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日本センチュリー響第217回定期演奏会(2日目) 指揮&Vn独奏:シトコヴェツキー [コンサート感想]

日本センチュリー交響楽団第217回定期演奏会(2日目公演)

アダムス/管弦楽のためのフォックストロット「議長は踊る」
コリリアーノ/「レッド・バイオリン」組曲
シューマン/交響曲 第2番 ハ長調 

指揮・ヴァイオリン独奏/ドミトリー・シトコヴェツキー
コンサートマスター:後藤龍伸
2017年6月17日 ザ・シンフォニーホール
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   シューマンを偏愛している僕にとって、この日のセンチュリーのシューマン2番は非の打ち所の無い、どころか、生きてるうちにこの曲でここまでの演奏が聴けたことを神に感謝したい。そんな演奏でした。1日目よりもより音に艶が増し、オーケストラのパート間のコミュニケーションが豊富になっていました。東京のオーケストラにも伍していける、世界に対しても堂々と「日本センチュリー響、ここにあり」と出していける。
 今後、関西へのコンサート遠征はセンチュリーを中心に組みます。目下のところ、大阪のオーケストラの中ではぶっちぎりで抜けています。
 
 アダムスもコリリアーノも、良かった!必ず詳細は更新します。
センチュリー響!ブラボー!
****************************************************************
 2日目(土曜日)公演も空席が目立ち、5割・・・行ってないかも知れないです。でも、センチュリーはこの日も極めて質の高い音楽を聴かせてくれました。
 あるプロの演奏家の方にうかがったことに寄ると、ソワレのあとのマチネ公演は体力・集中力的にもかなりタフさが
求められるそうです。コンサートが終わって家に帰ると23時、遅い食事をとって寝るのは午前1時となる。コンサートの後はなかなか寝付けない奏者も多いのだそう。翌日は14時開演だと、10時か11時からゲネプロが始まる。前日に気になる箇所があれば、そこをさらっておかないと落ち着かない。そんなこんなでほとんど眠れずに土曜日のソワレを迎えることも・・・
 なるほどね、それで京響はソワレ→マチネの公演を組まないし、大フィルも金曜ソワレ→土曜マチネのパターンが減
ってきているのか・・・

 話が脱線しました。アダムスの「議長は踊る」。1日目は痺れるような緊張感が漂っていましたが、2日目は良い意
味でリラックスした演奏でした。特に緊張が強いられるパーカッション、特に最後まで音が残るサンドペーパーみたいな楽器の音が、この日は絶妙の余韻を残して終わった。
 ダイナミクスの抑揚も、1日目よりも自然。シトコヴェツキーも手応えを感じたようでした。2日目はサイドバルコ
ニー席に座ったためピアノの手元もよく見え、そしてチューバがコントラバスとともにずっと安定して低音を吹き続けていることに気づいた。シトコヴェツキーさんはこの日もチューバを立たせて讃えていた。この日は1曲目なのにブラボーが飛びました。

 次にコリリアーノの「レッド・ヴァイオリン」組曲ですが、1日目の厳しい・恐ろしい曲との印象が変わりました。
一度、生演奏で聴いて僕の『耳が慣れた』からだろうか、1日目のシトコヴェツキーの演奏も運命の鉄槌を下すような厳しいものから、2日目は運命に対する悲しみに寄り添うような演奏に聴こえ、前日とは全然印象が変わりました。シトコヴェツキーのソロの場面での、楽団員同士のアンサンブル感覚の鋭敏さは2回聴いても痺れる。

 後半のシューマンの第2番。前日も第1楽章から中欧のオーケストラ顔負けのクオリティの高い演奏だと思っていしたが、2日目になって、音のつやが一層輝きを増したように思う。1日目の演奏も、第3楽章あたりからつやと輝きが増して、最後は信じられないような美音の洪水となったが、その調子が2日目に続いているようだった。
 配置は対向配置で、1日目も1ndVnと2ndVnの掛け合いが見事だったが、バルコニー席に移ってのぞき込むように見て
みると、全てのパートが有機的にモチーフが受け渡され、まるで一つの生き物のような、つまり音楽そのものが意思を持って動いているような、隙の無い一体感が感じられた。
 何度も繰り返すが、これほどのクオリティで、大好きなシューマンの2番を聴ける、この喜び・快感に酔いしれた。
 目の前で起こる奇跡を噛み締めながら聴いていた。第1楽章の再現部から胸にこみ上げるものがあり、第3楽章では決壊しそうな涙腺の維持が大変だった。
 センチュリーが弦5部を何層にも絹織物を重ねたように、上品でつややかなテクスチャーでありつつ、これほどまで
に分厚いサウンドを聴かせるオーケストラだとは思っていませんでした。第4楽章の中間部でグリッサンドで弦の音を重ねて盛り上がっていく部分では、客席で圧迫感を感じるほどの迫力があった。木管も上品さを湛えつつ、全体のサウンドに音が埋もれることが無く、しっかりときこえてくる。とりわけ持丸さんのクラリネットの音色(内声に回る場面でも)印象に残った。

 大フィルが井上さんとの3年で「ラテン気質の大阪に合うオーケストラ」を標榜し、確かにサウンドが変わった。色
々評価はあるが、僕は大フィルの音が変わり果てていく事に寂寥感を感じていた。そして、何よりもこの「大阪はラテン」というのが本当にマジョリティの大阪らしさを表しているのか?よしもと的お笑い文化など浅薄なイメージに踊らされているのではないか?との疑問を持っていた。
 しかし、このセンチュリーのサウンドを聴いて、このオーケストラも大阪という街が背負ってきた歴史を体現していると感じた。大正時代の東洋の商都、世界に冠たる大大阪の歴史に裏打ちされた、気品と格調高い生き方。江戸時代以来の勤勉で明るく、人と人との繋がりを重んじ、コミュニケーションが豊富。仕事の腕を磨くことは自分の魂を磨くことと信じ自己研さんを怠らず、逆境にもしなやかに強い。そんな大阪の歴史が生み出したサウンドをセンチュリー響が持っている。
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 この日は、ザ・シンフォニーホールの目と鼻の先に建つ「関西将棋会館」で藤井四段の奇跡が続いていた(13:30からの大局)
 僕にとっては、偏愛するシューマンの交響曲第2番を、これほどの素晴らしい演奏で聴くことが出来たことも奇跡だった。
 これほどの演奏に接したとあっては、今後の大阪へのコンサート遠征はセンチュリーを軸から外せない、そう感じた
2日間でした。

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日本センチュリー響第217回定期演奏会(1日目) 指揮&Vn:シトコヴェツキー [コンサート感想]

日本センチュリー交響楽団第217回定期演奏会(1日目公演)
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アダムス/管弦楽のためのフォックストロット「議長は踊る」
コリリアーノ/「レッド・バイオリン」組曲
シューマン/交響曲 第2番 ハ長調 


指揮・ヴァイオリン独奏/ドミトリー・シトコヴェツキー
コンサートマスター:後藤龍伸


2017年6月16日 ザ・シンフォニーホール


三曲とも空前の名演!


アダムスはセンチュリーの超高性能オーケストラの実力を遺憾なく発揮。

「レッドヴァイオリン」組曲は、シトコヴェツキーのヴァイオリン独奏に度肝を抜かれ(シトコヴェツキーは、デュメイ級のソリスト、と言えば大阪の方には伝わるだろうか)、センチュリーの伴奏が神がかってます。奏者たちのアンサンブルのセンスが、ほんと、皆さん、半端ない。

 シューマンの二番、僕は第三楽章で泣きました。なんと美しく透明な音色!第四楽章はもはや神がかっていた。
 いや、ほんまに大袈裟な話やなくて、行ける人は明日、絶対聞きに行った方がいいです。満足できなければ、僕は坊主になってもいい。

 それを取り急ぎお伝えします。

 今日は勝利(?)の美酒に酔います!

*******************

 今日の編成は12型の編成、前半は通常配置だったが、後半のシューマンは対向配置。前半はピアノやチェレスタ、様々なパーカッションが居並ぶ。チューブラベルが1本しか無いのは2曲目のコリリアーノで1音のみたった1回だけ(すこぶる効果的に)使われるから。
 アダムスはいわゆる「ミニマル・ミュージック」で、ライヒらの第1世代の次の第2世代にあたるらしい。この曲からは実験音楽の雰囲気はほとんど感じられず、表現のための音楽となっている。同じモチーフがテンポも音階も徐々にズレていき、さながら瞬間瞬間、模様を代えていく万華鏡を音楽にしたよう。和音に調性感も感じられてとても聴きやすい。

 ピアノなどの鍵盤楽器でも同じ音を同じテンポで弾き続けるのは、実はたいへんな技術が必要のはず。ましてや木管・金管が同じ質感でタンギングを続けるのは驚異的な集中力というほかないです。それに加えて寄せては返す波のようにダイナミクスの変化を付けていく。技術と集中力が要求されるのに、誰かが突出してもいけないし誰かが不十分でもいけない。中間部でゆったりとした東洋風のモチーフに代わる場面もスムーズで(「江青」をイメージしているそう)、その瞬間に空気感が変わる。この色彩感、アンサンブルのセンス!ハイレベルな奏者が揃っているセンチュリーだからこそ堪能できた演奏だろうと思う。


 2曲目は、「レッド・ヴァイオリン」組曲。 NMLで2回ほど「予習」したんですが、とりあえず中間部のバスドラム+ティンパニの2発の音にビックリしないように気をつけなあかん(笑)ということしか分からなかったです。
 ところが、実演で聴いてみると、1曲目とはまた違った形で空間的な広がりのある曲で、様々な弦の特殊奏法が(特にフラジョレットでの倍音が)空間的な広がりを生み出し、ザ・シンフォニーホールの音響の良さを存分に生かし、スピリチュアルでデモーニッシュな世界を描き出していた。とにかくセンチュリーの伴奏が上手いのですよ!シトコヴェツキーがカデンツァ風の、ずっとソロ演奏が続く部分を演奏している最中でも、時々オーケストラが入ってくる場面があるんですが、そこの場面のキュー出しはシトコヴェツキーには不可能。でも、どのパートもドンピシャで入ってくる。ロマン派の楽曲のような一定の流れや、暗黙のテンポ感などは皆無の曲なのに・・・、これは凄い事をやっている。チェロの北口さんのソロも、シトコヴェツキーを向こうに回して一歩も引かない上手さ。何よりも、全体のバランス・アンサンブル感覚が素晴らしい!センチュリーの一人ひとりの奏者のアンサンブル・センスの高さが無ければ、なかなかこうは演奏できないと思う。


 シトコヴェツキーのソロも超絶技巧の連続で、そのテクニックに対してため息が漏れるのだけれど、それ以上に、なんと悲しみを湛えた音なんだろう、その胸が締め付けられるような音に聴き入ってしまう。「レッド・ヴァイオリン」という映画は見たことが無いが、そのヴァイオリンが様々な人間の手に渡る過程で、壮絶な出来事が起こっていただろうということが、音楽を聴くだけで想像できる。
 コリリアーノの楽曲が持つ、深い深い悲しみと闇、のぞき込むと、その深さに足に震えが来るような不気味な運命的なモチーフが、深く心に刻まれた。

 プログラムに、有栖川有栖さんがコラムで書かれていたとおり、「これは映画もみてみないとなあ」と思いました。

 終演後の拍手は、徐々にボルテージが上がっていき、4回目のカーテンコールが一番盛り上がった。アンコールはバッハの無伴奏パルティータ第2番からサラバンド。レッド・ヴァイオリンの雰囲気を引き継いだような非常に厳しい世界を描いていました。


 そして、後半はシューマンの交響曲第2番。僕にとっては特別な曲なんです。30代の前半のある時期、何をやっても上手くいかない時期があった。仕事がオーバーフロー状態になり、人間関係にも悩み、健康状態は最悪、深い信頼関係があると信じていた友人に裏切られ、大切な人を失ったり、これほど悪いことが重なるものなのか?というほど悪いことが重なり、体も心も壊れてしまった。
 過労で入院中に本当に憑きものが付いたように聴いたのが、このシューマンの交響曲第2番だった。この曲の第3楽章を聴くと、病院の窓から見えた大きな川に沈む夕日を思い出す。その時聴いていたのは バーンスタイン&ウィーン・フィルのもの。快活なようでいて、第2楽章の狂気・狂騒。第3楽章は自我が崩壊していくような病的な演奏、第4楽章はバラバラになりつつあった自我をすんでのところで維持し、自分を鼓舞していくような演奏。そんな演奏に没入した覚えがある。


 生演奏では7,8年前に大植さんが大フィルを振ったとき、初めてこの曲の生演奏を聴いた。やや躁鬱的な起伏はさすがに師匠譲りと感じたものの、磨き抜かれた大フィルの弦の音を中心に組み立て、全体的には生命肯定的で前向きな演奏だったように思う。僕もその頃には体も精神も健康を取り戻していたので、大いに感銘を受けた。

 この曲の録音はおそらく20枚は持っていると思うが、今は、一番バランスが取れているサヴァリッシュ&ドレスデン国立管、もしくは情熱的で壮大にドラマティックに描いた、ルイージ&ウィーン響の演奏を愛聴盤にしている。


 そして今回のシトコヴェツキー&センチュリーの演奏。センチュリー自身、十八番の曲と自認している曲のようで「レパートリー感」がベースにある確信を持った演奏。シトコヴェツキーのタクトは、さすがにヴァイオリニストだけあって、弦の音に厚みが有り、つやがあり磨き抜かれた輝きをセンチュリーから引き出していた。木管も大活躍するこの曲、精緻でニュアンスにとんだ木管はさすがにセンチュリー。シトコヴェツキーのタクトは純管弦楽曲として真面目に積み上げていく感じで、思い入れや感情移入を排した解釈。しかし、だからこそこの曲の持つ病的な執拗さと不安定さと死の予感、そして第2,4楽章におけるシューマンの激情を浮き彫りにした。

 第1楽章の途中から音楽がどんどん凝縮し高揚していき、この昂奮は生演奏でもCDでも経験したことが無い種類のものだった。一瞬、拍手が沸いたのも頷けるほどの熱演。第3楽章では弦5部が泣きに泣いて・・・ドレスデン・シュターツカペレやバンベルク交響楽団のような中欧のオーケストラでしか聴けないものだと思っていた音が、センチュリーで聴くことで来た。


 プログラムノートの小味淵さんの「苦悩から歓喜へという普遍的なプラン」による作曲された。引っ越しによって鬱病などの病状が回復した快気祝い、との解説があったが、僕は、どうしてもそうは思えないのである。最初にトランペットで弱弱しく提示されたド・ソの2音のモチーフは、この曲の間中、ずっと見え隠れする。それはベートーヴェンの5番のようにすっきりと解決されるものではなくて、中間の音が無い不安定なドとソの音が、曲中所々で顔を出し、サブリミナル効果として頭の中に刷り込まれてる。まるで幻聴や幻覚を見ているように、決して解決されることが無い。

 第4楽章の最後は和音で解決されて終わるかに見えるが、不安を掻き立てるドとソの音は頭の中に残り続ける。

 マーラーも病的な音楽世界を描いた人だったが、一方でちゃんと現実へ戻って来れる(色んな意味で)力のある人だった。しかし、シューマンはそこまで起用じゃなかったんだと思う。日常の自明性が崩れていく恐怖は想像を絶するものがある。

 この日のセンチュリーのシューマンの2番は、執拗に繰り返されるモチーフが完璧に表現されていた。互いのパートを聴き合い、アンサンブルを研ぎ澄ませて、鬱蒼としたシューマンのオーケストレーションを白日の下に描き出し、ありのまま」のシューマンを聴くことが出来た充実感がある。生きること、そのものが「病み」を内包してそれでも進んでいく・・・。強いメッセージを感じた。それはあたかもセンチュリーが置かれている状況=これほどのハイレベルな演奏を展開しているのに、もしかするとあと数年で終焉を迎えるかも知れない運命、その運命を受け入れて突き進んでいくような力強さを感じた演奏でした。


 終演後は5割程度しか埋まっていない客席から、まるで満席のように拍手とブラボーが飛びます。ああ、ここに集った人々、みなが称えるような名演奏だったのだなあ、と実感しました。
 しかし、「おか割」券で足を運んだ翌日の演奏会では、なお一層充実した演奏を聴くことが出来たのですが、これはまた次の記事に書きたいと思います。


 今回、阪急中津駅から徒歩でザ・シンフォニーホールに向かいました。

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 中津駅を降りて驚いた!ここだけ「昭和」で時間が止まっていました。


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 ガード下を抜けて、北梅田ヤードのそばの道路を通ります。丁度、グランフロント大阪のビル群を背後から見る感じ



 以外にも新梅田シティまで徒歩6分、ザ・シンフォニーホールまで徒歩15分と言ったところ。帰りは梅田から帰ると思いますが、往路は意外とこのルートは使えると感じました。 

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ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団 姫路公演 [コンサート感想]

ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団 2017姫路公演
コネソン/フラメンシュリフト(炎の言葉)
ラヴェル/ピアノ協奏曲
 ~ 休 憩 ~
ドビュッシー/交響詩「海」
ラヴェル/ボレロ
指揮:ステファヌ・ドゥネーブ
ピアノ独奏:モナ=飛鳥
2017年6月15日 姫路市文化センター大ホール
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 会場となった姫路市文化センターは、私にとっては思い出の場所なのです。中学生の時にクラシック音楽に目覚め、元々クラシック音楽を聴く趣味があった親父に、色々なコンサートに連れて行ってもらった。
 その一つが姫路市文化センターで行われたチェコ・フィルのコンサートだった。確か、ノイマンとペシェク、ビエロフラーヴェクの3名を擁した大規模なツアーだったように記憶しているが、姫路公演の指揮者はビエロフラーヴェクで、モーツァルトの交響曲第38番「プラハ」とドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」だった。たぶん、ノイマンの登場する大阪公演よりも、電車賃を払っても御釣が出るぐらい、安かったのだと思う。
 少し前にロレンゼルス・フィルで海外オーケストラのパワーに圧倒されていた僕は、「今回は驚くことは無いだろう」と思って、会場に足を運んだが、今度はヨーロッパの楽団の官能的な響きに圧倒され、国によってオーケストラの音も変わることを勉強した。
 次に訪問したのが、これも20年近く前の大フィルの公演で、今回が久々の3回目の訪問になった。
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 会場の入りは6割程度か?市内の高校生にチケットが配られたようで、ロビーには高校生で溢れていました。編成は1曲目と後半は14型、1stVn14→2ndVn12→Va10→Vc8でコントラバスが上手奥。2曲目のラヴェルのコンチェルトは1stVn8→2ndVn8→Va6→Vc6でコントラバスが上手奥に4本。
 1曲目の演奏が始まる前に、ドゥネーブさんと女性の日本人奏者(ブリュッセル・フィルには3人所属しているそう)が登場。日本人奏者が「Ladys and gentleman,good evening!」、でドゥネーブさんが「みなさん、コンバンハ」とあいさつするというギャグをかましてくれました。これでやや緊張気味だった学生さんたちがほぐれていい感じに。
  1曲目はフランスの作曲家:コネソンの現代音楽。ドゥネーブさんの解説によると、ベートーヴェンの運命の「ダダダダーン」をはじめとした旋律を使って、変奏曲的に展開していく、というお話だったが、演奏が始まってみるとどれがベートーヴェンのモチーフなのかはわからなかった。断片的なモチーフを弦のオスティナートを駆使して展開させていく楽想は、オネゲルの影響が感じられ、このブリュッセル・フィルもこの曲のCDを出しているだけあって、引き締まった好演。

  ところが2曲目のラヴェルのコンチェルト、うむむ・・・、縦の線が全然合ってない?でも、木管金管のソロは全くはずさないんですよね、このオケ上手いの、そうでもない・・・の?、でも、第2楽章のオケのアンサンブルは絶品なんですよね、このブリュッセル・フィル、まるで19世紀のフランドル地方から飛び出してきたかのような、古色蒼然と、かつローカル色溢れるサウンドなんですよ。聴いていて気持ちがいい! そして、縦の線をビシッと合わせる、というような事には価値を置いていない、そう感じました。
  モナ=飛鳥さんのソロは、弱音部分の美しさが際立っていました。テクニックも万全。ただ、強い印象が残らなかったのは、このホールが音響的にも、容積もピアノ・ソロ向きとは言えないこともあるかな。岡山シンフォニーホールや、同じ姫路ならパルナソスホールで聴いてみたいですね。

  そして、今日のハイライトは間違いなく、ドビュッシーの「海」。音が煌めき、揺らぎ、そして臭い立つ19世紀のフランスの香り。決して音響は良くない姫路市文化センターに、音楽の歴史を変えた瞬間のパリの熱気をそのまま持ってきたようなドビュッシーのオーケストレーションの魔術で満たされ、心が震えた。木管陣がとにかくまろやかな音を奏でていたのが印象に残る。この曲は盛り上がったかと思ったら、最高潮になる寸前に音楽の波が収まったり、霧の中から出てくっる場面で合ったり、こういった表現はフランス語圏のオーケストラでなければ味わえないものがある。本当に見事な演奏だった。最期の窒息しそうな轟音の後の最期の一音の軽い着地が、何とも言えないエスプリが効いていた。ニクイ!
 
  ボレロはエリザベート王妃コンクールのホスト・オーケストラも務める、このオーケストラの実力を遺憾なく発揮。コンチェルトで一瞬、実力を疑ってごめんなさい(笑)
 単なるインテンポではなく、各部分のソロを受け持つ楽器の節回しにオーケストラがさりげなく寄り添っていく。ソロが終わった楽器のパートは他のメンバーと笑顔でアイコンタクトを取ったり、と、心から音楽を奏でることを楽しんでいる様子にも感銘を受けた。
 終演後には拍手が鳴りやまず、いわゆる「一般参賀」(楽団員が退場しても拍手がやまないので、指揮者が再登場して挨拶する様)まで見られた、たいへんの盛り上がったコンサートでした。
  
 会場は6割ぐらいの入りだったが、満員のような拍手に包まれる。アンコールはビゼーの「アルルの女」からファランドール。いやあ、姫路のお客さんもノリがいい!お祭り気質の播州人のノリで応えて(何を隠そう、ワタクシも播州人の血を引いている)、ドウネーブさんもご満悦でした。

 ブリュッセルと言えば、ベルギーの首都でありヨーロッパ連合の首都でもある。そんなヨーロッパの中心地で、琥珀のような、あるいは時代を感じさせる波うったガラスをとおして降り注ぐ七色の日光のような、何とも言えない味わいと輝きがありました。世界のオーケストラが個性を失いつつある、なんて言われる昨今。どうしてどうして、先月のフィンランドのタンペレ・フィルといい、このブリュッセル・フィルといい、個性的なオーケストラはたくさんある。世界は広い。
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岡山フィルが日本オーケストラ連盟に加盟! [岡山フィル]

 今日の山陽新聞朝刊の記事。岡山フィルが、ついに日本オーケストラ連盟への加盟が承認されました!準会員としての加盟ということです。

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 それに先駆けて、6月10日(土)の山陽新聞にも異例に大幅な紙面を割いて、シェレンベルガー氏を中心としたオーケストラ改革について記事が組まれていました。

 記事の中身は会員限定公開になっているので写真アップは控えますが、要約すると・・・


 シェレンベルガー氏が首席指揮者に就任して以降、地元ファンの間で「音が変わった!」と話題になり、オーケストラの演奏力の向上とともに魅力的なプログラムをそろえ、観客動員も(実数を把握している09年度以降)過去最高を記録するなど好調。今が改革の好機ということで

・ 新コンサートマスターの招聘
・ 10パートの首席奏者の募集

 などの大規模な改革に着手。これまでは大編成の楽曲になると、大量のエキストラと在東京オーケストラなどから首席奏者をごっそり連れてくることから、「エキストラ楽団」などと揶揄されてきたが、名実ともにプロの楽団を目指す方向に大きな舵を切った。岡山市も「中心市街地活性化の起爆剤」としての役割を期待しており、補助金額の増額などで支援を強化しているとのことです。


 日本オーケストラ連盟に加盟するためには、他のオーケストラに所属していない自前の首席奏者をそろえる事が必須条件になっていますが、早くも加盟が認められたということは異例のスピード承認という印象があります。国内のオーケストラは大都市圏に偏在している傾向があり、東京では世界トップレベルに肩を並べつつあるとの評価のオーケストラがいくつもある一方で、地方、特に西日本の層の薄さが指摘されていました。岡山フィルの加盟は連盟としても歓迎されることだったのかもしれません。
  しかし、同記事では「この大胆な改革はリスクが伴う」とも指摘、これまでは在東京オケなどで実績のある首席奏者を連れて来ていたことで、演奏のクオリティが保てていた面もあった。しかし、岡山フィルは他の常設オーケストラのような条件は提示できないし、全国的には実績や知名度は無いに等しいことから、これまでの助っ人首席のようなレベルの奏者の確保が難しいかもしれない。
 そうなると、演奏のクオリティが低下し、聴衆が離れて行ってしまう恐れもある。


 聴衆も「これまでの演奏よりもクオリティが落ちるかも知れない」ことを受け入れる覚悟を持って、「それでも、おらが街のオーケストラのために応援しよう」という覚悟が必要になって来ると思います。


 しかし、僕はこの首席奏者の人材確保に関しては楽観的な見方をしていて、上手い一流の奏者をその時だけ集めたら必ずいい演奏になる、とは限らないと思っています。エキストラ奏者さんの中には素晴らしい情熱で演奏してくださる方も居ました。都響のクラリネットの小林さん、OEKのティンパニストの渡辺さん、最近では元都響のホルン奏者の笠松さんや京響のフルート奏者の中川さんら、最高のパフォーマンスと、終演後は素晴らしいステージマナーを見せて・聴かせてくれました。た。

 一方で、エキストラ奏者の中には、カーテンコールが最高潮に盛り上がっているときに「早く東京に帰りたい」と思っているのかどうかは分かりませんが(笑)、観客と余韻に浸りたい岡フィルプロパーの奏者との温度差を見せられることもあったことは事実です。無理もない、彼らは自分の所属するオーケストラで最善を尽くすことが本来の仕事なのだから。。。


 しかし、これからは「自分は岡山フィルの首席奏者なんだ!」という帰属意識と、「岡山フィルの首席奏者として、最高の演奏を聴衆に聞かせたい」という責任感を持った奏者が演奏するようになる。楽団に一体感が生まれ、本当の「岡山フィルの音」を作っていけるようになる。

 オーディションはシェレンベルガー氏も審査員として立ち会うとのことなので、全く懸念はないと思いますが。求めるレベル以上の奏者が居ないパートがあれば、もうしばらくはエキストラ首席で代行してもいいと思う。我々ファンは、じっくりと待ちます。


 いやしかし、考えてみたらベルリン・フィルは奏者だけでなく指揮者やソリストまでも楽団員が選考するわけですから、その修羅場を経験したシェレンベルガー、その人がオーディションをして、コンサートの出演者やプログラムを組んでいる岡フィル、そりゃーいいコンサートが増えるわけですよ。

 これまで岡山フィルのステージにエキストラとして立っていただいた奏者の方々に感謝するとともに、彼らも含めて25年間の演奏の蓄積の基盤のうえに「岡フィルの」音が生まれる現場に立ち会いたいとおもいます。


 以下は余談です。


余談1)ある人たちと、この岡フィルのニュースについて話をしていたら、「専務理事のTさんはやり手だからなあ」という話を聞き、調べてみると、なんと楽団の専務理事(常勤で一番偉い人)は、いつもシンフォニーホールの入り口の外で、来場者に向かって笑顔で頭を下げて迎えて下さっている方でした。

 まさかあの方が専務理事とは・・・。率先垂範とはよく言われることですが、大阪や京都のホールでも、入り口の外で挨拶をされているのは見たことがありません。聞けば岡山市の経済局長まで勤められた市役所の重鎮だという・・・。世の人々は「天下り」かも知れませんが、ここ数年の改革のスピード感と成果、あるいは率先垂範を示す、その姿勢とおもてなしの心。
 拙ブログにコメントを下さるブロガーさんから、オーケストラの発展には優れた音楽監督と、情熱を持った事務局員が必要、とのコメントを頂いたことがあるが、岡フィルもそういう人を得てこその、ここ数年の改革なのかもしれない。


余談2)細かいことかもしれませんが、あえて山陽新聞へ苦言を。岡フィルはオーケストラ連盟に「準加盟」したのではなく、準会員として加盟した、ということです。「準加盟」って、なんかちゃんと加盟が認められていない感が漂ってるじゃないですか。紙面の関係で端折ったのかもしれませんが、ここは正確に表記して頂きたいと思います。

 でも、土曜日の特集記事は非常に読みごたえのある記事でした。

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後楽園 花菖蒲が八分咲きです [名庭シリーズ]

 後楽園のHPの「花菖蒲が見ごろです」との書き込みにつられ、昨日(6月10日)行ってきました。


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とりあえず、お決まりのアングルで。この日は曇り空でした

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個人的には、このアングルも好きです。操山の稜線に園外縁の植栽の稜線、手前に唯心山の稜線が重なり、奥行きを出しています。


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「流店」のそばに花菖蒲園があります

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8分咲きといったところですが、鮮やかな色彩!

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次にアジサイの様子を
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アジサイの見ごろはこれからですね


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「井田(せいでん)」近くの蓮池、数輪だけ花が咲いていました
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「花葉の池」の蓮の様子は・・・?

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まだまだ、ピークは先のようです

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後楽園、時期遅れのサツキ編 [名庭シリーズ]

 40代に突入して基礎代謝量が一気に減少したのか、食べる量は増やしていないつもりなのに、メタボ体型に拍車がかかっています。
 20代~30代前半は習慣的にテニスをしてたんですけど、今は全然してません(たぶん、このウエイトでやると膝を壊します・・・)。黙々とやるジョギングとかウォーキングとかは、自分の性格からすると、まあ続かない。
 ということで、5月から天下の名演:後楽園の年間パスポートを購入、単なるウォーキングではなく「後楽園ウォーキング」を開始しました。
 年間パスポート代は2050円で、6回行けば元が取れる計算。我が家から後楽園は2km圏内にあり、平日の休みにいけば、そんなに人も居ない。ウオーキングのモチベーションにしたいと思っています。
 今回は5月の下旬に行ったときのサツキを中心とした写真。

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 お決まりのアングル。「唯心山」の中腹のサツキのピンク色が鮮やか

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しかし・・・近づいてみると、完全に盛りは過ぎていましたねぇ。後楽園のHPで「サツキツツジが満開です」という報を見た3日後に行ったんですが、ちょうど岡山は2日連続で30℃超え、時期を逃してしまいました。
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この時期のいわゆる「青もみじ」も涼しげでいいですなぁ

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藩主が接待に使った「延養亭」前のサツキも、盛りは過ぎていました。

今後も時々アップします。次回は花菖蒲か?蓮の花か?

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過去1年の印象に残ったコンサート【自己紹介代わりに・・・】 [自己紹介]

 最近(過去1年間)聴きに行ったコンサートの中で、特に感動した・印象に残ったコンサートについて書いた感想をピックアップします。演奏の巧拙や周りの評価に関係なく、自分が感動したものだけをピックアップしています。自己紹介代わりになるかな。

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アンドレア・グリミネッリ フルートリサイタル [コンサート感想]

Jホール・レインボーコンサート Vol.42
アンドレア・グリミネッリ フルートリサイタル
 
ジュナン/ヴェルディの「仮面舞踏会」による幻想曲
ブリッチャルディ/ヴェルディの「アイーダ」による幻想曲
メンデルスゾーン/無言歌集より、「春の歌」「ヴァネツィアの舟唄第2番」「紡ぎ歌」
クラカンプーブリッチャルディ/ヴァルディの「椿姫」による幻想曲
 ~ 休 憩 ~
ブリッチャルディ/ヴェルディの「イル・トロヴァトーレ」による幻想曲
グルック/「オルフェオとエウリディーチェ」より 精霊の踊り
ポップ/ヴェルディの「リゴレット」による幻想曲
ボルヌ/ビゼーの「カルメン」による華麗な幻想曲

フルート:アンドレア・グリミネッリ
ピアノ:津田 裕也


2017年5月31日 岡山大学 Junko Fukutake Hall


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(写真は別の日に撮影したもの)

 年度初めに忙しいのはいつものことですが、土・日曜日出勤で平日に休みを取る体制のウチの職場は、この時期は休みを取るのが難しい。世の中、平日は年度末決算から監査、株主総会など、バリバリ動いていますからうちの職場だけ止めるわけにはいかないんですよねぇ。ということで、必然的に仕事が落ち着き始めるこのぐらいの時期に代休を取ることになります(本当は違反らしい・・・でも、ブラック職場が跋扈するご時世、時期が遅くなっても代休を取れ取れと言ってくれる職場はありがたいよねぇ)。この日も代休消化の休みで、このコンサートを聴いてきました。
 このJホールのコンサートシリーズ、すっかり定着していますね。この日もホールのメイン部分はほとんど埋まるほどの盛況っぷり。いつもはワンコイン500円で岡フィルの団員さんら、地元音楽家のコンサートが聴ける。しかし、今回は「プレミアムコンサート」と銘打って、イタリアの至宝:アンドレア・グリミネッリと俊英:津田裕也のデュオ、これでなんと2000円。いずみホールや紀尾井ホールだったら5000円ぐらいは取るコンサートです。
 グリミネッリは岡フィルの定期演奏会に登場したのだが、当日は出勤日と重なり聴きに行けなかった。だからなんとしても聴きに行きたいと思って代休を使った次第。
 やはり聴きに来て良かった。このレベルの奏者になると、一音発しただけで、「おおーっ」と驚かざるを得ない。アンサンブル・ウィーン=ベルリンのメンバーもそうだった。まずもって、なんという圧倒的な「声量」!(「声量」という言葉がいちばんしっくりくる)。
 テクニックも凄い!重音奏法、大きな息継ぎをほとんどしないのは循環呼吸が出来るから?巻き舌奏法での茶目っ気のあるヴィヴラーとなど、フルート演奏の特殊技法を堪能させていただいた。
 プログラムは、ヴェルディやビゼーを中心としたイタリア・フランスのオペラのヒットメドレー。そしてグリミネッリさんのフルートは本当に「歌」がある。僕はオペラをそれほど聴かないので、どの場面のどの曲を演奏しているかというのは細かいところは分からないが、有名どころを押さえているので、クラシックになじみの薄いお客さんも大満足のプログラムだろう。
 一方で、グルックの「精霊の踊り」が象徴的だったのだけれど、ピュアな音で祈りを捧げるように印象的に奏でられる場面は、霊的と言えるほど会場の空気が引き込まれていった。横笛という楽器は、日本では魂を慰撫し、時には悪霊を追い払い神々を呼び寄せる「霊的な楽器」として、古来から愛されてきた。この日のグリミネッリさんの演奏からも、そうした「霊的な魅力」が詰まっていた。
 そう、この日のプログラムは、ルチアーノ・パヴァロッティの没後10年を記念して、彼の業績をオマージュした作品群だった(ご本人からの説明があった)。グリミネッリさんはパヴァロッティに才能を見いだされたことがきっかけで、世界的な活躍が始まったとのこと。イタリア・オペラの魅力と同時に、グリミネッリさんがパヴァロッティのことをどれほど尊敬しているか、こちらにまで伝わってきた。
 
 このJホールという空間は何とも言えない魅力な空間です。一番の特長はステージと客席の距離が近く、演奏者と打ち解けた空気が流れること。この日も会場の聴衆とグリミネッリさんとの心が、徐々に通い合ってくるのがわかるコンサートでした。

 そして、今回の伴奏役の津田さんのピアノも素晴らしいもので、このホールのピアノはヤマハのセミコンサートサイズのものですが、「このサイズのピアノからこんな芳醇な音を引き出すか!?」というほど、時には煌めきを感じさせ、時には天衣無縫の無垢な音色を聴かせた。私はあまりピアノのソロコンサートには行かないのだけれど、津田さんのソロ・コンサートには行ってみようと思う。
 
 アンコールはチャールダッシュ、クマンバチの飛行、という超絶高速パッセージの曲の後、浜辺の歌。最後の浜辺の歌は、まさに日本人のDNAに組み込まれている「横笛の霊力に対する敬意」があふれる演奏になった。

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タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団 2017 福山公演 [コンサート感想]

タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団 福山公演


シベリウス/交響詩『フィンランディア』
グリーグ/ピアノ協奏曲イ短調
  ~ 休 憩 ~
シベリウス/交響曲第2番ニ長調

指揮:サントゥ=マティアス・ロウヴァリ
ピアノ独奏:田部京子

2017年5月20日 ふくやまリーデンローズ大ホール

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 『ばらの街福山』を標榜する福山市は、ばら祭りの真っ最中でした。リーデンローズ前の陸橋もばらの花壇も見事な咲きっぷり。


 フィンランディアは名刺代わりのオーソドックスな演奏。グリーグのコンチェルトは、田部さんの滴り落ちるような瑞々しい音に惚れ惚れさせられる。しかし、オーケストラも容赦のない迫力で迫って来る、田部さんも負けていない。実力伯仲のまさに迫真の『協奏』が聞かれた。


 メインのシベリウスはロウヴァリの奇才ぶりが全開!今まで聴いたシベリウスの2番とはまるで違う、極めてラディカルな解釈と楽想の展開。ダイナミクスとテンポの振幅を大きく取り、第2楽章の緊張感たるや、今までの僕のこの曲に対する牧歌的なイメージを覆すには充分。全く先の読めない展開に手に汗握りっぱなし、「これは、最後はどうやって着地するのだろう」と気をもんでいたが、第4楽章最後のカレワラの音階によるモチーフが登場すると、堂々たるフィナーレを飾って見せた。いやいや、ロウヴァリ君32歳、只者では無かったです。


(以下、追記)


 ロビーでは「ムーミン原画展」が開催され、シティ・プロモーションの一環になっているんでしょう。背の高い北欧系の、シュテファン・エドバーグを思い出させる顔立ちの関係者がロビーで日本の関係者と談笑。 

 しかしですね、お客さんの入りは4割ぐらい?もしかしたら3割5ぐらいだったかも知れない。3階席は閉鎖。このコンサートの主催者はHTV(広島テレビ)で、放送区域外の岡山ではまったく広報されていませんでしたね。立地的に福山のコンサートは岡山から来る人が多い(快速で1時間かからない)わけですから、もうちょっと手が打てたように思いますけどねぇ。

(ときどき思うのだが、福山市って岡山県に編入されていた方が発展したんじゃないだろうか?元々吉備の国の一部だし、笠岡・井原は福山の経済圏。静岡県における浜松市ぐらいのポジションが得られたのではないか?という気がする)
 1曲目とメインの「フィンランディア」、交響曲第2番の編成は16型の3管編成1stVn16→2ndVn14→Vc10→Va8、上手置くにコントラバスが7本。16型という充実した弦5部から繰り出されるハーモニーは極上。シベリウスのひんやりとしたテクスチュア(それでいて暖かみも感じる)のサウンドをパワフルに鳴らします。

 そして木管・金管の音もパワフルかつマイルド、僕は2階席で聴いていたのですが、ホールのロウヴァリの指揮が時に激しくなっても、まったく耳障りな音がしない。いや~本当にこのオーケストラの音はいいです!
 コンチェルトは田部京子さんによるグリーグ。こういう来日オーケストラにありがちな事務所売り出し中の若手ではなく、実力派のソリストを付けてくるところが非常に好感が持てます。田部さんのピアノの音は、やはり際立っています。場面によってはオーケストラもかなり鳴っているんですが、そのトゥッティの本流の中でも宝石のように光り輝くピアノの音が聞えてくる。第3楽章なんてロウヴァリがかなり緩急を付けて煽っているんですけど、田部さんのピアノは堂々と渡り合う。第2楽章の美しさも特筆もの。清潔な静謐さの中に、北欧の景色が思い浮かんでくるような情景描写が見事でした。
 
 メインのシベリウスは、32歳の俊英指揮者のほとばしる情熱が乗り移った、激しいものだった。特にテンポを早めていく過程の場面での激しさが印象に残った。オーケストラの方も懸命について行くが、オケの技量の問題なのだろう、指揮者の指揮に追いつけず、演奏が乱れる場面があった。しかし、そんな場面でも弦楽器のしなやかな音、管楽器の柔らかい音の魅力は失われない。第1楽章では、最後の音をスパッと切るアプローチが印象的。
 この曲の第2楽章はそもそも生演奏で聴いてこそ、魅力がわかる曲だと思うが、今回のコンサートも激しい演奏になった。カレワラの旋法を思わせる民族調のメロディーが歌い上げられる部分では、指揮者と奏者の思い入れが最高潮に達しているのが分かった。「人間が奏でる」オーケストラの魅力はこういう演奏なのだろう。
 第3楽章は高速テンポとゆっくりと歌い上げられる場面とのコントラストが鮮やか。このアプローチはバルビローリの演奏を思い起こさせます。
 第4楽章の長調の部分は、「この楽章のキモはここじゃないんだよ」とでも言わんばかり、あっさりと流す。あのカラヤンが朗々と歌い上げた有名なメロディーは、まだまだこの楽章の序章に過ぎないのだろうか。
 楽章終盤に入ると、テンポの変化が無くなり、インテンポな堂々たる演奏に切り替わる。冒頭にも書いたとおり、テンポとダイナミクスの変化が激しいロウヴァリのタクトに、「最後はどういう風に締めくくるのだろう」と思っていたが、まったく正攻法で突き進む。それまでの変化が激しかっただけに、最後の最後に来て大伽藍が立ち現れるようなゆっくりとした足取りは、非常に効果的。
 空席の目立つ会場にも関わらず盛大な拍手となった。アンコールは「悲しきワルツ」と「カレリア組曲の第3曲:行進曲風に」。
 アンコールの後、楽団員が去りはじめても拍手がやまなかった。海外オーケストラの来日公演でこれほど『本気の・ガチンコの演奏』に接することは稀なこと。その熱意に対する謝辞としての拍手だったろう。
このオーケストラ、初来日と言うことですが、僕が聴いたことのあるラハティ管弦楽団、フィンランド放送交響楽団より若干力量は落ちるものの、音の柔らかさ・しなやかさでは他の追随を許さない個性を持っています。今回のツアーで知名度は一気に上がるものと思います。

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なにわ《オーケルトラル》ウィンズ2017 岡山公演 [コンサート感想]

なにわ《オーケストラル》ウィンズ演奏会2017 岡山シンフォニーホール公演

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 会場は満員。そしてロビーにあふれんばかりの高校生の人波。なかでも女子高校生がそこかしこでたむろし期待に黄色い声があがるなか、それを掻き分けながら自分の席へ向かうという、クラシックのコンサートでは、まず経験しない事態に圧倒される。そして学校の先生もたくさん。学校の先生って姿勢の良さと独特の存在感がありますな。そして声がでかい(笑)。いろんな場所で交わされる挨拶。あと、なぜか体格のゴツい人が多い(お前が言うなって)。
 
 今まで、恐らく500回近くは通っている岡山シンフォニーホール。僕はこのホールのヌシを自認していたが、今日だけは完全アウェイ!借りてきた猫状態。
 以前のエントリーの通り、座席はかなり奥まった場所で、クラシックのコンサートなら音が飛んでこない席。しかし、吹奏楽の迫力はオーケストラとは全く別物!特にパーカッションの音量が考えられないぐらい大きい。この席で丁度良かったかもしれない。
 演奏は、流石だった。関西だけでなく、日本全国から手弁当で集まったオーケストラのブラス奏者たちの饗宴。ステージ上を埋め尽くす各オーケストラの名手たち。100人からなる奏者が、みな自由自在に吹いているようで、すべてが余裕を持って演奏され、トゥッティーの正確さは胸がすく思い。ソロの場面では、「よっしゃ!」とばかり朗々たる演奏を繰り広げる。吹奏楽のコンサートには何回か来たことはあったが、これほど。次から次へと感嘆する瞬間が続いたのは初めて。ましてや、岡山の高校生吹奏楽団員にとっては夢のような演奏ではなかっただろうか。
 楽曲も元気をもらうような曲が多かった。どの曲も心をつかむようなメロディーに溢れており、そのメロディーを支える内声のハーモニーに心を奪われた。そしてリードの十二夜のような、人間の心の機微を表現するような繊細な曲があることも、驚いた。吹奏楽について自分は本当に何も知らないなあと思った。
 このコンサートの目的のひとつは、その年の課題曲を演奏して高校生たちの選択の一助にしてもらうこと(なので、このコンサートのCDが6月に発売される段取りになっている、この日もマイクが沢山設置されていた)。他にも吹奏楽コンクールを闘い抜くうえでの、さまざまな『実験』を披露。
 岡山では「見掛け倒し」「前後逆」「フルーツバスケット」「密集」という、どれも受け狙いのような編成・隊形で演奏され、会場も大いに湧いた。そして、どの隊形でも見事な演奏を聴かせ、「さすがプロ!」とうならせた。
 しかし、誰よりも楽しんでいたのはNOWの奏者達で、例えば元大フィルの榎田さん(ダンディズムに磨きがかかってますね!)は指揮台そばのステージ床を椅子にして腰かけて、最前列の観客に楽譜を持たせて演奏していたのは笑った。通常なら1つか2つしか実験しないところを、岡山初上陸(そしてこれが最後)ということで、4つも演奏。丸谷先生が「普通やったら時間外労働で大問題になるところやけど、もうみんな楽しんではるから」「普段、物凄いストレスの中で演奏してはるから、このコンサートに来たらそれを発散するために、子供のようにはしゃいだはる」「一番はしゃいでいる人がいちばんストレスたまってる人や」という厳しいツッコミが入ったが、まさに時間が経つのも忘れているように、そしてNOWの最後の瞬間が訪れるのを、少しでも遅くしたいような、そんなステージ上の空気だっただろうか。
 僕はこのコンサートを3時間ぐらいと呼んでいたのだが、3時開演で6時20分になっても終わらず、後の予定が迫って来ていたので、泣く泣く最後のスパークの色彩交響曲を聞き逃した。後日CDを買おうと思う。



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 コンマスの金井さんの説明では、岡山に来られるということで、岡山=桃色を今年のテーマ色にしてくださったとのこと! 

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