。
 その一方で、国内オーケストラは、在東京のオーケストラを中心に、東京フィル17人、日フィル16人、N響16人、読響12人、都響12人など、海外オーケストラと並ぶ評価をする評論家も多い。
 東京在住の評論家が多いため、他都市のオーケストラが取り上げられにくいが、それでも、OEK1人、京響1人、群響1人、札響1人、仙台フィル1人、広響1人と昨今評価の高いオーケストラが取り上げられている。
 そんな中でショッキングだったのは、大阪のオーケストラを誰も選ばなかったことだろう。39名の評論家には関西に拠点を持つ人も含まれているだけに、関西6オケの中から選ばれたのが京響のみ、という結果には驚きを隠せません。
 「地方各地の音楽状況」を見ても、「札響の充実ぶりに触れなくてはならない」「仙台フィルの定期は相変わらず驚くようなプログラミングで聴衆を喜ばせてくれた」「(名古屋フィル)シェフと奏者の絆は深まり充実した演奏が展開された」「(京都市交響楽団)好調を維持している」「(広響)下野音楽総監督に集まる期待」「(九響)小泉体制4年目で管楽器陣パワーアップ」など、わくわくするような話が踊る一方で、大阪の4オケについては…
「(東京に比べると)関西は以前と比べてもずいぶんきんびしい状況になった印象が強い」

「経済的基盤の弱さを反映するかのように、内容にも集客にも陰りがみられる」

「このままでは縮小再生産の道を歩むだけ」

 との極めて厳しい指摘が展開されている。
 もともと音楽の友という雑誌は、故宇野功芳氏に代表される、レコード芸術の評論家陣に比べると、よく言えば前向きでソフト路線、悪く言えば提灯記事(失礼!)のきらいがあった。オーケストラ団体が演奏会の広告を掲載するなど、スポンサーとなっている性格上、そこまで厳しい記事はほとんど見たことが無かった。
 それなのに、この書かれようはほとんど「酷評」といってもいい内容だ。
 もっとショックだったのは、「データで見る日本の音楽状況2016」の「演奏会回数の動向」の記事。
 2016年は演奏会回数で、大阪が名古屋に抜かれていたのである。
 2010年には大阪:名古屋は、8.1%と6.1%で、つごう2%もの開きがあったが、2015年にはともに6.9%で追いつかれ、2016年には6.6%と7.1で0.4ポイントの差をつけられて追い抜かれてしまった。
 もっともデータは音友のコンサーガイドに掲載された演奏会であるため、実数を反映していないかもしれないが、6年前には大阪の3/4程度の回数だった名古屋に一気に抜かれたことを鑑みるに、大阪と名古屋の経済の勢いの差、といったものを感じざるを得ないですね。
 一方、我らが岡山フィルは「各地の音楽状況」に取り上げられています。シェレンベルガー氏が就任前には、「音楽の友」誌からは、全く「無視」されていたことを考えると、隔世の感があります。

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広島交響楽団第23回福山定期演奏会 大友直人指揮 Vn独奏:川久保賜紀 [コンサート感想]

広島交響楽団第23回福山定期演奏会

ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調
 ~ 休 憩 ~
ドヴォルザーク/交響曲第8番ト長調

指揮:大友直人
ヴァイオリン独奏:川久保賜紀
コンサートマスター:佐久間聡一
2017年2月5日 福山リーデンローズ大ホール
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 「凄い!パーフェクト!!」ドヴォルザークの最後のトゥッティが鳴り終わった瞬間、思わずそう呟いてしまいました。広響…いやはや、そら恐ろしいまでに凄いオーケストラになったものです。
 前半はベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。久しぶりに聴いた川久保さんのソロは、本当に音色が美しかった。美音にますます磨きがかかったとの印象を強く持ちました。テクニックは、そもそもチャイコフスキーコンクール最高位の称号を確認するまでもなく、まったく隙の無い完璧なテクニック。でも、僕はやはり第1楽章中間部やカデンツァ、第2楽章で魅せたその美しく歌い上げる美音に酔いしれた。ややもすると冗長になりかねないこの曲を「ずっとこの美しい音を聴いて居たい」と思わせる演奏は見事です。先日の松山さんと言い、この30代~40代の女性ヴァイオリニストの層の厚さはどうでしょう。本当に皆さんまばゆいばかりに輝いています。
 オーケストラの伴奏は、広響らしくベートーヴェンのオーケストレーションを、分厚く重厚に過不足なく鳴らせていました。日本のオーケストラは欧米に比べるとやや薄味な響き、との先入観を持っている人は、この広響を聴いてみるといいです。全体的には大友さんらしく品のいい細部の繊細さが感じられる演奏でした。

 後半のドヴォルザークの8番。この演奏が非常に熱が入っていて、素晴らしかった。

 まずは、オーケストラの状態が絶好調、ということがあげられる。広響は定期演奏会では佐久間コンマス・蔵川コンミスのダブルコンマスでファースト・プルトを組むこともありますが、この日は蔵川コンミスは降り番。そして潮田さんも寿退社なさったということで(勿体ないなあ…)、トッププルトに大フィル時代からの情熱的な演奏に拍車がかかった佐久間コンマスと、広響自慢の情熱のヴァイオリニストの山根啓太郎さんという、ありそうでなかった動きの激しい二人でトッププルトを形成。このお二人とチェロのマーティンさん、ヴィオラの安保さんら、弦五部の首席奏者らが強力な起爆剤となって、疾風怒濤の演奏になった。それでいて、第2楽章・第3楽章の民族調の旋律が印象的な場面では、「これでもか」というほど弦が歌いに歌う!
 そしてもっと驚いたのは、大友さんの指揮から繰り出されるスケールの大きい音楽。埒からはみ出すことも躊躇しない剛腕ともいえる指揮。僕は大友さんの指揮はこれで5回目ぐらいになるだろうか。京響での指揮の印象が強いのですが、これまでの僕の大友さんに対するイメージは、いかにも斉藤門下生らしく、四隅にまで気を配った緻密で、精妙なニュアンスに富んだ音楽づくり、しかしその一方でバランスに細心の注意で払うことで、どこか「縮小均衡」のきらいがあることが不満だった。
 しかし、この日の広響との演奏はどうだ。音楽の推進力が前面に出て、スケールの大きいダイナミックな音楽に酔いしれた。その一方で、第2楽章・第3楽章の終結部に象徴されるように、細部にまで手が行き届いている。
 どちらが本当の大友さんなのか?また次の機会を楽しみにしたいと思う。

 かつての広響のウィークポイントがあったとすれば、金管の精度に物足りなさがあったのですが、この日の広響は(というか、ここ2年ほど、僕が聴いた限りの広響は)演奏制度もパワーも申し分ないです。

 4月に下野さんを大将に、大阪でブルックナー8番を演奏しますが、まったく死角なし!でしょう。このブログは大阪の方からのアクセスが多いのですが、4月の大阪定期演奏会では、おそらく広響の重厚な響きに大阪の皆さんは度肝を抜かれることでしょう。それが、眠れる獅子と化した、あの老舗オーケストラの尾っぽを踏んで、再起の狼煙のきっかけになれば…僕は本気でそう思っています。
 今の広響は、たぶん奏者の方々が心から楽しんで音楽に没頭できている。昨年は被爆70年の節目の年で、かつ広島カープの久しぶりの優勝に沸き返りましたが、広響は平和都市のホスト・オーケストラとして確固たる地位を与えられているし、カープ・シンフォニーのコンサートなどで、カープともに市民から愛されている存在。奏者のモチベーションも高く、演奏レベルは向上し、その結果アルゲリッチや藤村実穂子、来年度はクレーメルなど超一流アーティストからのオファーが引きも切らない。コンサートに足を運ぶ聴衆も、心から広響の音楽を楽しんでいるように感じます。

・アンコールは、水上の音楽から 第9曲。ヘンデル演奏に定評のある、いかにも大友さんらしい粋な選曲。しかし、12型の弦で聴くヘンデルなんて久しぶりかも知れない。

・この日の編成は12型の2管編成。下手から1stVn12→2ndVn10→Vc8→Va8で、上手奥にCb8。

・お客さんの入りは6割5分ぐらい?もう少し入って欲しい感じはしますね。


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過去1年の印象に残ったコンサート【自己紹介代わりに・・・】 [自己紹介]

 最近(過去1年間)聴きに行ったコンサートの中で、特に感動した・印象に残ったコンサートについて書いた感想をピックアップします。演奏の巧拙や周りの評価に関係なく、自分が感動したものだけをピックアップしています。自己紹介代わりになるかな。

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シェレンベルガー・セレクション ベスト・オブ・カルテット Jホール・レインボーコンサート [コンサート感想]

Jホール・レインボーコンサート
シェレンベルガー・セレクション ベスト・オブ・カルテット

モーツァルト/オーボエ四重奏曲ヘ長調
ブリテン/幻想曲
 ~ 休 憩 ~
ハイドン/弦楽四重奏曲「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」(オーボエ四重奏版)

オーボエ:ハンスイェルク・シェレンベルガー
ヴァイオリン:松山 冴花
ヴィオラ:クリスティアン・オイラー
チェロ:ウェンシン・ヤン

2017年1月18日 岡山大学 Junko Fukutake Hall
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 日曜日の岡フィル定期演奏会も含めて、これほど豊かなクラシック音楽ライフを、この岡山の地で送れるようになるとは、10年前には思いもしなかった。

 それほどこの4名の四重奏は凄かったです。シェレンベルガーさんと岡山の聴衆の間に流れる親密な空気、そして、その雰囲気を感じ取った世界有数のソリストたちが、聴衆の期待に応えようと、渾身の演奏を見せる。まさに夢の共演です。

 それにしても、シェレンベルガーという偉大な音楽家が、世界中あまたある都市の中から、よりによって僕の住んでいる岡山を、日本での拠点に選んでくれた。そのことで僕の生活はどれほど豊かになっただろう?決して順風満帆とは言えなかった、岡山フィル・岡山という都市の音楽文化に、シェレンベルガー氏の世界のクラシック音楽界のまさに枢軸を担っていた経験やメソッドを惜しげもなく岡山へ投入して下さっている。そして、氏もその作業を楽しんでやっているように思える。今日のコンサートで、岡山の聴衆が驚き、感動し表情がどんどんほころんでいく、氏はその様子を見渡して満足そうな表情を浮かべて下さる。  

(以下、後日更新分 )

 なかなか更新できませんでしたが、3週間以上経ってようやく更新できます。
 今後も、こんな感じでコンサート後、すぐに更新することは少なくなりそうです。いつかは必ず…更新しますので、気長に見に来ていただけると幸いです。
 会場の岡山大学病院の中に立つJホールは、お客さんでメインホールはほぼ満席、2か所のサブスペースにも半分近く人が入っていました。平日の昼間なのによく入ったなあ・・・と思います(自分も人の事言えませんけど、いちおう正月明けほとんど休みなしの代休です)。
 クリスティアン・オイラーさん以外の、シェレンベルガー、松山冴花、ウェン・シンヤンの3名は、カメラータ・トウキョウから出ている、このCDを録音したメンバー。

モーツァルト:オーボエ四重奏曲&ハイドン:十字架上のキリストの最後の7つの言葉

モーツァルト:オーボエ四重奏曲&ハイドン:十字架上のキリストの最後の7つの言葉

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ㈱カメラータ・トウキョウ
  • 発売日: 2014/06/25
  • メディア: CD


 この日のプログラムも、このCDと全く同じものです。僕は事前にNMLで聴き込んでこの日に臨んだのですが、そこは一筋縄ではいかないシェレンベルガーさん。特に、ブリテンは録音よりも「間」を長めにとって、持続する緊張感の中で飛び交うモチーフの妙味を楽しませてくださいました。
 モーツァルトとハイドンも、セッション録音でなない、ライヴならではの突っ込んだ表現が聴けました。

 モーツァルトのオーボエ四重奏曲は天衣無縫の美しさ、第1楽章なんて音が消えた後も、芳醇な残り香か漂っているようで、本当に惚れ惚れする。これほどのメンバーが集まれば、相当にレベルの高い音楽が聴けるとは、当然と言えば当然なんですが、あまりにも美しい表現と多彩に広がる音の薫りに、もう目がくらくらするほどの感動がこみ上げてきました。
 ブリテンは研ぎ澄まされたやりとりの中にも、フレーズ一つ一つを楷書体で描き上げる、極めて誠実な演奏。それでいて、4名とも予定調和な演奏は皆無。相手がどのように出て来るか?を楽しんでいるようにも見えます。録音では絶対に感じ切れない鋭さと楽しさがあった。
 ハイドンは、圧巻の一言!特にシェレンベルガーの気合の入り方はハンパではなく、この曲を本当に愛しているのだと感じた。第2、第3のソナタではシェレンベルガーのオーボエが、まるでキリストが我々に語り掛けているような、人の声のような音が印象に残った。また、第3のソナタでは弦の3人が極力ヴィヴラートを抑えた表現で、ルネサンス音楽のような響きだった。
 Jホールはガラス張りの建物で、独特のリラックスした雰囲気があるのは利点だが、車や人が歩いているのが見えるので、聴衆がそちらに気を取られるなど、やや空気が散漫になる傾向があるのですが、このハイドンの演奏では、皆が4人の演奏に集中して聴いていて、閉ざされたコンサートホールでもこれほど客席がかたずを飲んで見守ることは少ないのではないか?と思うほどでした。
 会場は大変な盛り上がりで、恐らく予定していなかったアンコールは、メイン曲の「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」から第4のソナタ。唯一、シェレンベルガーが、少し首を傾げて納得がいっていない様子だった曲。これをアンコールに持ってきて再演をするあたりは、完璧主義者の顔をのぞかせたように感じた。 

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岡山フィル第51回定期演奏会 指揮:シェレンベルガー Vc:ウェンシン・ヤン Vn:松山冴花 [コンサート感想]

岡山フィルハーモニック管弦楽団 第51回定期演奏会
ニューイヤーコンサート

チャイコフスキー/幻想序曲「ロメオとジュリエット」
   〃    /ロココ風の主題による変奏曲イ長調
 ~ 休 憩 ~
ヨハン・シュトラウス/喜歌劇「こうもり」序曲
サン=サーンス/序奏とロンド・カプリツィオーソ
リヒャルト・シュトラウス/歌劇「ばらの騎士」組曲

指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー
チェロ独奏:ウェンシン・ヤン
ヴァイオリン独奏:松山冴花
ゲストコンサートマスター:戸澤哲夫
2017年1月15日 岡山シンフォニーホール
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 本当に夢のような2時間15分でした。特に後半の「こうもり」序曲が始まった最初の数小説。オーストリアかドイツのオーケストラか、というような分厚いながらも味わい深い音が聴こえて来てビックリしました。それは「ばらの騎士」組曲で、目くるめく美音の洪水!「すごいすごい」「岡山フィルからこんな音が出て来るとは!」という驚きから、独墺圏のオーケストラが発する「弦の鳴き」が聴こえて来て、これは岡山フィル史上、エポックメイキングな音楽を聴いている、との実感で感極まってしまいました。ただ純粋に「音」で感極まったのは、2年前に聴いたオッコ・カム&京響のニールセン4番以来の出来事です。

 2曲の協奏曲も良かった!(っていうか、事務局さん、お金は大丈夫だったのかしら)。超一級のソリストが2人も登場するなんて本当に豪華にもほどがあります。
 特に松山さん、僕は松山さんの地元の兵庫芸術文化センターが開館した頃に初めて聴いて以来、4回目なのですが、本当に素晴らしいヴァイオリニストです。同世代には庄司紗耶香や神尾真由子らなど、ビッグネームが沢山居ますが、僕は松山さんのヴァイオリンの独特の音は、そんな黄金世代の中にあっても自ら燦然と光を放つ「恒星」のような存在です。

 一方で、岡山フィルの演奏が急速にレベルアップしていく中で、少し課題のようなものも感じられた演奏会でもありました。

 なんと、コンサートの5日後には、早くも動画がアップされています。これは凄い事ですよ。日本国内のオーケストラで、コンサートの様子をほぼ毎回フォローアップできるのは、N響・読売日響・BSの番組を持っている関西フィルぐらいのものでしょう。

 動画がアップされたことで、演奏の様子を伝えるという役目は失われたので、ゆっくり自分の反芻のためだけにブログを更新できました。

 西日本でも広島・京都などは積雪の被害に遭ったところが多かった日曜日。しかしさすがは「晴れの国 岡山」、上の写真の通り天気は晴れでした。ただし気温は日中も3℃の極寒。
 そんな中でもよく入った方だと思います、客席は80%ぐらいの入り。そして、今日の演奏を聴いた人は、「次回も聴きたい!」と思ったに違いなく、シェレンベルガーが首席指揮者就任以来の「正のスパイラル」の上昇気流はまだまだ続きます。

 この日の編成は変則12型の通常配置(チェロがアウト)3管編成。1Vn:12→2Vn:12→Va:8→Vc:6で、上手後方にCb:6という、低音補強型でした。
 まず、チャイコフスキーの「ロメオとジュリエット」。クラシックを聴き始めたころは、カセットテープが擦り切れるほど(齢がバレる…)聴いた懐かしい曲。

 シェレンベルガーが振る岡山フィルの音、やっぱり凄いです。もう慣れてもいいはずなんですが(笑)、弦の厚みのある音はもはや「岡フィル・サウンド」の名刺と言ったところでしょうか。しかし、何度聞いても驚くということは、岡フィルの弦はどんどんレヴェル・アップしていっている、ということだろうと思います。

 曲の冒頭のモチーフは、この曲の「運命の動機」といえる旋律。シェレンベルガーが聴衆に「この旋律を覚えておいてくださいね」と言わんばかりに緊張感を持って非常に丁寧に描いていくのが印象的。この旋律は曲の後半、トランペットで強烈な存在感で再現される。これ以外にも、この曲のカギを握る3つのモチーフの錯綜を対位法の幾何学的な美しさをきっちりと演奏して浮かび上がらせつつ、巧みに描き分ける手腕は流石にシェレンベルガー&岡フィルのコンビ。
 一方で、岡山フィルのレベルアップが著しいゆえの課題も…

  ロメオとジュリエットの逢引を思わせる、美(微)弱音の蜃気楼のように美しいメロディーを奏でるヴァイオリン群。一部の奏者の音が不安定で、統一した質感が保てない。音の質感に雑味が混ざるのがわかる。前方プルトやベテランの奏者を中心に、大部分の奏者がシェレンベルガーの求める極限の美を表現しているのですが、やはり何人かその質感の音を出すことが出来ておらず、それが全体の音楽に「雑味」を生じさせて、効果を半減させている。
 一方で、若手の奏者の方々の中にも、本当にハイレベルな奏者の方もいるのですが…今後もシェレンベルガーの要求のレベルはどんどん上がるでしょう。ついて行ける奏者は一緒にレベルアップしていけるが、ついていけない奏者はどうなるのか…やや心配なところです。

  次いて「ロココ風の主題による変奏曲」。穏やかで上品な雰囲気のこの曲ですが実は(たぶん)曲者で、かなりのハイレベルな技巧が要求される。
 ソリストのウェン=シン・ヤンさん、僕は勝手に若手のチェリストだと思っていたのですが、登場した姿を拝見すると、若手というよりも渋さを感じさせるダンディな雰囲気の方でした。プログラムを見ると、1965年生まれといいますから、51歳ということになります。演奏を聴いて、こんな凄いチェリストを今まで知らなかったことを恥ずかしく思いました。

 必要以上に情感を込めることはせず、むしろシャープな音楽づくり、それでいて音はフレッシュで瑞々しい。この曲は、超絶技巧のオンパレードですが、それを淡々と弾く姿は本当に恰好がいい。岡山フィルの伴奏も、かなり難しそうなこの曲を、よくソリストに付けていたと思います。一方で、ヤンさんが仕掛けて行くような様子があっても、それに応える余裕までは、無いのかな。これも今後の課題でしょうね。
 ソリストアンコールは、バッハの無伴奏チェロ組曲第1番からプレリュード。

 オーケストラのアンサンブルの面でこの日一番の出来だったのは、「こうもり」序曲。ニューイヤーコンサートで毎回のように取り上げられている曲で、奏者も自信をもって演奏できる曲だろうと思う。そこにシェレンベルガーの本場仕込によく対応して、軽快さと重厚さを両立したバランスのいい音楽に仕上がった。岡フィルではかつて聴いたことがないような、「本場感」「本物の聴き応え」のある演奏でした。これだけの演奏ができるのなら、ウィンナー・ワルツ・オーケストラや、ヨハン・シュトラウス管弦楽団といった専門職(?)のオケでなくても岡フィルで十分だ。

 サン=サーンスのロン・カプも慣れたもの。シェレンベルガーは先ほどの「こうもり」とは違う、スペイン趣味のフランス音楽、サン=サーンスの音楽の味わいを見事に表現して聴かせてくれた。松山さんも「ロン・カプの演奏はかくや!」と思わせるに十分な演奏。彼女のキュイーンと伸びのある音は独特、技巧で聴かせるのももちろんの事、ヴァイオリンの音の抜けの良さといつまでも聴いていたくなる美しさは特筆もの。妖艶で情熱的で、何よりも気品にあふれたロン・カプ。あっという間だった。

 ソリストアンコールは、バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番からラルゴ。前半のヤンさんがバッハのアンコールだったから、というわけでもないでしょうが、ロン・カプとは全く違った音の引き出しを披露してくれた。

 この日のプログラムは「愛の物語」というテーマでいえば、ロメ・ジュリは純愛、「こうもり」と「ばらの騎士」は不倫や純愛、親からの強制的な婚約など、色んな男女の形が登場する。そういう意味では最後の「ばらの騎士」組曲に向かって、4つのプログラムが収斂していく格好になっている。
 時代背景でいうと、ロマン派時代から中世(シェークスピア)やロココ時代へのオマージュ。後半はウィーンと西ヨーロッパの華やかなロマン派の王道を行く楽曲。最後の「ばらの騎士」組曲でロマン派の最後の落日へと収斂する。

 「ばらの騎士」組曲の演奏。細かい感想を書くときりがないのですが、まず、前半でソリストとして登場したウィン・シンヤンさんがチェロパートに入って弾いている!バイエルン放送交響楽団の元首席奏者が、なんと我らが岡山フィルに混ざって弾いているんです。動画でご確認あれ。
https://youtu.be/Ossh8YZVS6I?t=1h19m14s
 チェロとヴィオラの間に1プルト1人の不自然な奏者が、これがヤンさんです。必死でソリストのオーラを消しているようにも見えます。
 
 そのあとのアンコールでは、なんと後半のプログラムで演奏したばかりのドレスから黒の衣装に着替えた松山さんも参加。
https://youtu.be/Ossh8YZVS6I?t=1h41m36s
 椅子が出てきたあと、シェレンベルガーについてさりげなく登場しています。

 素晴らしい演奏のコンサートの後に、こういうサプライズがあると、ずっと印象に残りますね。「あの、ソリストのヤンさんと松山さんが奏者として登場した定期演奏会」という感じで。本当に嬉しいサプライズでした。

 さて、ばらの騎士組曲です。オーケストラのドラマティックで、起伏のある、かつ澱みのない演奏に、頭がぼーっとしながら、音楽に身を任せていました。シェレンベルガーさんが「音楽は心を開いて感じるもの、日本人には人々はそれができる集中力と謙虚さがある」ということをおっしゃっていた。この日の僕は、まさに心を開いて楽しんでいた。

 たそがれ時に色彩を千変万化させる、夕映えの空のように、ある時代が終わっていく(同時代にのストラヴィンスキーの「春の祭典」のような衝撃的で痙攣的な楽曲が背中をせっついてくる)、だからこそ切ないほどに美しいんです。これだけの巨大編成で難易度の高い曲を演奏するためには、10型2管編成の岡山フィルには、強力なエキストラ陣の助けがないと厳しいのは確か。この日も都響現役&OB主席ホルンの笠松さん・久永さん、N響クラリネットの磯部さんをはじめ、トランペット以外のほぼすべてのパートの首席に助っ人奏者が座った、音楽の骨格は岡山フィルの音だった、と言いたいところだが、この曲を恐らく初めてプログラムに取り上げた岡山フィルメンバーの色は薄く、今回に関しては助っ人奏者のハイレベルな演奏に引っ張ってもらった、というのが本当の所だろう。しかし、助っ人・プロパー、すべての奏者の充実した顔を見ると、今回はこれでいいのだ、とも思う。

 シェレンベルガー首席指揮者体制は5年目に突入。氏の音楽づくりは「こういう音を奏でよう」というイメージが明確で、そのイメージは演奏者に対してだけでなく、聴いてる僕らにも、シェレンベルガーがどういう音楽を理想として目指しているのか、分かるようになってきました。

 ウエン・シン=ヤン、松山冴花も含め、オールスター・キャストの演奏となった、オーケストラ・アンコールのラデツキー行進曲。聴衆の手拍子のポイントまで的確に指示するあたり、シェレンベルガーさんにとって、音楽を演奏することに関する真剣さは、本プログラムもアンコールもない、本当に実直な人だなあ・・・と思います。

 シンフォニーホールのロビーから。岡山芸術交流後もリアム・ギリックのインスタレーションが残されていて、これを鑑賞するには、ここが実は特等席かも知れません。 

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2016年に足を運んだコンサートのデータ [コンサート感想]

 拙ブログ恒例の年忘れ!今年足を運んだコンサートのデータをまとめる自己満足企画。
 2016年の最後のエントリーにしようと思って書きかけていたんですが、年末年始はバタバタしていましたので、ようやく更新することが出来ました。

 このエントリーは、ある程度時間が経ったら2016年12月31日の場所に移動させます。
2015年はこちら
2014年はこちら
2013年はこちら 

 今回も、例年通りのグラフのテンプレを使って分析していきます。 
 
 2016年のコンサート・ライヴに行った回数は27回で、これは例年と同等の水準。9月頃までは年間35
回ペースぐらいで推移していましたが、コンサートラッシュの時期の10月~11月にかけてコンサート通いの大敵の咳風邪をひいてしまい、6つほど行くのを見送りました。ただ、平均すれば1月に3回ぐらいのペースで、年間ベースで見るとこれぐらいの回数が自分が行くことのできる回数なんだろうな、と思います。
 
チケット代総額は89,205円、1回あたり平均3,304円でした。

◎ジャンル別
 オーケストラ18回、室内楽8回、器楽ソロ1回
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◎オーケストラの楽団別
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岡山フィルハーモニック管弦楽団:3回
 大阪フィルハーモニー交響楽団:3回
 日本センチュリー交響楽団:3回
 京都市交響楽団:2回
以下、1回
 バーミンガム市交響楽団、カメラータ・ザルツブルグ、ベルリン・シンフォニカー、広島交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、NHK交響楽団
 アマチュアオケ:1回(岡山大学交響楽団)

 トップは岡山フィルと大フィル、日本センチュリー響が3回で分け合いました。本当なら京響はあと2回チケットを買っていましたので、京響が4回でトップになる筈だったんですが、なかなか京都までコンスタントに出かけるのはしんどいですね。聴きに行った2回とも両方とも素晴らしいコンサートでした。
 岡山フィルは後半に定期演奏会が無かったのはやはり寂しい、大フィルはウルバンスキとフルシャという若き俊英を目の当たりにしました。日本センチュリーは3回とも「ハイドン・マラソン」で、これは病みつきになるセンチュリーのサウンドに酔いしれました。関西では京響の次に充実期を迎えているのは、日本センチュリー響ではないか?との思いを強くしています。
 1回限りとなった広響、新日本フィル、N響、どれもいい演奏でした。
 海外勢はバーミンガム市響とカメラータ・ザルツブルグは大当たりでしたが、ベルリン・シンフォニカーは不発で、波がありましたね。

◎指揮者別
 ハンスイェルク・シェレンベルガー、飯森範親:3回
 以下、1回(おもな指揮者のみ)・・・ヤクブ・フルシャ、クシシュトフ・ウルバンスキ、サッシャ・ゲッツェル、ジャン=クリストフ・スピノジ、井上道義、上岡敏之、山田和樹、広上淳一、高関健、

 2017年も、現時点で判明している範囲だけでシェレンベルガーの指揮を4回見れそうですから、恐らく首位はゆるぎないですね。

◎ソリスト・アーティスト
2回:小山実稚恵(Pf)、河村尚子(Pf)、ハンスイェルク・シェレンベルガー(Ob)

 以下、すべて1回(おもな奏者のみ)
 アンナ・ヴィニツカヤ/松本和将/中桐望(Pf)、イリヤ・カーラー/五嶋みどり/黒川侑/守屋剛志/堀米ゆず子(Vn)、ヨハネス・モーザー/趙静(Vc)、中村洋乃理(Va)、ワルター・アウアー(Fl)、マルギット・アナ=シュース(Hp)、秦茂子(S)、ドミニク・ヴェルナー(T)

室内楽団体:カルテット・ベルリン=トゥキョウ、アルト・ドゥ・カンパーニュ、アンサンブル・レ・ペッシュ、岡山フィルメンバー

 ソリストの中で印象に残っているのは、何といっても五嶋みどりさん。彼女の登場するコンサートは4回目ですが、どれもが素晴らしいコンサートです。1回の演奏に賭ける情熱がハンパ無い。シェレンベルガー・ファミリーのコンサートも、岡山の名物行事になってきましたが、コンサート中も「このメンバーの音楽を、こんなアットホームな雰囲気で感じられるなんて!」という感動がありました。

◎プログラム曲目別
 プログラムにあがった曲(アンコールは含まず)の標準的な演奏時間を5分単位で指数化。作曲家別にまとめています。
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 2014年は1位:ベートーヴェン、2位:バッハ、3位:チャイコフスキー
 2015年は1位:ベートーヴェン、2位:ベルリオーズ、3位:モーツァルト でした。

 1曲の時間が短いハイドンが、なんとランクイン!なんせハイドンチクルスに3回も行ったからなあ(笑)

◎コンサートホール別
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◎会場の府県別
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◎会場の市町村別
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 相変わらず、瀬戸内海沿岸を行ったり来たり…たまに都に上っています。

◎平成28年の印象に残ったコンサートは次の通り
(期間:2016/1~2016/12)

超SS級(まさに神が降りてくるような奇跡的なコンサート)
2016/12/9 日本センチュリー響 いずみ定期No.33 飯森範親指揮 Vc:ヨハネス・モーザー
2016/9/11 京響スーパーコンサート 広上淳一指揮 Vn:五嶋みどり
2016/3/4 岡山フィル第49回定期演奏会 ドイツ・レクイエム

SS級(物凄く感動したコンサート・・・年間ベストコンサート候補)
2016/12/10 大阪フィル第504回定期演奏会 フルシャ指揮 Pf:河村尚子
2016/8/12  日本センチュリー響いずみホール定期No.32 飯森範親指揮 pf:小山実稚恵
2016/6/17 日本センチュリー響いずみホール定期No.31 飯森範親指揮 Ob:シェレンベルガー
2016/5/20  大阪フィル第498回定期演奏会(1日目) ウルバンスキ指揮  Pf:ヴィニツカヤ
2016/2/19 広島交響楽団第357回定期演奏会 高関健指揮

S級(非常に印象に残ったコンサート)
2016/11/19 カメラータ・ザルツブルグ 岡山公演 モーツァルト「レクイエム」
2016/6/23 バーミンガム市交響楽団2016 倉敷公演 山田和樹指揮
2016/5/21 京都市交響楽団第601回定期演奏会(1日目) ゲッツェル指揮 Fl:アウアー

A級(たいへん良かったコンサート)
2016/9/23 Alto de Campagne Vol.3 岡山公演
2016/7/1  NHK交響楽団岡山公演 井上道義 指揮 Pf:小山実稚恵
2016/6/5 岡山フィル第50回定期演奏会 シェレンベルガー指揮
2016/3/18 新日本フィル倉敷公演 上岡敏之指揮
2016/3/12 倉敷のヴィルトゥオーゾ ピアノ・クインテット
2016/2/29 シェレンベルガーファミリーと岡フィルの仲間たち

 1年間で27回のコンサートに行って、17回も「良かった!」と思えるコンサートに出会えたというのは(そのうち、「神が下りてくるような感動」に包まれたコンサートが3回もある)、本当に幸せな事だと思います。


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岡山フィルなどの2017シーズンのコンサート情報(追加版) [各地プロ・オケの年間プログラム]

 遅まきながら、あけましておめでとうございます。まだ2016年のコンサート通いの総括も出来ておりませんが、とりあえず岡山フィルや津山国際総合音楽祭のコンサート情報について挙げておきます。

 シェレンベルガー氏の公式ホームページによると、今年の岡山フィルの第九はシェレンベルガーが指揮するようです。

2017年12月10日(日) 岡山シンフォニーホール
ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱付」
指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー

 第九演奏会にシェレンベルガーが登場するのは2回目になりますが、今年はベートーヴェンの2、5,6、7番を採り上げたうえでの9番となるので、いっそう深化した第九が聴けそうです。去年の12月の第九も飯森範親さんの元、ベーレンライター版で完成度の高い第九を仕上げたそうですから、シェレンベルガーのタクトを受け入れる下地はかなり出来ていると思います。万難を排して聴きに行きたいと思います。

2018年5月20日(日) 岡山シンフォニーホール
岡山フィルハーモニック管弦楽団第56回定期演奏会
モーツァルト/交響曲第40番
マーラー/交響曲「大地の歌」
指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー
独唱:不明

 うーおおおお!ついに来ました『大地の歌』、シェレンベルガーが日本のオーケストラで、しかも首席指揮者である岡山フィルでやってみたいと言わしめていた名作中の名作が、ついに披露されることになります!!

 それから同ホームページには、2018年の4~5月に、カメラータザルツブルグと岡山バッハカンタータ協会の共演で、ザルツブルグとウィーンへの演奏旅行の予定も記載されています。プログラムは未定ですが、先日のモーツァルトのレクイエム以外の楽曲であれば、日本での凱旋公演もあるかもしれません。

 ただし、上記の予定はシェレンベルガー氏のHP上の情報であり、主催者発表情報ではありません。以前にもプログラム等が差し変わったこともあるため、あくまで参考情報として読んでください。

 それからもう一つ話題を。

 今年の津山国際総合音楽祭の開催概要が発表され、次のプログラムの予定が掲載されています。その中にこんなプログラムが・・・

2017年10月21日(土) 津山文化センター大ホール
マーラー/交響曲第4番
指揮:下野竜也
ソプラノ:今久保宏美
管弦楽:京都市交響楽団

 津山国際音楽祭に久々に京響が登場します。これは本当に楽しみですね。

 しかし、この日は「絶対に行こう!」と決めていた、イブラギモヴァが日本センチュリー響に登場するコンサートと被ってしまうんよなあぁぁ。どねーすりゃええ?

 また、情報が入りましたら更新します。


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